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映画ドミノ

ドミノというのはヒュプノティック(超能力)によって人間を平板化し、最初のキッカケだけ作ってやれば、あとは結論までが計算可能な決定論的な管理社会を作りたい!!っていうヤバいおじさんの計画のことで、あんまり物語には関わってきません。ヤバいおじさんがヤバい事をする動機ってだけ。

このドミノ計画の中心にいるのがスーパーパワーを持った“ドミノ”ことベンアフの娘、ハラ・フィンリー演じるミニーです。この子初めて知ったけどめちゃくちゃ可愛らしかったです。美人さんでした。

ちなみにヒュプノティックは他人に催眠をかけて、思う通りの仮想現実を見せる事で行動を操る超能力のことです。要するに、見えないVRゴーグルを相手に被せる能力のことです。

この映画のバトルシーンはそんなVRゴーグルの被せ合いです。

で、この娘をヤバおじ率いる超能力開発軍団から守るため、ベンアフレックはデスノートの所有権を放棄して自分の記憶に蓋をして、娘が成長してオレツエー状態になるまで亀のように耐えているわけです。

どうりで序盤の死んだ顔のベンアフレック。娘の成長までの時間稼ぎに組織へ情報を渡さまいと、圧縮された4年間を12回も再演され、廃人のようなやる気のなさです。

ご飯も食べず、水も飲まない。喧嘩だけ強い死に体のおじさん。いつものベンアフレックなら娘の誘拐犯である青年を私人逮捕して地下室で拷問くらいはするはずなのに、妙におとなしい。

これは一体おかしいぞ?と思い始めたあたりで物語の蓋然性が破綻し、ベンアフは終わらない夏休みを繰り返していたことに気づきます。

ようやく目を覚ましたベンアフレック。ここから大逆転劇が始まるぞ!と思いきやそうでもなく、特に表情も変えず、組織から強奪したバンでヌルッと娘を隠していた養父母の家に行き、ミニーを確保。ミニーはなぜか全てを察しており、その圧倒的な力で組織を蹂躙します。20人近くの組織のメンバーをぶち殺した後、一瞬の躊躇いもなくヤバおじにヒュプノティックを発動。ヤバおじは自身の鳩尾に銃弾を三発自分でぶち込んで事切れます

9歳ながら、人を殺しても表情一つ変えないミニーの精神の荒廃っぷりに驚きを隠せません。ベンアフレックよりも遥かにメンタルケアが必要に見えます。

その間、ベンアフレックはミニーの背後で腕を組み、心なしか嬉しそうにどこか遠くを眺めています。お前も頑張れよ!と思わず言いたくなりますが、ベンアフレックは疲れています。優しくしてあげましょう。

こうして親のカルマを子供に拭わせる野崎まど的な物語が完成します。三つ編みも自分で編めるようになり、父と母を助け、眉ひとつ動かさずに人を殺し、人生を達観し切ったミニーに今更ベンアフレックはなにができるのでしょうか。

設定の後出しジャンケンでサスペンスが進行するので、こちらとしては微妙に熱中しきれない微睡のような映画でした。
僕は割と好きな映画ですが、インセプションの大迫力映像を期待させる事前の広告はいただけません。

インセプションとは比較にならんくらい低予算で作られた映画だと思う。

あと、最後ヤバおじが生きている不要な描写で遊ぶなロバートロドリゲス。続編作る気ないやろ絶対

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