日本選手権2022ジャッジトーナメントレポート

はじめに


こんにちは。先日行われた日本選手権2022に、ジャッジとして参加してきました。
久しぶりのイベントということもあり、せっかくなのでトーナメントレポートとしてお送りします。裁定、ルーリングに関するものをメインとしているので、それ以外はおまけです。
当日チームリーダーを務めたふじいさんのトーナメントレポートも投稿されているので、こちらも是非一読ください↓
https://tips.jp/u/genius/a/TTR2022

※基本的にはジャッジ向けの内容になっていますので、ご了承ください。

事前準備

実に2年半ぶりにテーブルトップで行われる大型イベント、何が起きてもおかしくはない。ぱっと思いつくだけでも懸念点は

・両面カードやバージョン違いのカードが増え、物理的な処理にも認識するにも時間がかかるようになった。

・空白期間中も、MTGアリーナ(以下アリーナ)ではイベントが行われており、アリーナ出身のプレイヤーも増えたように感じる。これにより、「アリーナではプレイしているが、テーブルトップであまりプレイしたことのない」プレイヤーが存在することが考えられる。

・アリーナでは自動で処理されていた、誘発型能力、カードの効果の処理、対戦相手のカードの確認、優先権、etc…をすべて自分たちで行わなければならず、トラブルや時間切れが発生する。

・全く運動していなかったので、最後まで立っていられるか心配……

等山積みである。これらを解決するために、事前準備として以下のことを行った。

・ゲームをプレイする
「ジャッジ力を鍛えるのに一番いい方法はゲームをプレイすること」というのはとある先輩ジャッジの言であるが、まったくもってその通りだと思う。
ということで、アリーナでもテーブルトップでもできる限りゲームをプレイした。

・スライドの作成
現在のスタンダードには様々なアーキタイプが存在しており、いろいろなカードが使われている。これらの中でも、本選でよく見られそうなアーキタイプやカードについてまとめたスライドを作成した。特に、アリーナでは起きないがテーブルトップでは起こりうるトラブルについて書いたつもり。

https://docs.google.com/presentation/d/1J0RCx8-y3tXRq4WXeCOUBLTlYc4piur1SW2rGoXzfXs/edit?usp=sharing

・ルール、ポリシーの再確認
テーブルトップの競技イベントが開催されなかった以上、ポリシーを使用する機会などあるはずもなく、すべて頭から抜け落ちていた。ということでルールとポリシーを100回読み直すことにした。

・毎日歩く
体力づくりのために、毎日ウォーキングをすることに
行っていない。行おうという気持ちはあった。


当日

当日、懸念点に対しての実際は以下の通り

・両面カードやバージョン違いのカードが増え、物理的な処理にも認識するにも時間がかかるようになった。
→思ったほどの問題にはならず。個人的に一番分かりにくかったのは、ニューカペナの土地サイクル。

特にこのバージョン。全く分からん。

・空白期間中も、MTGアリーナ(以下アリーナ)ではイベントが行われており、アリーナ出身のプレイヤーも増えたように感じる。これにより、「アリーナではプレイしているが、テーブルトップであまりプレイしたことのない」プレイヤーが存在することが考えられる。
→それっぽいプレイヤーはいたが、基本的にはみんなテーブルトップの予選を突破しているのでそこまで問題にはならず。

・アリーナでは自動で処理されていた、誘発型能力、カードの効果の処理、対戦相手のカードの確認、優先権、etc…をすべて自分たちで行わなければならず、トラブルや時間切れが発生する。
→頻繁に起こっていたものの、よく考えてみれば、いずれも昔から起きていた問題。リハビリ(テーブルトップのイベントの再開)によって克服できる部分と思われる。

・全く運動していなかったので、最後まで立っていられるか心配……
→休めるところは休んでごまかすことに。

当初懸念されたよりは問題は起きなかった。プレイヤーもジャッジも、もっと信頼してよいと思った。

裁定、ルーリングについて

当日コールを受けた裁定やルーリングに関することを書いていく。
答えは反転で隠そうとしたが、noteは文字色を変えられないらしいのでそのまま書く。間にカードの画像を挟んであるので、考えてみたいという方はそれを目印にしてもらえればと思う。
ジャッジ向けではあるが、ルーリングに関する部分を多めにしたので、クイズ感覚で楽しんでもらえればと思う。

※ジャッジ向けの略語を使用しています。


・英雄譚(多発)
Q
英雄譚に伝承カウンターを置き忘れたままゲームを進めてしまった。

A
復元可能かどうかを検討。できなければそのまま続行。英雄譚のコントローラーにGRV、対戦相手にFtMGS。
伝承カウンターを置くことはターン起因処理であり、誘発忘れではない。

・敵対者VS英雄譚
Q
《鏡割りの寓話》の3章が誘発した後《幽体の敵対者》を唱え、その能力で《鏡割りの寓話》をフェイズ・アウトさせたらどうなるか?

A
3章の解決時に《鏡割りの寓話》はフェイズ・アウトしているので変身せず、次の《鏡割りの寓話》のコントローラーのターン開始時にフェイズ・インする。フェイズ・インした時に《鏡割りの寓話》には最終章以上の伝承カウンターが置かれており、かつ誘発した章能力がスタックにないため生け贄に捧げられる。


・ラフィーンエーデリン
Q
《策謀の予見者、ラフィーン》と《輝かしい聖戦士、エーデリン》をコントロールしている状態で、《策謀の予見者、ラフィーン》で攻撃した。トークンを先に出すようにスタックに置いたら、謀議はいくつできるか?

A
2。トークンも攻撃クリーチャーである。
余談だが、《策謀の予見者、ラフィーン》の能力は対象を取っているため、トークンが謀議することはできない。

・婚礼バグベア
Q
このターン、《バグベアの居住地》と、その能力で生成したトークンで攻撃している。終了ステップに誘発した《婚礼の発表》はどちらを行うか?

A
トークンを生成する。攻撃している状態で生成されたトークンは、攻撃クリーチャーとして指定したとはみなされない。よって、このターン1体のクリーチャーでしか攻撃していない。

・試験官英雄譚
Q
《鏡割りの寓話》を唱えた。1章が誘発したとき《厳しい試験官》の能力は誘発するか?

A
しない。伝承カウンターが置かれること自体は誘発型能力ではなく、章能力は伝承カウンターが置かれることで誘発する誘発型能力である。戦場に出るパーマネントが誘発させているわけではない。

・豪火食肉
Q
《豪火を放て》を、対戦相手がコントロールするタフネス2のクリーチャーを対象に唱え、さらに《食肉鉤虐殺事件》を破壊したい。《食肉鉤虐殺事件》は誘発するか?

A
しない。と見せかけてする。《豪火を放て》の余剰のダメージ~部分は再起誘発型能力であり、《食肉鉤虐殺事件》を破壊する前にクリーチャーは死亡している。致死ダメージを受けたことによる状況起因処理で死亡するから、クリーチャーはまだ死亡してない!! とはならない。

・自身の誇示
Q
クリーチャーを1体だけコントロールしている。《自身の誇示》を、そのクリーチャーを対象に唱えた。誘発型能力に対応して呪文を複数唱えた後、誘発型能力の解決前に対象にしたクリーチャーが戦場を離れた。戦場には対戦相手がコントロールしているクリーチャーしかいないが、誘発型能力の解決によって作られるコピーは、新しく対象を選ぶ場合、対戦相手のクリーチャーを選ばなければならないか?

A
はい。呪文の適正な対象があるなら、それを対象にしなければならない。

※コピーの対象を新しく選ぶ場合に限る。コピーの解決時にもとの対象がいなかったとしても、新しい対象を選ばないことは適正である。(その場合、コピーは解決されない。)
情況の説明が曖昧でした。表記を改めました。6/8追記

・デニックミシュラ
Q
《敬虔な新米、デニック》をコントロールしている。《目玉の暴君の住処》で攻撃し、対戦相手の墓地のカードを追放した。

A
復元可能かどうかを検討。できなければそのまま続行。両者GRV。

・譚雄英クッニデ
Q
《敬虔な心霊、デニック》をコントロールしている。《キキジキの鏡像》が死亡したとき、調査は行えるか?

A
行えない。《敬虔な心霊、デニック》の能力は墓地に置かれたあとの状態を見る。《キキジキの鏡像》は、墓地に置かれたときは表面の《鏡割りの寓話》(エンチャント)のため、調査は行えない。

おわりに

簡単ではありますが、今回は以上です。
テーブルトップのイベントも徐々に再開されるようなので、またどこかのイベントでお会いしましょう。

読んでいただきありがとうございました。


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