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5月第1週放送(いつか憧れの)初段を目指す!スキがない将棋

スキなし新衣装!

2023年5月7日放送。この日ついに事前告知のあった新衣装のお披露目とあって、居飛車の初回という事も楽しみだったが、期待値的に圧倒的勝利で豊島先生のコスプレに軍配が上がっていた。

ここまで約1ヶ月間、話題として引っ張っていたので、カメラアングルで足元からの”じらし”⁈があるのかと思いきや、バスケのユニフォームを黒のパーカーにレイヤードした姿で山口恵梨子先生と一緒にあっさりと登場された。
そこは国営放送なので品の良さを保ち、過度な演出はしないのだろう。(私はテレビっ子なので洗脳レベルでカメラパーンが染み付いていて、拍子抜けしてしまった。反省…)

ついに恐れていた日が来てしまって、と恥ずかしそうに微笑む豊島先生。最初ユニフォームだけ着ていたらすごいぺらぺらな感じで大丈夫かなと(山口先生堪えきれずに爆笑)パーカーを着た事で何とか形になったと仰るも、爽やかな若手教師が球技大会に飛び入り参加といった感じで、スマートな豊島先生にとても良くお似合いだ。山口先生も女子バスにこういう子いるよね、と思えるほど全く違和感が無い。

背番号は九段の9。この日もTwitterで呟いてくださり、豊島先生が応援しておられるNBAウォリアーズのイグダーラ選手と同じなのがいたくお気に召したそうである。
スーツ、和服、何を着ても素敵な豊島先生だが、おそらく普段着に近いのはこういう格好だと思うので(俳優の杉良太郎さんは家でもスーツだと奥様で歌手の伍代夏子さんが仰っておられたが)リラックスしたいい笑顔が見られる事がファンにとっては本当に嬉しい。

対抗形の駒組みにスキなし!

2009年度の第59回NHK杯予選、福崎九段戦は豊島先生にとっても四段時代の懐かしい一局だろう。先日の将棋フォーカスでも特集されていたが、NHK杯本戦進出には1日3局指して3連勝が必要な過酷な予選をくぐり抜けなければならない。
2009年2月24日、豊島先生は初戦で稲葉陽四段(当時)、2回戦で畠山成幸七段(当時)に勝ち、予選決勝で福崎文吾九段と対戦した。福崎先生は抱腹絶倒のユーモア溢れる解説で大盤解説会でも大人気の先生だが、タイトル2期獲得の実力者でもある。

対抗形(居飛車VS振り飛車)で、向かい飛車で2筋の飛車が睨み合っている序盤の局面から解説がスタートした。
ここで一番やってはいけないのが9八香と上がる手ですね、と豊島先生。ドキリとした。私は臆病なので序盤はとにかく先に囲いを完成させたくて、相手の出方をちゃんと見ていないふしがある。

向かい飛車は非常に攻撃力の高い作戦なので、すぐに戦いを仕掛けられることを警戒しながらの駒組みが必要だそうだ。のんびり囲っていてまだハッチが閉まっていないうちから(潜水艦のように9九に潜った王様のコビンを銀で栓をすること)総攻撃を食らわないように、臨機応変に守りを固めるようにしたい。

☖1四歩の動きに要注意!

前回放送では☖5五角+☖3六桂で美濃囲いの急所を狙われたように、あっ、この形にされたらヤバい、と部分的に形を記憶し、積み重ねていく事が役に立ちそうだ。
今回は、向かい飛車の3二金型で、☖1四歩と指された時の対応についての解説だった。これは次に☖1三桂と跳ねる為の伏線なのだ。
何も考えずに端歩は挨拶と安易に☗1六歩と応じてしまうと、待ってましたとばかりに☖1三桂とされ、まんまと2五の地点に罠が完成してしまう。何とか凌ごうと☗3七桂としても、☖3五歩→☗同歩→☖3六歩と、みすみす桂馬を奪われてしまう。

この場合は、☗6八角と引いておいて、☖3五歩を角で取れるようにしておくのがポイントとなる。
被害を最小限に抑え、悪くならないように指していくにはこういった部分的な手筋をたくさん覚えていく事で耐久力がつくのだろう。

この局面に限り端歩は挨拶ではなく破滅への招待状だ

飛車交換するかしないか、判断にスキがない!

みんな大好きな飛車は一番取られたくない駒だし、持ち駒にしたいランキングがあれば一二を争う人気の駒だろう。だからこそ飛車交換には相当な勇気が要る。とはいえ決断をしなければならない時、豊島先生がわかりやすく考えかたのポイントを教えてくださった。

悩んだら、次の手番で飛車を打ち込んだ時に、龍に成れるかどうかが大切だという。せっかく持ち駒にしても、敵陣に打ち込む場所が無ければ宝の持ち腐れになる。また逆に自陣が飛車を打ち込む隙だらけなら、飛車交換させない方向で指し手を決定していけばいい。

今月のテーマ「玉の安全度を重視したい対抗形」は、対抗形特有の横からの攻めにどう対応するか、居飛車が覚えておきたいポイントをたくさん知る事ができるので来週からの放送もとても楽しみになった。

王位リーグ、終了

この記事は5月9日に書いている。5月8日に王位リーグ最終一斉対局を終えたので、豊島ファンとしては失恋の翌日に匹敵すると言っても大げさではないほどに傷心の1日ではあった。

豊島先生が、大変お忙しいなかで将棋講座の講師を引き受けられた事。それはご自身もタイトル奪取という目標に向かって集中したい気持ちはもちろんあるものの、人気実力ともにトップ棋士であるご自身の立場をよく理解し、自分にしか出来ない事だと、覚悟を決めてくださったのだろう。

関西将棋会館公式アカウント恒例の棋士誕生日Q&Aに、豊島先生が今一番欲しいものに「時間」と答えておられるのを見て涙が出そうになった。その貴重な時間を割いてまで、我々初心者が初段を目指すためにと講座内容を考え、わかりやすく伝え、普及の一助にと尽くしてくださっている。

王位戦に豊島先生の姿が無いなんて、「君のいない夏」でしかない。悲しくないわけがないのだが、豊島先生の将棋普及への想いの強さを感じ、どうしても毎週の予習と復習は欠かさずに続けたいと心に決めている。
9月で講座は終了するが、次に続く王座戦や竜王戦で豊島先生がタイトルを獲得し、一緒に初段免状を申請できるようになれたなら。最高に幸せな結末になる。

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