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シリウスは8年前だ

月は意識 風は無意識 春は野良猫

桜散るこの季節、ぼくは水たまりのそばで寝そべることが好きだった。だれひとりいないこのしずかでとうめいなせかい。昼間に賑やかだったこの場所は星が光りはじめるとだれの声も聞こえない。まるで死んだあとの世界みたいに。波に揺れる星の彩り、
黒く澄んだ宇宙の正義、南の空に太陽の影。

なんとなくそろそろ頃合いか
そう思い久しぶりに歩きだす
ひとりの老人がベンチに座っている
彼は黄金に輝く月を眺めている
まるで人類の足跡を探すように
ふたつの瞳は温かな微笑に支えられ
一瞬、月光が瞳の奥で煌く
まるで静かな陽のように
ぼくは愉快な自分を発見する
夜なのに、水色の風が吹いている


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