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ルックバック 感想


愛を込めて.


月曜日にこんな爆弾落とすなんて最低だ.ほんとうに最低だ.


なんか言いたくなってしまったので書きます.こういう時に何も言わずに「最高!」みたいな一言だけ残しておくシンプルが故の深くて"判っている"読者感.みたいなやつとかいらないので,書き殴りたくなってしまったことを殴っておく.

ついっとに書いたこと.

当たり前だけど、小中学生のときに絵を描いててちょっと褒められて舞い上がった経験があって
でも絵なんて描いても上手くなんないから辞めたって人も漫画描いてたけど面白いモノ描けないし想像力足りないし辞めたってひとも数えたってキリがないくらい何処にだっていて
そうやって何かを諦めて大人になってしまった人があの頃のように少年ジャンプを読んでいて
そして今日は月曜日で
起きたら働かないと食べていけないから社会人になって会社に向かっていて
そんなひとにルックバックを見せつけてしまうのが罪深い
あまりに駄目だった
あまりに大嫌いだ
描かなきゃ上手くなんないよってのは描き続けた人にしか言えなくて45ページって全然完成しそうにないなんて45ページを描き切った人にしか言えなくて
教室で俯いて机に齧り付いて友達無視して
家でも机に座ってひたすら描いて外に出なくて友達と遊ばなくて
後ろ指刺されてもそれでもよくて
ただ描き続けてここまできたのが藤本タツキで
だから天才で、だから藤本タツキは鬼才で、だからこんな漫画が描けてしまって
そんな天才にはなれなかった人たちにこれを強烈に送りつけてくるからほんとうに大嫌いだ
そして
ルックバックを読んで居ても立っても居られなくなって何か描きたくなって机に向かってデッサンに走った読者が少なからずいて
そういう奴らが次の天才で
きっと沢山描いて上手くなるはずで
そういう努力ができるから天才で
そういう奴らが死ぬほど羨ましくてそうはなれなかった沢山の凡人のひとりとして
絵を描き続けれた人たちはほんとにすごい
京アニのアニメーターになった沢山の天才たちもほんとうにすごい
藤本タツキはほんとうにすごい
ほんとうに尊敬している
ほんとうに大好きだ
だからそんな天才が大嫌いだ


こうやって捻くれてて才能あるやつを揶揄するのいつまで続けるの?って言われそう.私は絵なんて描いても上手くならなくて,その割に時間だけが食われて.でも自分の絵を眺めるといつまでも下手で.なんか嫌になって練習もできなかったので.ほんとうに書き続けれた人を尊敬している.いつも素晴らしいものを読めることに感謝している.タツキ先生もチェンソーマンとファイアパンチをほんとうにありがとう.そして,そうはなれなかった自分がいつも嫌い.


映画も詳しくないし深い考察もでなきないので,好きなところの話をする.

藤野にとって,京本から「私っ!!藤野先生のファンです!」って言われたあの瞬間.その一言だけで生きていける気がしてきたんだと思う.学校の友達とかそれに比べると取るに足らなくて.教室で毎日机に座って下ばっか見て絵を描いてて,オタクだって根暗だってつまなんないねって言われたっていいし.その状態を藤野は不安には思ってなかっただろうけど.なによりうまくなんない自分と気づいたら自分の先をいく京本を意識してしまって嫌になって.でも,あの瞬間で全てがどうでもよくなった.

自分のいままでの全てを肯定をするような強烈な言葉で.藤野の言葉にならないあの見開き1ページに詰まった感情を想像すると,想像しきれなくてたまんなくなる.ああいう経験あったとしたら,一生忘れらんないよな.


急に武器持って大学に侵入してくる男がいる.たぶん本当の漫画だったら,なんでそんな突然意味不明な敵が出てくるんだ!とか言われそうだと思う.だってそれじゃハッピーエンドにならないから.藤野と京本でいつか漫画を完成させなきゃいけないから.

でも,これでよかった.こうじゃないとダメだった.これを書きたかったんかな.だって京アニがそうだったもんな.意味わかんなかったもんな.不定形の暴力が気づいたらやってきていたもんな.そういう理不尽あったもんな.ありえない現実って起こり得るから.

わたしは,ニュースでしかあの事件を知らないし,わたしがあの事件を軽く語っていいような重さをしてないのでちょっと書くに困ってしまう.でも,ひさびさに思い出させてくれた.多くの人がそうだと思う.気づいたら忘れてて,誰も話をしなくなくなる.気づいたらこっちの時間は進んでて.京アニはちゃんとアニメを作れるように戻ってて.

ヴァイオレット・エヴァーガーデンを観にいって.一番刺さったのがスタッフロールのあの真っ黒い画面で,ただただ人の名前が並んでは上に昇っていくところ.あの事件の犠牲者の名前がたくさん並んでて,名前みても一人も知らなかったけど.京アニがすきだった.ずっとアニメを観てたから勝手に知った気になって.すっごい悲しくなって.あのスタッフロールばっかり記憶に残った.ただの真っ黒の画面で情報量なんて人の名前しかないのに,それなのに.
そのことをルックバック読んだら思い出した.