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宇宙小話(1)〜どうしてサンプルリターンが大事なの?

(アイキャッチ画像:DLR German Aerospace Center )

子どもも大人も楽しめる宇宙小話(うちゅうこばなし)を、ここに書いていこうと思います。不定期に、気のおもむくままに。

もうすぐはやぶさ2が地球に帰ってきますね!小惑星(しょうわくせい)の石を持って帰ってきます。このように、ほかの天体の砂、石や空気、液体などを地球に持って帰ってくることを「サンプルリターン」といいます。

はやぶさ2のほかにも、NASAの「オシリス・レックス」という宇宙探査機(たんさき)も小惑星からのサンプルリターンを行います。NASAとESAは火星からのサンプルリターンを準備していますし、JAXAも火星の衛星(えいせい)フォボスからのサンプル・リターン計画MMXを進めています。

どうして、どの国もサンプルリターンをしたがるのでしょうか?なぜ、サンプルリターンがそんなに大事なのでしょうか?

宇宙探査機は、惑星や小惑星の謎(なぞ)を解く証拠(しょうこ)を見つけるのが目的です。求める証拠はたいてい、石や空気や液体の成分(せいぶん)にかくされています。石や空気や液体の成分を調べるには、観測機器(かんそくきき)が必要です。

観測機器(かんそくきき)とはどのようなものでしょう?たとえば「質量分析器(しつりょうぶんせきき)」というものがあります。どのような分子がどのくらい含(ふく)まれているかを調べるための機械で、大学や会社の研究室によくあるものは、こんなものです。

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By Michael Pereckas from Milwaukee, WI, USA – FT-ICR, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26059372

とても大きいですよね!しかも観測機器は何種類(しゅるい)もあります。こんな大きなものを何台も宇宙に持っていくなんて、とてもできません!

そこで、普通(ふつう)の宇宙探査機は、積んでいく観測機器を厳選(げんせん)し、小型化(こがたか)して積んでいきます。でもそれでは、調べれるものの種類は限られますし、分析性能も大型の観測機器より落ちてしまいます。

しかし!

サンプルリターン・ミッションでは、観測機器を宇宙に持っていく代わりに、サンプル(石や空気や液体)を地球に持って帰ってきます。地球にサンプルを持ち帰れば、地球にある大きな観測機器を何台も使って、いろんな分析を、高精度(こうせいど)でできるのです。

サンプルを持って帰ってくるのは大変ですが、少しでも持って帰って来れば、多くの科学的発見が期待できるのです!


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