グッドラックヒトスジシマカ


深夜に家を出て
公園で風を感じて
ベンチはどこかの2人組に座られていて
おいおいいやはやだなあとなって
サブのベンチに座って
イヤホンからは宇多田が流れていて
足首がかゆくなってきて
まだ蚊がいるんですか
でも蚊も秋を感じていて
焦っていると思うとなんだかなあ
歩けば蚊にさされないとなって
秋を恐れる蚊とバイバイして
けれども星も雲もみえなくて
たばこをくわえた一人の青年がいて
草履と地面の音を鳴らしていて
無音な街に響き渡って
たばこをポイとして
マンションに入っていった
たばこの火がだんだん消えていって
夏も終わろうとしている
商店街を歩いて
アーケードが空と分断していて
どこもかしこも境界だらけで
ゴミ袋が店の前に並べられていて
自転車が通り過ぎていく
向こうでは自販機が光っている
向こうでは信号機が動いている
沈黙のトンネルに沈みたそうに








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