見出し画像

【HRTech Summitレポート】なぜPeople AnalyticsはこれからのHRの中心なのか

2018年6月26日、27日と2日間にかけて行われているHR Tech Summit in Toronto。初日のスタートを飾るキーノートは、David GreenさんのPeople Analyticsに関する講演。近年のHR界隈のグローバルトレンドとして、People Analyticsへの注目が明確になる講演でした。

人事データが、グローバル規模でNo1の人事トレンドになるなか、大企業の69%がすでにPeople Analyticsチームを構築し、分析を行なっているという現状。つまりデジタルHR時代において、People AnalyticsはHRの中心となっているのです。

ちなみに「Consumerisation of HR」とは、People Processをいかに改善し、Employee Experienceを高めていくのかという話です。詳しくはこちらのブログをご覧ください。また、組織がどんどんAgileになっていくため、人事もAgileが求められるという部分もこちらを参考にしてみてください。

このように、デジタル時代における人事の特徴は、「Consumerisation」や「Agile」という言葉に代表されこれらの改善や実行の意思決定を支える「People Analytics」こそが、これからのHRの中心であるわけです。データドリブンな人事施策で組織改善やワークフォースプランニングを行うことで費用対効果13倍ものリターンを得ることができるのです。

People Analyticsの始め方

People Analyticsを成功するために必要なことは、非常にシンプルです。それは、経営課題にフォーカスするということです。オペーレーション人事から戦略的人事の一番の違いこそが、経営層にとってのパートナーであり、だからこそ戦略的人事のコアであるPeople Analyticsは「経営課題から始める」必要があるのです。

People Analyticsにはいくつかのフレームワークがありますが、今回は8つのステップというフレームワークが紹介されていました。

①ビジネス上の課題に注力する
②仮説を立てる
③データを集める
④データ解析を行う
⑤仮説を検証しインサイトを得る
⑥解析に基づき、アクションプランを構築する
⑦アクションプランを実行する
⑧効果検証を行う

Nielsenの事例

Nielsenはアメリカ・ニューヨークに本社をおくマーケティング調査会社です。日本にも拠点をおくグローバルカンパニーです。そんな彼ら ( Nielsen America ) が抱えていた「経営課題」は離職問題でした。離職がコスト的にも経営を圧迫することが目に見えていたために、この経営課題からPeople Analyticsプロジェクトをスタートしています。

まずは仮説を立てデータから検証していきます。ここで紹介されているのが、「女性やエスニシティの離職率が高い」「リモートワークの社員の方が離職率が高い」という仮説です。これらの仮説を検証していきます。

Nielsenがデータ分析から得たインサイトは下記の3つに代表されます。
①入社一年目が最も"離職リスク"が高い
②性別やエスニシティは離職に影響を与えていない
③昇進だけでなく、異動も離職率を低下させている要素

これらの仮説検証と発見から、新しいプロジェクトを実施します。「Golden Year」プロジェクトは、最も離職リスクの高い入社1年目の社員をしっかりとケアし、コンディションをトラッキングする仕組みです。さらに「Ready to Rotate」というプロジェクトも導入します。これは、社員自らが異動申請を行うというものです。これは、「異動」も離職率の低下を実現しているという発見から導入されたものです。その取り組みが動画で紹介されています。

なんとこれらのプロジェクトの導入の結果、離職率を前年の半分にまで下げることに成功しました。

小さく始めよ!

このようにPeople Analyticsは非常に大きな効果をもたらします。しかしその一方、壮大なプロジェクトとして始めるべきではないとDavidは主張します。小さくスタートし、本当に必要なデータを集め、テストを繰り返していくアジャイルな体制がPeople Analyticsの成功に必要なのです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?