金亀虫、あまやどり

ぼっくりのない樹に蜂と雀と鳳蝶。カタカナにすると、というか予測変換で出てきたから漢字にできただけなのだけど、ということはよくあると思う。夏の昼、動物の形をした雲をみつけるみたいに。

大きな鳥の影が頭上を通ったと思い、阿呆の子どものように顔を上げればアゲハチョウであった。コンビニでから揚げ買いつつ急いで部活に向かう中学生みたいだった。マツをカクレクマノミのイソギンチャクみたいに扱うスズメバチがいて、人類はスズメのリズミカルな鳴き声とハチの訝しい羽音に一時的な防衛本能にまかせ屋内に避難せざるをえなかった。

1年に2週間しか花を咲かせないくせにグリーンな葉がひまわりのように天高く背を伸ばしている。梅雨の窓にうつる自分の顔に飽き飽きしはじめているであろう洗濯物越しにはよりいっそう光ってみえた。今朝、水たまりを越えようとしていたカナブンは今ごろ山を越えただろうか。カナブンとコガネムシの違いを調べようという意気は4畳半の和室の夢に消えるかな。

梅雨、かえるの葉っぱとかっぱのお皿で雨宿りできていたならこれほど心落ち着くことはないな、水泳教室の帰り道.


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