時の量はひつじ雲みたいに

そういえば最近、魔法使いという言葉、というかその文字の羅列を見ていない。季節は秋。正確には夏の終わり、夏と秋の境界、こちらと向こうの水際、二度寝までの曖昧な10分間、なんというか神様によってすぐに記憶や思い出から消されてしまいそうな、消毒液ワンプッシュで除菌されてしまいそうな、いまはそんな時季なのである。

もし、こういった時の量がロケットに詰め込まれ飛ばされるとしたらどこまで飛んでいくだろう。過ぎ去った時の量をはるかに越え、三日月の隙間をするするとすり抜け、冥王星あたりまでぶっ飛んでくれたら、僕は嬉しい。

冥王星の桜とはどんなものだろう。想像するに、想像できない。それは来週初めて会う人の1番好きな植物を想像することに近い。火星と水星ぐらいに、いや火曜日と水曜日ぐらいに近い。それらの間隔が近く感じる(特にそう感じないという人もいると思うが)要因を考えてみる。たぶんそこにはいろんな魔法使いがいてひつじ雲みたいに水たまりを移動するアメンボのように、蝶みたいにひらひら風に散る桜のように、自分たちの箒を飛ばし合っているのだと思う。めぇ。


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