内閣官房職員378時間残業の勤務状況とは

先日の報道において、内閣官房でコロナ対策を担当している職員が最大で378時間もの残業をしていることが明らかになりました。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021030500852&g=pol

私も公務員時代には残業はそれなりにありましたが、さすがに378時間は異常だなと感じます。インパクトのある数字ですが、実際に378時間の残業とはどのような状態なのでしょうか。実際に計算をしてみると勤務実態がイメージしやすいと思います。

報道によると調査対象となったのは2021年1月のようです。378時間の残業ですので1日も休みがなかったと考えるのが妥当でしょう。その場合、1月の勤務日数は以下のようになります。

平日:19日
土日休日:12日

国家公務員の勤務時間は7時間45分ですので、1月の正規の勤務時間は合計で7時間45分×19日=147時間15分です。正規の勤務時間147時間15分と上記残業時間378時間を合計すると525時間15分となりますので、この職員は1月に525時間15分勤務していたことになります。525時間15分を31日で割ると16.94時間となりますので、1か月間毎日休みなくほぼ17時間勤務している計算になります。

1日17時間勤務というのは、昼休憩で1時間休むと仮定すると午前9時から午前3時まで勤務している状態です。

どうでしょうか?
河野太郎大臣の発言の通り、もはやブラックとかそうゆう次元を超えていると思います。

内閣官房は、「国会対応や緊急事態宣言発令に伴い、専門家らとの調整事務が増えた」と説明しているようです。

2021年1月だけが異常な状態だったということなら、まだマシかもしれませんが、毎年6月頃までは通常国会は開催されていますし、現在も緊急事態宣言が首都圏では継続されていることを考えると、(多少は改善されているのかもしれませんが、)今も同じような勤務状況と推測する方が合理的な気がします。

378時間残業した職員の年齢や職位が分からないのであくまで想像ですが、入省4年目〜10年目くらいの係長か課長補佐クラスの職員である可能性が高いでしょう。

霞が関の文化として入省1年目〜3年目あたりの若手は雑務に追われて残業が多い傾向にありますが、若手職員は自走することができません(若手職員に能力がないという意味ではなく裁量が与えられていないという意味で)。そのため、入省直後の若手職員よりも、国会答弁作成、国会議員対応、法案の作成、関係省庁との協議をある程度自立して行える中堅クラスの職員の残業が多かったりします。

どんな年齢、職位の職員であれ、このような勤務状況ではいくら本人の能力とやる気があったとしても遅かれ早かれ体調を崩すことは目に見えているので、本当に勤務状況を改善してほしいと思います。

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