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7月第4週放送(いつか憧れの)初段を目指す!スキがない将棋


今回を含めて残りあと8回(ロスが怖い!)

定期購読中の将棋講座テキスト8月号が届いた。8月は第4週がアンコール放送の為、講座は実質3回となるらしい。
どんなにイヤなウィークデーを過ごそうとも、日曜日の朝には爽やかな笑顔の豊島先生に癒される。ささやかではあるものの、自分の将棋に上達がみえることも嬉しい。毎週楽しみにしていたのに、あと8回で終わってしまうのかと思うと切なくなるが、楽しい時間にもいつかは終わりが訪れる。豊島先生にたくさんの基礎を教えて頂いた事に感謝して、しっかりとリピート視聴するつもりだ。

ここまで約4ヶ月間とはいえ、受講前よりも明らかに目のつけどころが変わった事を実感している。棋書は局面図もあるものの基本的には符号の文字情報がメインなので、脳内将棋盤が未完成の初心者にとって、駒の配置や動いたあとの盤面がイメージしづらい場合がある。TV講座だと映像で駒の動きを見られるのでとてもわかりやすく、あの時豊島先生が仰っていた、と印象にも残りやすい。

終盤戦は花火大会のスターマイン

7月の「矢倉」シリーズも今回で最終回となり、終盤の解説テーマは「大技の前にひと工夫」。
観戦していて、なぜこのタイミングにこの一手なのか、なぜすぐ攻めないのかと首を傾げることがあるが、今日はその答え合わせをみせて頂いた。玉をおびき寄せたり、攻めの狙い筋を消したりと微調整しながら着実に相手を詰みへと導くための準備が大切なのだ。

先週に引き続き手数も多く、充実した解説の一部を紹介する。
①の局面。まず☗2一の“と金“をあっさり捨てるという発想が私には無い。貧乏性が染み付いた私には、せめて将棋の世界ではきっぷのいい所をみせたいものだが、目の前に香車があるのでつい欲しいと思ってしまう。
ここから豊島先生は香車には目もくれずに②☗2二と、として、金取りはさすがに手抜けない後手が③☖2二同金と応じると④☗2四飛⑤☖2三歩と進む。
飛車を逃げてしまうと、と金を失った代償につり合わないので、⑥☗4四飛と大胆に竜を切る。⑦☖4四同金と金がうわずったところで、すかさず⑧☗7一角を打ち込む。これで飛車金両取りがかかり、後手はどのように応じても大きなダメージとなるうえに、例えば☗4四角成と進めば、最初に失った飛車と金銀の2枚換えで先手の駒損も解消することができる。
「駒の損得よりも手番とスピード」豊島先生らしい、反撃のターンを与えないまま一気に攻め切る絶妙な手順には惚れ惚れしてしまう。

取れる香車を取らず、
と金を惜しげもなく捨てるのがプロの技

終盤戦は、花火大会に例えるとフィナーレを飾るスターマインだ。あちこちに計算ずくで仕掛けられた駒たちが、詰みに向かってどんどん打ち上げられる。炎色が幾重にも重なり合うことで盤面に美しい終局図が描かれる。
それぞれが暴発しないように、間抜けなタイミングで単発にならないように。プロ棋士の先生方の将棋はまさに花火師の熟練を思わせる。

この手順を発想できるようにするためにも、個人的な課題として詰将棋をもっとやらなければと痛感させられた。駒損しないように、そーっと指していると仕掛けられてからあたふたして、いい所が無く終わってしまう私の将棋は、美しいスターマインにはほど遠い。

お悩み相談「急戦と持久戦、どっちにするつもりなの?」

対局中に、相手が急戦志向か持久戦志向か見分けられずに、対応できずに困る時はどうすればいいですか、というお悩み相談。これには共感する方も多いだろう。
自分がのんびりと囲いを完成させようとしている途中で、大駒で強烈に仕掛けてこられると準備ができておらず、序盤から大失敗してしまう。相手の出方を伺い、自分もそれに合わせて追従する能力は特に序盤では本当に大切だと思う。

豊島先生の回答は明快だった。
王様を動かした回数と、王様の囲いの金銀を動かした回数で判断するそうだ。
4手以内:急戦の可能性が高い
5手以上:持久戦の可能性が高い
プロの先生方は戦いながら上手に囲いを完成させていくので、単純に回数だけでは判断が難しい場合もあるかもしれないが、私のようなアマチュア級位者にとっては判断基準があると助かる。相手の思惑を見定めて、何とか呼応する能力を身に付けたい。

ノーネクタイに冷えピタ⁈丸島先生?

今週7月18日(火)には、棋王戦本戦トーナメントの2回戦に豊島先生が登場した。
相手は近藤誠也七段。各棋戦で活躍され、ABEMAトーナメントやSUNTORYオールスター戦などの早指し戦でも無類の強さを誇る若手実力者だ。
この日の大阪は気温36度を超える猛暑日で、頭脳勝負の先生方にとっては酷暑との戦いでもあった。

潤記者の棋譜コメントによると体育座りで天井を見上げ、バンダナのようにもみえるという、白い冷えピタをおでこに貼った豊島先生。冷えピタをおでこだけでなく後頭部にも貼り付けて大切な脳をクールダウンする丸山忠久九段の姿を思い起こさせた。

豊島先生がハチマキを巻く、というと鬼退治の桃太郎か、鉢金の誠の文字も凛々しい新撰組か。戦いの場をつい想像してしまう。
豊島先生は学生時代、運動会の騎馬戦では馬役ではなく武将役だっただろうな…スリムでいらっしゃるし、知略家なのでおそらく何本もハチマキを召し取られたに違いない。もしくは将棋を離れた時の温和さが全面に出てしまい、友人たちと共にニコニコと大将戦の勝負の行方を見守っておられたのか。棋譜コメントのひとことで随分と妄想⁈が捗った。

対局は豊島先生が勝利し3回戦へと駒を進めた。例年真冬の2月に開幕する棋王戦だが、こうして真夏から挑戦権をかけ、棋士達の熱い戦いが繰り広げられている。
どのタイトル戦も、タイトルを獲得する事はもちろんのこと、たった一つの挑戦者の椅子を奪い合う熾烈な椅子取りゲームを制する必要がある。
厳しい勝負の世界に身を置く先生方が、本当に冷えピタが必要なほど体調を崩さないように、存分に実力が発揮できるようにとご健康を祈らずにはいられない。

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