見出し画像

新訳ウィザードリィWiki。v1.03

人生の選択肢

金が欲しい、地位や名誉が欲しい。
何処かで耳にした「リセットやり直し」や「攻略wiki」が粉々に打ち砕かれ、迫り来る死、そして意識が。いや怒号が目眩を起こす。

意識の狂想曲が断片的な情景となってこだまする。

.......。

見慣れない景色、降り注ぐ雨粒。
異国な情景に戸惑いつつ辿り着いた宿木に似た正門をくぐる。

「よく来たなクソッタレ。
異世界という名の地獄の一丁目にようこそ。」

「楽しみにしていた異世界冒険で最強の勇者になりたいリセットクソ野郎やハーレムパーティに当たるまでルーレットを繰り返す阿呆は今すぐ去れ(笑)」

「カシナートやムラマサなんて幻想的な夢はオナニーティッシュと一緒に萌えるゴミ箱に捨てちまえ。」

「此処は自己肯定感丸出しの世界ではない。分かったか豚野郎」

選択肢

キミは今すぐ立ち去りぬるま湯で自己肯定感を得る下卑た日常に帰ってもいいし、

目に光を灯す不思議な教官と名乗る人物に興味が湧き、次ページに進んでもいい。

訓練場

よし。半数は残ったかゴミ溜め野郎ども。これからウィザードリィWikiを説明する。

おい、そこのトマト野郎!
異世界ゲームタイトルを指定するな!
全て同じ説明で勝利に帰結する。
引き返すなら今のうちだ弱者め。

まず。1人だけ、前に出ろ。

名前なんてどうでもいい。お前の職業を申告しろ。どうせ殆ど帰れない。

職業の決め方?馬鹿野郎!
ハローワークなんてガキの寄り合いステーションなんて知らん。

お前が確固たる決意を持って死なない職業を名乗れ。

....そうだ。それでいい。

性格?なんでもいい。
どうせ悪に染まる、墓を暴くからな。

おいそこのお坊ちゃま。
他人のお墓の死体なんて死者の冒涜だ?言い方が違う。

あれが、宝の墓だ。

よし、殆ど逃げ去ったようだな。
くくく。
ようこそ強き愚か者よ。案内してやる。ついてこい。

迷宮ーlabyrinthー

すまほ?そんな紛い物に用はない。
ランタンだ。卒業祝いにくれてやる。

火を付けたら中に入れ。今回だけは教官も同行してやる。

完全な無法地帯だからな。

到着。

大人が横に3人で獲物を振り回すほどの矮小空間。
これが迷宮と呼ばれている所以だ。
聞こえるだろう?断末魔の雄叫びが。
あれが未来のお前達だ。

ほほう。最後まで残った美しい半死半生ども。ここで最終レッスンだ。

お前達が一生遊んで暮らせて名誉も富も思うがままに。それが最奥にある。

それに惹かれ狼や悪魔の皮を被った奴等が跳梁跋扈している。明日は我が身だ。自己保身術は経験で学ぶのだ。

妖怪悪魔の類?あれは全て出鱈目だ。
ヒトだよ。その内わかる、出身地に差はあるがね。

次!
あの狭い空間だ。
間違っても数百人など多人数で挑むな、瓦解や軋轢を起こす。
せめて前後6人までだな。背後から優しく近寄ってきた同業者に爆弾で木っ端微塵にされたくないだろう?

味方の裏切りを防ぐために同じ性格や気持ちを共有する仲間を探して挑め。
主義主張が変わると碌な事がない。

これで最後か?いやもうひとつ。

時折、「カタコーム」と蔑称がある扉に似た偽装空間がある。

異世界迷宮の基礎設計?
そんなモノあるわけがない。

例えばだ。
今後、絶望的な中、奪われた死で袂を別つ仲間の思い出や財産があったらどうする?隠すだろ?それが「扉」という名の偽装工作だ。

全冒険者の回収予定地、即ち屍体安置所。通称「宝箱」と蔑称がついてる理由だ。

他人様へ死者の冒涜と見ぬふりをするか、追い剥ぎに興じるかはお前次第だ。止めはしない。判断は委ねる。

だが。

ここは地獄の一丁目だ。
狡猾に盗られない工夫が施されているとしてもおかしくないがな。

最終判断はお前らに委ねる。
さあ地上に帰るぞ。卒業式だ。酒場に行くぞ。俺の奢りだ。

酒宴後、深夜。

雑踏にこだまする酒宴

不味いエールだろ?
一件しかないからな。だが飯にありつける。同種の変人募集に困ったら此処にこい。運はお前次第だがな。

これで無事卒業だ。
今後は宿舎に入れ。
間違っても牛小屋には近寄るな。

ヒトとして人格を保つならな。
カネを払い常識を保て。

迷宮には悪魔や化け物が闊歩している。ああなりたくはないだろう?

さぁて。
逝ってこい。そして学べ。

その経験がお前の力になる。
....ウィッ🍺

気狂い気味の教官が背を向け酒を煽った刹那、意識が跳躍する。

終着駅

嗚呼、....記憶の残滓が戻ってくる。
現実か?虚構か?

どうやら置かれている状況は思わしくない。

だが。

カシナートやムラマサ、ブランド品にアクセサリーなどの欺瞞心に満ちた虚構の自己肯定感ではない。

必要なのは、
強い生への執着心と行動力だな、これがリセットがない理由かクソッタレ!

やればいいんだろう!
酒飲み教官!

絵描きエッセイ:花笠ペノコ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?