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モダンマーフォークデッキガイド

はじめに

初めまして。
僕がモダンというフォーマットを始めた時に初めて組んだデッキがマーフォークでした。その後色々なデッキを組めるようになり、マーフォークというデッキとは疎遠になっていました。
ところが最近、MOMCQで結果を残した魔術師の反駁入りマーフォークに興味を持ち、久しぶりに押し入れから出して使ってみたところ、想像以上に面白く、備忘録も兼ねてデッキガイドとして記事を書いてみることにしました。

先達の方々と被る部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。
基本的には次項のリストに従って話を進めていますが、マーフォークというデッキ全般について通じるところもあると思いますので、参考にして頂ければと思います。また、この記事は僕自身が感じたことを書いているため、考え方等が事実と異なる場合があります。ご了承ください。


1.サンプルリストと各カード解説

実際に使ったリストと、採用されうるカードについての解説です。

メインボード

4 水底の生術師
2 呪い捕らえ
4 アトランティスの王
4 真珠三叉矛の達人
4 マーフォークのペテン師
4 銀エラの達人
3 波使い

4 霊気の薬瓶
3 蒸気の絡みつき
4 魔術師の反駁
4 広がりゆく海

14 島
4 変わり谷
1 雲の宮殿、朧宮
1 水辺の学舎、水面院

サイドボード

2 儀礼的拒否
2 大祖始の遺産
2 外科的摘出
1 払拭
1 潮縛りの魔道士
1 否認
2 残響する真実
2 四肢切断
2 廃墟の地

所謂固定パーツとされているカード
アトランティスの王
真珠三叉矛の達人
銀エラの達人
霊気の薬瓶
広がりゆく海
変わり谷

については解説を省略します。

水底の生術師

ラヴニカの献身からの新戦力。1マナながら、器用に立ち回ることの出来るカードです。
マーフォークというデッキは、今まで土地を引きすぎたり、複数枚の薬瓶を引いてしまうと完全な無駄カードになっていました。このカードは、その問題をある程度緩和してくれました。
その他にも、2ターン目の薬瓶=1から飛び出て、魔術師の反駁を唱える動きも、リストのあまり浸透していない現在では非常に有効なテクニックです。カウンターをしなくてもそのまま順応でき、序盤にもマナを余らせることなく行動することが出来ます。
いつ引いても強いことから、4枚積んで良いカードだと思います。

呪い捕らえ

自身を生け贄に捧げることにより、インスタントかソーサリーに追加のマナを要求するカードです。たかが1マナと思われるかもしれませんが、モダンという環境において、1マナは意外と重く、相手は常にこれをケアしながら動く必要があります。使って強さを感じ辛く、使われて強さを感じるカードと言えるでしょう。
また、ある程度能動的に墓地に行けることが重要なマッチアップも存在します。
複数枚引くと弱いことから、現在の採用枚数は抑えてあります。

マーフォークのペテン師

マーフォーク的には比較的新顔と言えるカードです。薬瓶のない状態では、唯一インスタントタイミングで出せるクリーチャーです。
すれ違いのダメージレースがしばしば発生するマーフォークというデッキにおいて、相手のクリーチャーをタップして稼ぐ1ターンは非常に価値が大きく特に少数のクリーチャーで攻めてくるデッキに対してはさながら追加ターンのような役割を果たします。能力を失わせるという部分も地味ながら強力で、相手のクリーチャーをブロックした後で出して死亡時の誘発を無効化したり、厄介な能力を持ったシステムクリーチャーを1ターンの間抑えることが出来ます。
このカードを如何に上手く使うかによって、マーフォークというデッキの勝率が10%は変化すると言っても過言ではありません。
現状はここに置いていますが、ほぼ固定パーツと言っても良いでしょう。

波使い

対フェアデッキ用最終兵器。特に除去を赤いカードに頼っているデッキに対しては、無類の強さを発揮します。
マーフォークにはシンボルがUUのものが多く、このカードを出す頃には信心が6~8溜まっていることもざらにあります。
とにかくクリーチャーが横に並ぶので、ダメ押しの1手にも、押されている盤面でのブロッカーにも使えます。
9割の方はご存じと思いますが、変わり谷はマーフォークでありエレメンタルでもあります。
序盤に複数枚引くと弱いことから、採用枚数は抑えてあります。

蒸気のからみつき

呪文での除去枠です。サイドにある四肢切断との選択になりますが、現在の環境では、墓地に置くただの除去よりも、バウンスしたほうが強いカードが多くあり、メインではこちらを採用しています。
また、自分のクリーチャーを相手の除去から救うことも頻繁にあり、これも四肢切断には出来ない役割になります。

魔術師の反駁

今回のリストの一番特徴的な部分です。
マーフォークに採用されているクリーチャーは、2種のロード(他のクリーチャーのサイズを上げるクリーチャー)を除けば全てウィザードなので、このカードを実質対抗呪文として運用することが可能です。先述の順応やペテン師、絡みつきと合わせて、正確な読みをするのは難しく、常に裏目を引かせられる可能性があります。

雲の宮殿、朧宮
水辺の学舎、水面院

島ではない基本土地2種です。アンタップインで青マナが出る島でない土地として、以前は主に緑系が使う窒息というカードへの対策として入っていた側面が大きいカードです。
朧宮に関しては、水底の生術師の順応をする際、手札に戻すことはよく起きるようになりました。
朧宮はイラストも非常に美しいですね。

その他、採用が検討されるカードを以下に記載します。採用率の低い、所謂オタクカードについては省略します。

霧の呼び手

1マナクリーチャーの選択肢として。主に踏み倒しや、墓地から戻ってくるカードに対するメタカードです。
仕様が1度きりなこと、上記のようなデッキに対して、マーフォークというデッキ自体が比較的戦えるほうであることから、今回は不採用としています。環境によっては、十分採用に値するカードです(MOMCQ入賞のリストにも採用されています)

珊瑚兜の司令官

レベルアップによって飛行を持ち、レベルを4まで上げることでロード能力を持つカードです。後半のマナの使い道としては優秀ですが、それまではただのバニラ(能力のないクリーチャー)であること、ロードは8枚で間に合っていることから、不採用としています。

潮流の先駆け

対戦相手のタップしているクリーチャーをバウンスすることが出来るカードです。ペテン師との選択になりますが、インスタントタイミングで動くのに追加のマナがかかること、バウンス出来る条件に制約があることから、現状はペテン師に軍配が上がります。

メロウの騎兵

ロード能力を持ったクリーチャーで、ハマると爆発的な展開や、妨害を行うことが出来るカードです。詳しくは後述しますが、今回のリストは相手を速やかに倒すアグロではないと考えていること、薬瓶のカウンターを2に固定することで、一貫性を持たせることをを理由に不採用となっています。

大いなる玻璃紡ぎ、綺羅
波を司る者、コパラ

相手の除去から、自分のクリーチャーを守る役割をもったカード達です。
今回のリストでは、妨害の枠をバウンスとカウンターに当てているため、不採用となっています。

魂の洞窟

クリーチャーがカウンターされなくなる土地です。現在、打消しを使うデッキがメタ上位にいないこと、薬瓶経由でクリーチャーを出すことが多いデッキで、恩恵を受けづらいこと、魔術師の反駁の採用により青マナが出ないことがデメリットになることから、不採用としています。環境にコントロールが増えてこれば、採用しても良いと思います。

2.ゲームプラン

マーフォークというデッキは、一般的にはアグロというアーキタイプに分類されています。しかし現在の構成では、どちらかと言えばクロックパーミッションに分類されると思っています。必要最小限のクリーチャーを展開し、バウンスとカウンターで妨害をしながら相手のライフを削りきるのです。(もちろん横に並べたほうが良いマッチアップも存在します)

霊気の薬瓶

上記のプランを強力にバックアップするのが、霊気の薬瓶というカードです。


このカードを1ターン目に置けた場合、後の展開に大きな差が出ます。1ターンに2体のクリーチャーを出すことはもちろん、インスタントタイミングで出てくるロードには、相手の計算を大きく狂わせる力があります。
このデッキでメインとなるクリーチャーたちのマナコストはほとんどが2のため、カウンターも基本的には2で固定します。非常にレアなケースですが、手札の2マナクリーチャーを全て消化しきって、土地が2枚しかなく、波使いが手札に溜まっている時のみ、4まで伸ばしても良いでしょう。
また、たとえ出せるクリーチャーがいなかったとしても、相手のターン終了時には起動することを検討しましょう。もしかしたらロードが出てくるかもしれないと思って、相手は使う必要のない除去を使ってくれるかもしれません。
薬瓶の使い方で、マーフォークというデッキの強さが変わると言っても過言ではありません。色々なシチュエーションを考えてみてください。

マリガン基準

このデッキにおけるマリガンの判断にはいくつかのポイントがあります。
全てのパターンで最優先されるべきは、霊気の薬瓶があるかどうかです。
薬瓶と土地が1枚さえあれば、基本的にはどんな手札でもキープです。

↑こんな手札も……

↑こんな手札でもキープ!!

薬瓶というカードには、それほどのパワーがあります。
薬瓶がない場合、判断の基準になるのは、島が2枚含まれた初手であるかどうかです。
波使いのところで言った通り、このデッキの呪文はUUを要求するものが多く、初手にある変わり谷はその展開を阻害することが多くあります。
島と変わり谷があるからとキープして、その後UUが出ずに何も展開出来ないということはよく起こるので、そのあたりもきちんと考えたうえでキープしましょう。慣れないうちは、変わり谷は呪文枠と考えても良いです。

ゲーム展開

先述の通り、今回のリストはクロックパーミッションです。
すなわち、相手の妨害をしながらダメージを与えていくことになります。
一般に誤解されがちなこととして、マーフォークというデッキのダメージ量は、一次関数的ではなく、指数関数的に増えていくということがあります。

↑マーフォークの打点イメージ

最終的に、相手を倒すには十分な打点があることが殆どですので、序盤のダメージはそれほど重要ではありません(もちろんあるに越したことはありませんが)。
例えば2ターン目に広がりゆく海とクリーチャーがある時や、カウンターとクリーチャーどちらかしか唱えられない時、どう動く方が良いのかはその都度よく考えるようにしましょう。

3.対主要マッチアップとサイドボーディング

2019年4月現在の主要マッチアップについて、どのようなゲームになるかと、簡単なサイドボーディングについて紹介していきます。現在のサイドボードはこちら

2 儀礼的拒否
2 大祖始の遺産
2 外科的摘出
1 払拭
1 潮縛りの魔道士
1 否認
2 残響する真実
2 四肢切断
2 廃墟の地

サイドボーディングは具体的なものではなく、何を抜いて何を入れる程度のものです。

VSイゼットフェニックス

氷の中の存在と、弾けるドレイクに対処する手段は豊富にあるので、序盤に複数の弧光のフェニックスが戻ってこなければ五分~有利に戦えます。
氷の中の存在のカウンターが1の時に相手が呪文を唱え、変身がスタックに載っている状態でペテン師を唱え、氷の中の存在の能力を失わせると、変身はしますがバウンスは誘発しなくなります。
ロングゲームになることは少ないので、水底の生術師、もともと島を置いてくる相手なので広がりゆく海、赤いデッキですが、少し遅い波使い等を抜いて、墓地対策やカウンターを入れましょう。紅蓮術士の昇天や、戻ってきた複数のフェニックスを対処できる残響する真実も悪くありません。

VSドレッジ

墓地から戻ってくるクリーチャーはこちらのクリーチャーで止まるので、燃焼這い寄る恐怖に気を付けてプレイしましょう。特に這い寄る恐怖はカウンターも効きませんので、出来る限りライフを高く保つことが大切です。
サイド後は、クリーチャーに有効でない魔術師の反駁や、貼るタイミングのない広がりゆく海を抜いて、各種墓地対策や否認等を入れましょう。

VSトロン

比較的先手有利なマッチアップです。相手のウルザランドは3ターン目に揃うと想定して動きましょう。また、広がりゆく海は、ウルザランドを完全に止められるわけではないということに注意してください(忘却石の起動で破壊されます)。ウギンウラモグで盤面を流された後、薬瓶からやペテン師を展開して、変わり谷と合わせて最後の数点を削るのが理想です。
重い波使いや、有効なカードの少ない呪い捕らえを抜いて、儀礼的拒否や廃墟の地を入れます。外科的摘出は廃墟の地で割ったウルザランドを追放できる夢を見るかもしれませんが、現実的に不可能なのでサイドインはしません。難題の予見者を意識するなら四肢切断を入れるのも良いでしょう。

VSグリクシスシャドウ

相手が勝手にライフを減らすため、1度か2度の戦闘でゲームが終わる印象です。打点は十分に足りることが多いため、相手のライフが13を割るか割らないかという時は、攻撃しないという選択肢を取ることもあります。また、クリーチャーでブロックした後に相手がティムールの激闘を唱えた場合、解決後にペテン師を唱えることで、全ての能力を失わせることが出来ます。
ハンデスの多く入っているデッキなので、強く使えなそうな薬瓶や、島の入っているデッキなので広がりゆく海を抜いて、各種墓地対策やカウンター、探査クリーチャーたちを対処できる四肢切断を入れます。

VS人間

お互いにクリーチャーが並ぶマッチアップです。あちらの飛行クリーチャーである、カマキリの乗り手と、帆凧の掠め盗りの攻撃が通り続ける展開になりがちです。相手はインスタントタイミングの除去を(薬瓶からの反射魔道士しか)持っていないので、横に並べて広がりゆく海を貼り、島渡りでの1パンチを狙いましょう。
魂の洞窟が4枚入ったデッキかつ、呪文のないデッキなので、魔術師の反駁や呪い捕らえを抜いて、残響する真実や四肢切断を入れましょう。貴族の教主やカマキリの乗り手、アナフェンザを止められる潮縛りの魔道士も〇です。

VSBG

ここで言うBGとは、ジャンド、アブザンを含んでいます。
広がりゆく海で相手のマナ基盤を妨害しながら、殴り切りましょう。ロングゲームになると相手の土俵なので、速やかにゲームを終わらせるべきマッチアップです。
ロングゲームになるマッチアップなので、薬瓶や呪い捕らえを抜いて、大祖始の遺産や四肢切断、潮縛りの魔道士、廃墟の地を入れましょう。

VS青白コントロール

元々全体除去が厳しいマッチアップでしたが、魔術師の反駁の入った今回のリストなら、多少は改善されています。終末至高の評決に気を付けて、最低限のクリーチャーを展開するようにしましょう。
また、対戦相手が謎めいた命令をタップのモードで唱えた後、変わり谷を起動して攻撃することが出来ます。このマッチアップでは変わり谷は無闇に起動しないようにしましょう。
サイド後は全ての除去で対処される重いだけの波使いやを抜いて、カウンターや、天界の列柱を割るために廃墟の地を入れましょう。大祖始の遺産と外科的摘出はサイドインしない方が無難です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
この記事を読んで、「マーフォーク始めました!!」という方や、「マーフォークに勝てました!!」という方がいらっしゃいましたら幸いです。
それでは、楽しいモダンライフを。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

各種画像は、ウィザーズオブザコースト様より引用させて頂きました。

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