2023年にXBOX(初代)にカスタムダッシュボードを入れる
経緯
JSRF、クレタク3、あと鉄騎あたりをやりたくなった。
しかし、XBOXは製造から20年近く経っており、動作確認が済んだ品とは言えいつ死ぬかわからないという状況。レトロPCと一緒である。
Microsoftはソニーとは異なり、この時期から違法コピー対策をOSレベルでガチガチに作り込んだため、バニラの状態では汎用部品を持ってくるだけでは修理できない。
できなくはないが、XBOXのシステムイメージを入手してHDDに書く必要があり、極めてイリーガルっぽい所作になってしまう。
故にカスタムダッシュボードを入れて、HDDなどの部品交換を可能にしておく必要があり、ディスクドライブもなるべく動かさず温存したい。
カスタムダッシュボードの導入はイリーガルではないのかと問われると、ちょっと怪しい部分もあるが、個人で扱う分にはおそらく問題ないだろう。カスタムダッシュボードを導入した機器を販売などしてしまうと確実に怒られが発生するものと思う(不正競争防止法)
歴史
2022年くらいまでの改造事情
XBOXへのカスタムダッシュボード導入(以下簡単に改造という)には、自分が知る限りいくつかの方法がある。
チップをはんだ付けする方法
ゲーム内の脆弱性を利用してインストーラーを実行させる方法
XBOX起動中にHDDをスワップしてPCに繋ぎ替え、必要なデータをコピーする方法
ハードウェア的な手法はそこそこ細かなはんだ付けが必要であったり、盛大に失敗するとXBOX自体をダメにしてしまうなど難易度およびリスクが高いため、お手軽なソフトウェア的な手法が歓迎されている。
3つ目のHDDをスワップする方法は、XBOXのバニラのダッシュボードのバージョンに制限があり(具体的にはXBox Live未導入である必要がある)、この制限に引っかからないバージョンのXBOXを調達する必要がある。しかしこれはあまり現実的ではない。
ソフトウェア的な手法では主に、文字入力を利用したバッファオーバーフロー脆弱性を突くのであるが、あらゆるゲームソフトに都合の良く脆弱性があるわけはない。当時の海外コミュニティの人々が利用可能な脆弱性を持つゲームは人海戦術で調べ抜き、リスト化されている。日本では売上さっぱりだったXBOXも、海外ではめちゃくちゃ売れたのでこういうことができたのである。
じゃあ脆弱性のあるゲームソフトを探してくればXBOX改造できるんだな?!と問われると、そうは問屋が下ろさないとなる。
古のゲーマーの皆さんならご存知だと思うが、このころのディスクゲームにはリージョンロックや映像フォーマット(NTSCやPAL)の違いで複数バージョンがある。当時は北米版は別リージョン扱いで、ほとんどの場合日本リージョンの本体では起動できなかったのである。ここで重大な事実を示しておく。
日本語版のゲームソフトでの利用可能な脆弱性は2023年現在発見されていない。
じゃあ今までどうやってたの?という疑問が湧くのは当然である。答えはアジア版(日本と共通リージョン)のゲームソフトを利用していたのである。アジア版と北米版(PAL版)は内容が異なる場合もあり、北米版で利用可能だった脆弱性がアジア版では使えない場合もある。これを考慮して日本の本体で使えるゲームソフトを調達する必要があった。
整理すると、「脆弱性のあるゲームタイトル」かつ「アジア版が存在し」かつ「アジア版で脆弱性が塞がれていない」ゲームソフトを調達する必要があった。これに合致するタイトルは2タイトルあった。
アジア版のスプリンターセル
アジア版のメックアサルト
これらはかなり有名で、現在でもオークションに出品されれば1万円〜2万円程度の高値がついている。(https://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E7%89%88/2084047852/)
筆者もeBayで探そうとしたが1週間くらいで飽きて止めた。この2本を国内で入手しようとすると、発売20年近くが経過した今、現存する数が少なすぎて不可能に近い。
最新の状況
約20年もの間、日本リージョンのXBOXでは脆弱性を利用した改造が困難だったのであるが、奇しくもXBOX発売19年目の2022年に状況は一変する。
脆弱性を持ち、かつ日本の本体で起動可能なゲームソフトが見つかったのである。
そのタイトルとは「Metalarms : Glitch in the System」
これまでリストアップされてきたタイトルとは異なり、やや多くのステップを踏む(誰でもできる)必要があるものの、画面分割マルチプレイの文字入力部分を悪用し、インストーラーの実行に成功したのである。
北米版がそのまま動くということは、北米の中古市場から調達可能であることを意味していて、ツチノコのような存在になってしまったアジア版スプリンターセルやメックアサルトを探さなくても良い。実際にeBayでの出品も多い(PAL版も含む数字だが)
MetalArmsはワールドコレクション(北米版に説明書をつけただけのもの)として日本でも数百〜数千本の流通があり、中古ショップやフリマでこのバージョンを見つけることも今でも十分可能だ。実際に筆者はメルカリで4500円で買った。相場が上がろうと自分はもう関係ないからこの記事を書いているとも言える。
実際に試してみる
MetalArmsさえ手に入ってしまうと、実は筆者から解説することはない。Redditのスレッドを読んで、手元のXBOXで実行し、自分の目でたしかみてみろ!
https://www.reddit.com/r/originalxbox/comments/rxvwm8/introducing_the_metal_arms_ntsc_softmod_exploit/
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