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【キューブドラフト】マジックの歴史を往く


1. はじめに

私がレガシーを始めるのと同じかちょっと前の頃でしょうか。イコリア発売あたりから私はキューブドラフトの制作を始めました。
この選択こそ、私がマジックの歴史を綿密にさかのぼるきっかけとなりました。

イコリア: 巨獣の棲処 2020.04.17

キューブドラフトの制作には各フォーマットのようにカードの使用範囲は全くありません。ましてや、カードプールという環境を自分で作るものなので、すべてのカードを思うように使うことができます。それは銀枠に至るまで。
なので制作に至ってより良いプールを作るためには、ほぼすべてのカードを知る必要があるのです。

カード一枚一枚だけではありません。制作には過去デッキの知識も必要になってきます。それはどのカードがどう強かったかとか、どんなシナジーがあったかとか。

ここまでの冒頭でもマジックの歴史をかなりなぞらないといけない作業であるということはおわかりいただけたでしょう。ここからはより具体的にキューブドラフト制作に影響を与えたマジックの歴史をおさらいしていきましょう。

2. レアリティシンボル

わたしのキューブドラフトは、レアリティは本来のものに忠実に倣い、なおかつ「神話レア・レア」、「アンコモン・コモン」の区分に分けています。

レアリティシンボルの見分け方

古くからのカードには《奇跡の蘇生》や《ネクロマンシー》、《サイムーン》や《自然発火》などいいカードはたくさんあります。しかしこれらのカードはパッと見たときにレアリティがわかるでしょうか?(《サイムーン》や《自然発火》は再録しているものはわかります。)

ヴィジョンズとテンペストのカードです。

正解はすべてアンコモンです。ストロングホールド以前のエキスパンションではエキスパンションシンボルがレアリティを兼ねていないため、分ける際にとても分かりにくいです。(もちろんキューブ作成段階でも)

ストロングホールド 1998.02.23

したがって、ストロングホールド以前のカードはすべてアンコモン以下のもののみを使用することにしました。《直観》や《知られざる楽園》などはキューブに入れられなくなりますが致し方ないです。

エクソダス以降、レアリティシンボルがつくようになり、カードのレアリティ分別がシンプルになりました。ストレージのレアリティ分けをしている方もエクソダスでのレアリティシンボルという革新により恩恵を受けているということですね。

エクソダス 1998.06.15

余談ですが、この手法を取ることによって原則ミラージュ~ストロングホールドの再録禁止カードを使用できなくなるためお財布にも優しくなりました。

レアリティシンボルについてはこれだけではありません。先ほど、「神話レア・レア」と「コモン・アンコモン」に区分するといいました。神話レアの区分を内部的にしっかりと持たせているのです。

神話レアはアラーラの断片から導入されたシステムです。そして各エキスパンションで最も収録種類の少ないレアリティとなっています。これが意味するところは、レアと比べて神話レアは絶対数が少ないということです。

アラーラの断片 2008.10.03

さらに神話レアはこれ以外にも奇抜で複雑な能力を持ったものが多かったり、3色以上のカードも多かったりします。これらの特徴からキューブドラフトでの選定は最も困難な部類の一つになります。

奇抜で複雑な能力はメリデメが絡み合って最終的に複雑な割に使いにくいものになったものから《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のような単純に強いものまでとピンキリなところもまたキューブ作成者の頭を痛めています。

そんな一番難しい神話レアですが、選定の基準としては、なるべくわかりやすくそして使いやすいを目指しています。通常エキスパンション同様、神話レアはプールで最も少ないカードにしているので、引いたときにしっかりと活躍できるようなカードを選ぶと楽しいドラフトになると私は思います。

3. 銀枠

マジックには公式大会で使えるカードのほかにカジュアルプレイ専用の銀枠カードが存在します。(直近Unfinityではどんぐり)

Unfinity 2022.10.07 

一時期これらのカードをキューブに使用していてはたびたびテーブルをいろんな意味で破壊していきました。

《Richard Garfield, Ph.D》なんかは《送還》を《Ancestral Recall》に変えたり、《Urza, Academy Headmaster》は初代《Comet, Stellar Pup》さながらの動きをしたりと楽しいものになりました。

ただし、銀枠に潜む罠は楽しいだけではないのです。「文字とオラクル」が立ちはだかります。

まず、本流セットに使用されない能力がてんこ盛りのため、オラクルをいちいち確認しないといけないのが大変めんどくさいです。
そして何より、英語のカードしかないため前述の難点と組み合わせると、とにかく説明に時間がかかりゲームの進行に支障をきたします。

ただ、銀枠カードは難儀なものではないです。からくりとかアトラクションとかキューブドラフトでは到底使えないようなものはありますが、キューブにお勧めのカードもいくつかあります。

その中の一つが《Goblin Tutor》です。ダイス目でカードをサーチするというカードでフォーゴトン・レルム探訪が出た今では個人的に構築で使いたい銀枠No.1のカードです。

most おすすめ銀枠カード

4. 言語

銀枠の項目で述べた通り、英語のカードはプレイに若干の支障をきたします。それこそ《渦巻く知識》とかだったらまだいいですが、《世界混ぜ》とか英語だった暁にはもう地獄です。

なので極力すべてのカードは日本語にしています。もっとも、ポピュラーでないカードから優先的に。

しかしマジックの歴史は長く、かつ日本発祥のゲームではないので当然日本語の存在しないカード・レアリティが存在します。フォールン・エンパイアまでのカードです。コモンの《トーラックの賛歌》とか。こういったのはどうしようもないので英語を使用しています。

フォールン・エンパイア 1994.11.15

5. オリジナリティと周知されたカード

キューブドラフトに《稲妻》や《意志の力》といった有名どころのカードをたくさん入れると、わかりやすいですが、オリジナリティ感は欠けます。そして何よりヴィンテージキューブに近づいていくので値段が張っていきます。

そういったことを避けるために、ストレージに眠っているカードをちょこちょこと引っ張り出してくるのです。

レアはともかく、コモンやアンコモンのカードはキューブ内を占める枚数が私のドラフトの場合は多く、パウパーや統率者でよく見かけるカードだけだと埋まらないこともあるのでそういった面でもストレージは重宝します。

たとえば、黒の除去にしても有名どころの《殺し》だけではなく、サイクリングをつけて《抹殺》に変えてみるとかいう手法を取ったりします。

キューブドラフトを遊んでもらうことで普段見向きもしなかったカードたちをみんなに注目してもらうことができるのはストレージのカードをドラフトに組み込む強みだと思っています。

6. なによりもみんなに楽しんでもらうこと

キューブドラフトの強みはデッキがいらないことです。
これが何を意味するかというと、「MTGAやプレリリースはやったことあるけどちゃんとマジックを遊んだことがない」というひとに提供できる点です。

MTG ARENA 2019.09.27

リミテッドなのでカード知識の差で難儀なことはありますが、そこは楽しく会話しながら教えていきましょう。なんといってもカジュアルフォーマットですので。

実際に私も別カードゲーム界隈の人達を巻き込んで多人数戦形式でキューブドラフトをやったことがありますが、感染持ちの大型クリーチャーを出したらヘイトを買いまくって集中砲火を食らって見事敗れました(笑)

最後に、キューブドラフトの魅力はこれに尽きると思っています。

膨大なマジックの歴史の断片をみんなで共有する

以上。

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