記述統計と推測統計の考え方
統計学は、記述統計と推測統計に分かれる。
【記述統計と推測統計】
・記述統計(descriptive statistics):得られたデータの特徴や性質を説明するEx)
①図的要約:度数分布表・ヒストグラムなど
②数値要約:平均値や標準偏差などの代表値・散布度など
記述統計学は、推測統計学の前処理に当たるもの
・推測統計(inferential statistics):得られたデータから,手元にないデータを含めた全データの一般的な性質について予測する
Ex)
男女差について検討するなど
【母集団と標本】
・母集団(population):検討しようとしている研究対象全体
Ex)大学生,日本人など
・標本(sample):母集団から抽出された測定値の集まり
Ex)「大学生500人」,「日本人1000人」など
【心理学の研究で標本が用いられる理由】
・母集団全体について測定することは理論的に不可能。
・心理学の研究対象となる人間の数は無限←心理学では,人間の普遍的特性や行動の原理について究明することが目指されるため
・ある時点のある条件のもとで測定された個人の反応は、本来無限に存在するその個人の反応の中の1事例にしか過ぎない←人間の反応は,その時々の個人の心理状態や環境条件によって変化するため
・たとえ母集団の大きさが有限でも,一般にそれは極めて大きく,その全体について調べる(全数調査)ためには膨大な経費・労力・時間を要する
Ex)世論調査
【標本を抽出する方法】
・標本は、無作為抽出(random sampling)、単純無作為抽出法
・偶然でない何らかの原因によって、母集団から偏った要素が選ばれることがないように無作為に抽出する。
・母集団に含まれるどの要素も、ほかにどんな要素が選ばれたかにかかわらず(相互独立)、全て等しい確率で選ばれる可能性があることが保証される必要がある。
【統計学的検定の基本的な考え方】
・統計量(statistics):標本の特徴や性質を記述するために得られたデータから算出される値
・母数(parameter):標本の統計量に対応する母集団での値(母集団の性質を表す値、分布を決める値)
無作為抽出が仮定できる場合、
①ある母数を持つ母集団から繰り返し抽出された標本統計量が、どのように分布するのかを数学的に導き出すことができる。
②抽出標本から導出された統計量に基づいて、対応する母集団の母数を推定したり,2つ以上の集団(条件)の母数に差があるか否かを判断したりすることが可能になる。
②について確率的に判断を下すための手法を,統計的検定(statistical test)や有意性検定(test of significance)という。
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