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ディケンズ『荒涼館』を読む。その2

第2巻。登場人物、ちょい役かなーと思って読み流してると後で沢山出てきたりして、読み返すこと多しです。特にぽっと出の医師ウッドコート。エスターに気があるみたいだけど、1巻では会話もないしそんな素振り全く書いてなかったじゃん。新しい人が出てきたら、ちょい役でもメモる事にする。ネタバレしてるので嫌な人は一番下の感想をご覧ください。(『荒涼館 (ニ)』ディケンズ作 佐々木徹訳 (株)岩波書店)


第十七章 エスターの物語 リチャード真面目にやってない。やっぱりねー。遺産を当てにしてるし、真面目にコツコツが向いてない。今度は弁護士目指すって大丈夫か。エスターに恋の兆し?ここがすっごく可愛くて良かった!女子たちがキャッキャしてるところ。エスターは彼を意識してるんだなーってところが結構ある。9歳年上でインドか中国に行っちゃった青年医師のウッドコートさんとやら、エスターを頼むよ。

第十八章 レディーデッドロック 筋肉イケオジのボイソーンさんのお屋敷に遊びに行く。教会でデッドロック夫人を見て、エスターが何か思い出す。二人、何か関係が?雨の庭の描写にディケンズの文才が光る。ジャーンダイス氏は以前はデッドロック夫人の姉とよく会ってたらしい。デッドロック夫人のフランス人の召使いが新しい美女メイドの代わりに?クビになる。

第十九章 そこから動け! 文具商スナグズビー家にチャドバンドという無宗教宣教師?みたいな人が呼ばれる。めっちゃ食べるし喋る人。その人の妻が、エスターと知り合いだったみたい。掃除小僧のジョーが警官にそこから立ち退けと怒られる。ジョー少年はガッピー氏が連れてきた。ガッピーはエスターのことを聞いて喜んでる。ジョーは持ってたお金の事をある夫人からもらったと話す。

第二十章 新しい下宿人 ガッピー氏の話。ガッピーのいる法律事務所にはリチャードも見習いでいて、ジャーンダイス裁判の事を調べてる。ガッピー氏に憧れてるスモールウィードは15歳でもう弁護士。ガッピー氏の友人ジョブリングが来る。登場人物多すぎ。元同僚のジョブリング氏は失業中なのでガッピー氏が代書人の仕事と住む場所を紹介。阿片で死んだネモ氏の部屋。そう繋がる訳ね。無事に家の契約をする。

第二十一章 スモールフィード一家 の話。15歳弁護士には双子の妹と祖父母がいる。高齢らしい。おばあちゃんはかなりボケてる。おじいちゃんがそれを怒る。ケチでお金持ちの金貸し。妹は召使いをこき使ってるしガミガミ怒る。イライラがいつもあるみたいな状況、辛いわー。老人たちの描写が秀逸で面白い。元軍人のジョージとやらが利子を払いにやってくる。ていうか、召使いにみんなのお茶の飲み残しをあげてるよ。そういうもんなの?

第二十二章 バケット氏 文房具商のスナグズビー氏が弁護士タルキングホーン氏に極秘で呼ばれる。警官のバケット氏と一緒に掃除小僧のジョーを探しに行く。ジョーを連れてくると、デッドロック夫人のクビになった元召使いがいて、それを見たジョーは前にネモのことを教えてとお忍びできた夫人に服装がそっくりだと言う。タルキングホーン氏は、代筆人ネモとデッドロック夫人に関係があると睨んでる。デッドロック夫人は召使いの服をきてわざわざネモのことを調べに来た。一体どういう関係?

第二十三章 エスターの物語 エスターがリチャードと会って真面目にやれとお説教するけど全然響いてない。遺産を当てにしすぎるし、借金は作るし、陸軍に入るとか言い出す。このいい加減な性格…自覚してるけど治らないみたい。その後ネグレクト母の娘キャディーと会う。キャディーがエスター好きすぎてこっちも嬉しくなる。二人の会話がほんとにかわいくて、女子がキャッキャしてる様子がうますぎる…ずっとディケンズの女子トークを読みたいよ。キャディーの婚約者プリンスとエスターも一緒に、プリンスのしょうもない父に婚約を報告。プリンスは父親に絶対服従らしい。父親は結婚を許すけど、子供の収入を搾取し続けるつもりらしい。マインドコントロールしてるわ。次はキャディーが母親に報告すると、ダメと冷たく言われる。かわいそう。エスターが帰ると、なんと、チャーリー(父が死んで兄弟4人で孤児になった、一番上の子)が、エスターのメイドになったと言う。ジャーンダイス氏が雇ってあげたんだ。やさしい。

第二十四章 上訴 リチャードは弁護士諦めて陸軍に入ることになり、ジャーンダイス氏にいったんエイダとは別れるように言われる。まあそうなるわな。陸軍に入るため、エイダなしでロンドンで買い物。元軍人のジョージ(スモールフィールド氏からお金借りてた人、射撃場経営)と知り合う。リチャードとエスター、ジャーンダイス裁判があるというんで法廷に。よくわからんうちに何も進展せず終わる。リチャードげっそりする。そこでまたジョージがいて、グリドリーを匿ってるという。なんか悪いことして逃げてて死にそうになってるらしく、傍聴好き変なおばあさん(フライト)とグリドリーを会わせたいって。みんなでジョージの射撃場に行くと、刑事のバケットがいる。ってもう〜人多すぎ!と思ってたらグリドリー氏亡くなった…。グリドリー氏は結局、遺産裁判で経費かかって損してそれで弁護士を脅迫したりして最後は弱って?死んだ。孤児に優しくて、わりといい人だったのに。

第二十五章〜二十七章 スナグズビー夫人は何もかもお見通し 射撃の名手たち 元軍人は一人ならず 短い章が続く。スナグズビー夫人は夫が何か隠してると思ってて、掃除小僧のジョーが隠し子じゃないかと疑う。ジョージの所に金貸しじいさんスモールフィールドが来て、ホードン大佐(借金残していなくなった)は生きてるかもという。ジョージとじいさんはタルキングホーン氏の所に行く。タルキングホーン氏はホードン大佐の筆跡鑑定したいから、一緒にいたなら手紙とか見せて。と言う。ジョージは友達のバグネット氏(の奥さん)に相談。何か怪しいので手紙見せるのは拒否。ジョージと足の悪い召使いの過去の出会いの話が良かった。話しかけてくれて、あったかい飲み物をもらったみたいだったって。

第二十八章 鉄工所の親方 デッドロックのお屋敷。デッドロック家の親戚のヴォラムニアおばあさんがちょっと出てくる。絶対この人もちょい役じゃないね!デッドロック夫人についてる美人のメイドの縁談話。気に入ってるからメイド辞めさせないみたい。縁談はなしになるのかな。

第二十九章 若い男 ガッピーがデッドロック夫人を訪ねて来る。すごいキョドりながらも(笑)エスターが夫人にそっくりなこと、エスターの本名を知った事、エスターの父らしき人が死んだ事、夫人はエスターと関係があるのでは?など話す。名推理じゃん。エスターと結婚したいから、エスターに有利になるならと調べてるらしい。そっかーーやっぱりエスターは夫人の娘で、代書人で極貧でアヘン過剰摂取で死んだネモことホードン大佐が父親。エスターの育ての親はデッドロック夫人の姉。なんでエスター死んだ事にされてたんだろ。お前はお母さんの恥。とか言ってたから、家柄違う同士の恋ってこと?エスターがデッドロック夫人にそっくりなら、エスターは超美人て事では。

第三十章 エスターの物語 ウッドコート青年医師のお母さんが遊びに来る。3週間もいる。その間ずーっとエスターに家柄自慢と息子の結婚相手は相応の家柄じゃないと。と話す。聞き役を断れないエスターかわいそう。ウッドコートは荒涼館にちょくちょく来てたらしいね。その後、めでたいことに、友達のキャディーの結婚式。キャディーの家に手伝いに行く。またまた汚部屋の描写に力が入る!この辺、ディズニーが映像化してくれないかなー。絶対面白いんだけど。招待客はエセ偽善家だらけでどうしようもない人たちだけどジャーンダイス氏のお陰で何とか場は良くなったみたい。お父さん想いのキャディー。幸せになってね。

第三十一章 看護する者とされる者 病気になった掃除小僧ジョーの面倒見たせいで、エスターのメイドのチャーリーが病気になる。顔が変わると言ってるから天然痘とかかな。治ったら今度はエスターがうつる。目が見えないって大丈夫?そういう不幸な展開いやだなあ。

第三十二章 約束の時間 ガッピーが友達のジョブリング(偽名ウィーヴル)と会う。ジョブリングは下宿大家のガラクタ屋のクルックに、多分エスターの父で阿片中毒で死んだネモ氏の鞄から盗んだ手紙(女性の筆跡、多分デッドロック夫人からの手紙?)を字が読めないから読んで欲しいと言われてる。死んだ人の手紙盗んじゃだめでしょ。約束の時間に下にいくと、何かが燃えていて、どうやらおじいさんは自然発火で死んでいて、手紙もない。自然発火ってオカルト、この時代普通だったの???

荒涼5

感想

エスターの出生の謎が解けてスッキリ。相変わらず新しい人がどんどん出てくる。人々を戯画的に生き生き描いてる感じ、ディズニーアニメの強調された造形と大げさな仕草を思い出す。つまり目に浮かぶほど描写が上手くて面白い。いつの時代も自慢屋がいて、聞き役はそれを断れないで悶々とするし、自分の話題にしか興味がない人っているんだなぁ。ディケンズって女性じゃないの?って思うくらい、女性同士の会話とか、母親が息子自慢しまくる感じとか、よく書いてあってうまい。人の仕草や部屋の様子なども、ささいな事をじっくり観察して真面目に書いてて面白い。あと、貧しい人々への優しい眼差しをそこここに感じる。ディケンズも貧しくて苦労したらしい。エスター病気はどうなるんだろ。産みの親には会えるのかな?だんだん面白くなってきました。エスターは良い子だけど内心なかなかに辛口で、いい感じ。



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