無意識なあくびのなか

水色の風に乗るピエロが潤った眼で昨日の夕晴れを見つめている。モナリザが海の向こうで人影が星クズみたいと笑っている。春色の匂いが冬の麦わら帽子に吹く。

虚数な若者たちは解答用紙に偽りな言葉を書き殴る。やっとそれが終わり、次は?まわりの景色を写真に移しかえる。息詰まる街を駆け回るだけ。そしてすぐさま次の景色へ向かう。SOS、SOSと叫びながら。

ランダムの集大成なきみは深い夢に溺れつつある。ひとり歩き続きるきみは愉快な放屁をこなし不器用にも測り方も知らずに自分の体温を測る。永遠に消えない瘡蓋を優しく撫でながら。

少年が難攻不落な正義に大きなあくびをぶつける。お腹が痛い、くたびれた、そしてお腹が痛い、されど大きな無意識のあくびを続ける。背中に重くのしかかる運命が深い霧の如く少年の声を覆う。ぼくはここにいるよ、わたしはここにいるよ、優しい声がまたこの季節にとり残されて。


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