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媒介分析の方法

この記事では,媒介分析の方法について説明しています。


媒介分析 (mediation analysis)

媒介分析とは,二つの変数の間の因果関係を媒介する変数の影響を検討する分析手法です。

「X→Y」の関係性を考えた時、「説明変数X」は「目的変数Y」に影響を及ぼしています。そのXとYとの間に「媒介変数M」を想定すると,「X→M→Y」という媒介モデルになります。

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媒介分析を行う時の注意点

媒介分析を行うためには,以下の注意点があります。その点について「X→M→Y」というモデルをもとに説明します。

1. X→M→Yの媒介モデルが仮定できることを理論的に説明する
2. 回帰分析によって,「X→Y」のパス係数が有意であることを証明する
3. 回帰分析によって,「X→M」のパス係数が有意であることを証明する
4. 回帰分析によって,「M→Y」のパス係数が有意であることを証明する


まず,「1」は,研究上とても重要なことです。理論的にモデルが構築できない場合は,媒介分析を行うことができても,意味のある結果を得たことになりません。そして,「2」の点を証明できなければ,媒介モデルを説明することはできません。XとYとの間に相関関係が示されないなら,Mが媒介していると言えないからです。研究論文の中には,XとYとの間に相関関係が示されないのにもかかわらず,「X→M」と「M→Y」それぞれのパス係数が有意であることを示して,Mが媒介すると主張しているものもあるそうですが,ナンセンスです。あらゆる統計学的分析は,科学的な知見に基づいて用いられるべきです。


完全媒介と部分媒介

媒介モデルには,「完全媒介モデル」と「部分媒介モデル」があります。

媒介モデルを検討した時,「X→Y」のパス係数が有意であったものが有意でなくなる場合は「完全媒介モデル」と言います。「X→Y」のパス係数が有意のままであった場合は「部分媒介モデル」と言います。どちらのモデルでも媒介モデルが成立していることは間違いないですが,「完全媒介モデル」の方が,媒介効果を主張する強力なモデルと言えるでしょう。


参考文献

Baron, R. M., & Kenny, D. A. (1986). The moderator-mediator variable distinction in social psychological research: Conceptual, strategic, and statistical considerations. Journal of Personality and Social Psychology, 51, 1173-1182.


参考図書


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