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熱が冷める時

熱しやすく冷めやすい習性が私にはある。

たとえば、スポーツクラブに通ってみようと思った時期がある。平日夜間のみ通うコースは会費が安いという事で、そのコースを申し込んだ。

平日の21:00~24:00の3時間のみ。
のんびりと、週2日くらい通えばいいものを、ゲーム感覚になり、攻略法を編み出しはじめていく。

21:00ジャストにクラブに入館できるように、食事も済ませる。三時間の勝負である。
ズンバダンスレッスンなど、21:30頃から始まる特別メニューを受ける。次第に、すべてのメニューを制覇しようと思い始める。
特別メニュー開始までに着替えてストレッチをし、20分くらいのランニングマシンをすませてダンスレッスンに挑む。1時間くらい。残り1時間半。
各種筋トレマシンで決めたセット数をこなす。すべてのマシンを制覇する。約1時間。残り30分。プールで20分くらい泳ぐ。残り10分、温泉付きだったので温泉に浸かり汗を流し着替えて終了。

これを一か月。実質20日くらいだろうか。すべての特別レッスンもクリアした。攻略法を編み出したと大満足であった。最もローコストで最大限のフィットネス効果を満喫できた。今後はこれを繰り返せばよい。

そう思った瞬間、プツリと興味を失ってしまったのだ。即退会したのはいうまでもない。

似たような話はたくさんある。

登山ブームのときに、登山にハマり、九州最高峰の1800m級の11座の縦走プランを立てた。おまけに山頂で米を炊き焼肉をする。しかも初めての登山。道具からなにからそろえた。単独登頂。

装備品が多いので30kgくらいの荷物だっただろうか。さて、朝日と同時に上り始める。すぐに体が悲鳴を上げる。スネをしこたま岩にぶつけて、骨折したかとおもうくらい痛かった。途中で霧が立ちこみ、道もわからない。GPSを用意しており、なんとか3座くらいを縦走する。途中で100名山制覇を目指すベテランの方が道に迷っていたので教えてあげたりもした。そして、米を炊き焼肉を食べた。そして下山する。

足は痛いし、呼吸もゼイゼイしてるし。動けなくなったら死ぬな、と思った。ようやく、下山できたときは、自分しかわからない達成感であった。

登山口近くの温泉施設に行き、ボロボロになった体をいたわりながら、露天風呂からいままで登っていた山を見上げる。霧におおわれており、あの頂上にいたのかとおもうと現実味がない。

さて、この無計画な初単独登頂を終えて、登山熱はすっかりなくなってしまった。

これ以外にも、列挙すればかぎりなく、このような体験がある。

継続力がないなと反省する気分になる事もあるが、いや、しかしながら、徹底して熱中したな、という思いもある。期間×熱中度の総量は誰しもが同じになるのではないか。そんな事も思ったりする。

自分にとって未知の体験を徹底的にリサーチして、ゴールへの道を追求する。そして実行に移し成功する。そうすると、達成感がある。そうなると、一度達成した事には関心がなくなってしまうのだ。ゴールへの道を追求している時間がもっとも楽しかったりする。

このように、私の50年の人生を振り返ると、このような事の連続であったように思う。

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