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【人事は楽観主義たれ】ピープル・アナリティクスで実現する戦略的人事。

悲観主義者はあらゆる機会の中に問題を見いだす。
楽観主義者はあらゆる問題の中に機会を見いだす。

第二次世界大戦中、ヒトラーの前にフランスが陥落しヨーロッパ全土に悲観論が蔓延する中で、最後まで希望を捨てず戦い続けたウィンストン・チャーチル。楽観主義を貫くチャーチルは、いかなる問題の中にも「チャンス」を見出していたのでしょう。

結論から言います。人事担当者は楽観主義であるべきだと思っています。People Analyticsを通して、あらゆる組織の問題、人の問題の中に、「機会」を見出し、改善し続けることが、これからの人事には必要なのではないでしょうか?そのプロセスこそが戦略的人事の本質であると思います。

戦略的人事実現に向けたフレームワーク

「戦略的人事」という言葉は、どうも捉えにくいイメージがつきまとうものです。概念的には理解しやすいものの、実際に何をすればいいのかなど、曖昧な部分が多いと感じている方も多いのではないでしょうか?

戦略人事とは、人事部は従来の管理業務を中心とした人事から、事業戦略の実現をサポートする、より戦略的な人事に転換すべきであるという考え方

かくいう私も、戦略的人事に対して明確な解を持っていたわけではありませんでした。しかし、4月に参加したロンドンで行われていたPeople Analytics Worldで紹介された戦略的人事のフレームワークが非常にシンプルで、かつ強力なものであったので、そのフレームワークに従い「戦略的人事」を捉えるようにしています。

このフレームワークのポイントは2つだと思います。経営目標の達成をGoalと起きつつ、経営目標の達成への道を、「Key Driver」、「Workforce Capability」、「People Process」と細分化している点。そして、人事は「People Process」のみにしか働きかけることができない。むしろ、「People Process」に働きかけることで、Goalを達成するという思考。
(詳細はこちらの記事を参照してください。)

ワークルールズで、Googleが面接回数を11回から4回以下に削減したという事例が紹介されていました。この事例を、フレームワークを通して考えると以下のようになります。

・Goal:「一人当たり売上高の増加」
・Key Driver:「ハイパフォーマーの生産性改善」
・Workforce Capability:「彼らの労働時間に占める面接の割合」
・People Process:採用プロセス(面接回数)

今までハイパフォーマーが1候補者あたりMaxで10回の面接にアサインされていて、かつ、1回の面接あたりに30分の時間がかかるとすれば、相当の工数がハイパフォーマーにかかっていたことがわかります。この課題をPeople Process (採用プロセス) を見直すことで、改善したのGoogleの戦略的人事というわけです。

「あらゆる問題の中に機会を見出す」People Analytics

People Analyticsとは、「Key Driver」、「Workforce Capability」、「People process」をデータで可視化することであると、私は捉えています。Googleの例で言うなら、「ハイパフォーマーの生産性」がどれくらいなのか、どこまで高めることが必要なのか、「労働時間に占める面接の割合」が現状どれくらいなのか、それをどこまで減らすことで、どの程度「Key Driver」の「ハイパフォーマーの生産性」に影響を与えるのか、そして各People Process (今回の場合は採用プロセス) において、どれくらいの工数がかかっているのかをデータで捉え(可視化)、戦略の道筋を作ることがPeople Analyticsなのではないでしょうか?

People Analyticsを通して人事が行うことは一つです。それは「改善箇所の特定」です。データを可視化して、Goalから逆算的に考えていくと、効率的に行えていない箇所が見える化されていきます。そして、改善の数字的目標設定も可能になるでしょう。つまり、People Analyticsに基づいて発見した課題を改善することが戦略的人事のプロセスであり、People Analyticsを通して発見した問題は、それを改善することで経営目標を達成する「機会」であるのです。

楽観主義的人事が、「戦略的人事時代」に求められる人事のあり方

人事担当者は楽観主義者であるべきなのではないでしょうか?People Analyticsを通して、課題の中に、成長の「機会」を見つけ続けることができる人事が新しい人事のあり方かもしれません。

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