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砂と空の境界線にラプソディ

太陽にみたされた夏とは程遠い雨と自粛のあの夏がちょうど終わるころに彼は「瞼を閉じて高い空に溺れたらいい。そして息ができなくなって沈むと湖底に風が吹くだろう、それから広い砂に埋まった家の屋根の上にのぼって瓦の上を走る。疲れて休憩しているとプロペラの音がきこえてくる、目を向けると大量の魚を運ぶおもちゃの飛行船が街に落ちていく途中でそのときやっと気づくんだ、ああ、これで終わりって。ほんとうに勇ましいよね、困っちゃうほどに。魔法にでもかかってるんじゃないかな。じゃこれから友だちとおにぎりを食べる約束があるからまたね」と言った。

いまの僕がひとつだけたしかにわかることはその友だちはもういないということだ、あの有名な絵本の結末みたいに。

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