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詩集を自費出版する際の注意点

あるきっかけがあり、「詩集を自費出版しよう」と思い立ちました。
今後どなたかが詩集を作る際に、何か参考になったらいいなと思います。
(2010年の話です。)

詩集を作る時にはまず何をするかと言いますと、

・詩集の体裁
・内容
・予算

を決めます。
これ決めないと見積りが頼めない。


●体裁について


本の体裁にはハードカバー(硬い表紙)とソフトカバー(柔らかい表紙)があります。
その他、本のカバーのありなし、仮フランス装(表紙が本のカバーみたいになっている)などがあります。あとサイズも決めないと。

図書館で借りる詩集ってたいていハードカバーですが、これは作るとなると高いです。
すごくざっくり言って、ソフトカバーの倍くらいになります。
一番安いのは、ソフトカバーで本のカバーもなし、というもの。
開きやすさで言ったらハードカバー、ソフトカバーで本のカバーあり、の順になりますね。本のカバーがないとなると、表紙が厚めの紙になって、それが本文とくっついているので、ちょっとだけ開きづらいんです。ほんのちょっとだけですが。
サイズには、四六版やA4やB6版がありまして、読み物の本となると四六版やB6版が主流です。
四六版はB6版に比べて、やや縦長の横短。どっちがいいかは、好みかな・・・。


●内容について

内容については、記念に、とか、テーマを決めて、とか、詩の賞に応募するために自信をもって!とか、あると思います。
記念に、というのは、書いたのがたまってきたから、整理整頓もかねて出すかな・・・という感じのもの。
テーマを決めて、は、まあ色々ですが、お説教&人生訓&君は一人じゃないんだよ&自然ってすばらしいね!
・・・という内容のものが多いです。これは書店の詩集コーナーに行くとよくわかるのですが、ステキな写真+詩、とか「落ち込んだ時に読む詩」みたいなのが多いんです。
そっちのほうがまだ需要があるということなのでしょう。
詩の賞に応募する、というのは、詩の賞では詩集の形のものが応募対象なので。別に賞狙いで作る人はいないでしょうが、作るからには、自分の才能を世に問うような内容で、という考えを持っている人もいると思います。
やっぱり、「何のために」「誰に向けて」作るのか、っていうのは決めとかないと先に進めません。


●予算について

色々自費出版の会社を探しましたが、ピンきりです。料金的に安い順を並べますと、

・ブログに書いたものをそのまま本にしてもらう、一冊から印刷してくれる
(ペットの日常、お料理日記などを本にする人多し)

・構成、校正、目次、すべて自分でデータを作り(テンプレートはもらえる)印刷する(表紙は見本から選びます)

・データは作るけど、レイアウトや目次つくりや表紙はあちらにやってもらう

・手書きデータのみで、あとは全部あちらにやってもらう

○印刷についてのあれこれ


・オンデマンド印刷とオフセット印刷

オフセット印刷は、簡単に言えば印刷の原版のさらにゴム印みたいなのを作ってから印刷するもので、オンデマンドは、原版とか作らずにレーザープリンターで印刷するものです。少数印刷(1〜300くらい?)の場合、オンデマンド印刷が主流で、安いです。
オフセット印刷は、写真やイラストなどが多い時や大量印刷向きで、クリアーで綺麗な印刷ができますが高いです。文字だけなら印刷のクオリティに変わりはありません。

・フォント(文字の形)

会社によって、権利を持っているフォントが違うので、文字の形にこだわりたい人は、見本を送ってもらった方がよいでしょう。(私が頼んだところも、普通のワードの明朝とかは使ってなかった。)

○流通

会社によっては、本屋さんに置いてくれるよう取り計らってくれるところもあります。
売れたら、作者に印税も入ります。が、300部からとか、大量にたのまないといけないみたいです。

○ISBN番号
これは、本につけられる番号で、世界共通で図書(書籍)を特定するためのものです。これがあると、この世に存在した本として、検索にひっかかります。


●出版までの流れ


それぞれだとは思いますが、一応流れを書いておきます。

原稿の用意→印刷会社を選ぶ→見積りを取る→半額払う→原稿送る→校正→校正→残りを払う→出来上がり!


詩集の原稿ができたら、まず、ホームページなど見て気に入った印刷会社を選び、見積もりを取る(その際、本のサイズ、体裁やページ数などを記入する。ページ数はだいたいで)
希望があれば、これはできるか、あれはできるか、などの質問をする

色々提案してくるので(見返し紙の質とか、表紙の質とか)色々質問しかえす
何回でも、納得いくまで質問する
この時点で気に入ればその会社、気に入らなければ別の会社へ

この内容、見積り金額、この会社でいいんじゃないとなったら、契約する(契約書類を送ってくるので書名捺印)

半額払う、
本番データを送る(私の頼んだところは、デジタルデータと、プリントアウト紙両方出してと言われました。この時、希望を赤で細かく指定する)

目次、ページ番号の見本が来る、選ぶ

初校正、表紙見本が来る。私の描いたイラストを元に、表紙の案をあちらが作ってくれました。(誤字脱字チェックや、差し替えや、新たな指定をする)

再校正が来る(誤字脱字チェックや、差し替えや、新たな指定をする)

最終確認がFAXで来る(誤字脱字チェックや、差し替えや、新たな指定をする)
残りの半額払う

印刷

出来た!

本データを出してから、2ヶ月半くらいです。
データを作るまでは1年くらいかけてだらだらやっていましたが、いざスケジュールの中に組み込まれると「いついつまでにチェックして送り返してください」と言われるので、有無を言わさず作業が進みます。期限があるって、ありがたいね!そして、しつこくチェックしているにも関わらず、いついつまでも誤字脱字を発見しつづけるという、チェック能力のなさ加減。自分ひとりでは見落としがちなので、家族とか、友達とかに手伝ってもらうべきですね。こんなに何度も読んで、まだ、あったらと思うとぞっとします・・・。

●かかった金額

見積もりによれば、150ページで30部130000円、50部138000円(税別)見返しや表紙の質により、値段は高くなるらしい。
60部130ページで12万くらいでした。

●注意点

・右下のページ番号のスペースを考えておくこと。(私がワード上で書いてたのは、ページ番号なしだったから、実際本にするとなるときつきつで、なんとかしてもらった)
・初校・再校でくる印刷見本は、外枠ありだけど、実際はそうじゃないので、外枠を切り落として眺めてみたほうがよい。


おまけ。


・国会図書館へ〜
本を作ったら、国会図書館へ寄贈すると、ずーっとー残ります。その本の値段を送ってきてくれるみたいです。

おまけその2

・共同出版〜?
自費出版会社には、「共同出版しませんか?本屋にも出ますよ〜」という勧誘を行うところがあるらしいです。共同出版というのは、会社と作者がお金を出すという名目ですが、とっても高額らしいんです。で、数百冊も印刷して、売れ残った場合は倉庫に保管するんですが、年間何万と保管料を取られるらしい。で、保管しないとなると断裁処分ということになっちゃうみたい。そりゃあ悲しすぎる。

作ってみた感想


ネットではいいかな〜と思っていても、いざ紙に印刷するとなると、いまいち。という詩が私には多々あって、それが発見でした(オイオイ)。なんだろう、詩集となると、真面目に読もうという気が起きるのか?これは、プリントアウトしたのをホチキスでとめて製本、というのとはまた意識というか真面目度が違います。
あと、自分らしいって何かなーとか、誰のために書いてるのかなーとか、そのへんいつも漠然としてるんですが、そういうのも決めないとまとまりつかないので、ちょっと分かります。

それから、後の整理整頓が大変だから、あんまりいっぱいネットに出さない方がいいなとか。まあ私は詩集を出そうなんて恐れ多くもおこがましくも分不相応なことは考えてなかったので、どんどん書いては出していたのですが、(ネットに出せば読んでもらえて、それで十分じゃんとも思ってた)人生何があるか分かりませんねー。

自費出版してよかったこと

大袈裟だけど、生きた証みたいになります。
あと、尊敬する詩人の方3名から書評やご感想をいただいて、すごく嬉しかった。
あと、「この詩のスタイルはもう卒業でいいな、よし次行こう!」という区切りになります。

売ってます

作った詩集はこちらで販売しています。

https://fururuusa.booth.pm/


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