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パトゥムタニ日記vol.41〜タイでも多分、棄てられている〜


日本に輸入されたバナナが、大量に廃棄されているという記事を読みました。

そして、生産地フィリピンでも輸出前に、
規格外として大量のバナナが廃棄されているそうです。

やっぱり、というか。そりゃそうだ、というか。

自分でバナナを育ててみればわかります。

木から切り取られた青いバナナが黄色く色づくのはあっという間。
それまで緑色でカチカチだったバナナがうっすらと色付き始めたら
房全体が黄色く変わるまで、タイの気候では2日とかかりません。
みるみるうちに、という表現がぴったり。
翌日にはもう、黒い斑点が出てきます。


海外の農場で収穫されたバナナが日本に輸入されて
店頭に並ぶまでどくらい時間がかかるかわかりませんが
あの、色も大きさも美しく揃った黄色いバナナには
並々ならぬ苦労と技術ががあるに違いない。
それでも、技術でカバーしきれない部分が廃棄となるのか。

記事で取り上げられている会社、ドールでは年間約1000トンのバナナが
規格外とされているとのこと。
そのうち9割以上を動物園やフードバンクに寄付しているという事ですが、
それだけの廃棄分を見込んでバナナの価格設定がされているなら
結局、消費者は安くはないバナナを買っている事だし、
仕入れ価格を安く叩いているなら生産地が被っていることになります。
ドールだって手間もかかるだろうし。
捨てなきゃ良いって事じゃない。誰も得をしていない。
根本的に何かが間違っているモヤモヤ感。


記事を書いた記者の方がこんなことを書いています。

私も思い当たる節があります。

スーパーに行くと必ず手に取るバナナ。家で少しでも長く保管しておけるよう、
傷のない青いものを見つけて買っていました。

日本人って、元々、食べ物を残したり捨てたりする事への罪悪感が
とても強いと思うんです。
私は、好き嫌いをするな、給食を残すな、米粒を残すなと言われ、
食べ物を粗末にするとバチが当たると教えられました。
多分、多くの人が子供の頃に同じように言われたと思います。
だから,自分は食べ物を棄てたくない。
買うときは、出来るだけ長く置いておける物を選びたい。
消費期限間際のものを買ってしまったら、食べきれず
自分が“棄てる人”になってしまうかもしれない。それは嫌だ。
コンビニのお弁当を奥から取ってしまうのもそのせいかも。

我が家のバナナは一週間でこんな状態になりましたが、中味は全く問題ありません。
でもこの状態で売られていたなら、私だってきっと買わないと思う。



「日本の野菜や果物は綺麗すぎる」
よく聞きます。本当にそうだと思います。
タイの市場に行けば、不揃い、当然。虫喰い、上等。
山積みの野菜の中から、いかに新鮮なものを選ぶか、
少々くたびれ、傷んだものを承知の上でいかに値切るか。
おばちゃんとの駆け引きの醍醐味、主婦の腕の見せ所です。

しかし残念な事に、タイでも、スーパーマーケットには
日本並みに綺麗な野菜が並ぶようになりました。
虫喰いなんてなくて、色も大きさも揃った野菜や果物。
旅行か視察で日本に行った人が見習ってしまったんでしょうか。
「日本を見習って清潔な、傷のない、美しい食品を並べよう」
ここでも食品廃棄が出ているんじゃないかと心配になります。

タイ人って、日本人よりも食品廃棄に対するハードルが低い気がするのです。
食べ物を残して他に分け与える事が豊かさの印、とする意識があって
ひいては、ものを惜しまず金持ちぶりたい見栄があります。
シアダーイ(もったいない)と言えば、
棄てた食べ物は土に帰って、また新しい生命になるのだから
惜しむ事はない、とも言われます。
感覚が違うなあ。


全世界の食糧危機が問題視される昨今。
食物廃棄は良くない事だとみんな解っているのになかなか進まないのは、
個人の意識の根っこの所にも、問題があるような気がしました。
もっともっと考えてみたいと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。




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