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棋士とグルメとクリスマス〜SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2023前夜祭レポ〜


舞い降りた幸運のチケット

2023年12月23日。東京・港区元赤坂の明治記念館2階富士の間で、ほろ酔い気分の私は最高に幸せを感じていた。
昨年に続きご縁を頂き、SUNTORY将棋オールスターの前夜祭に参加する事が出来たからだ。
多忙だった1年の締め括りに、大好きな将棋の先生方とクリスマスパーティーができる。ファンにとってこんなに嬉しい事は無い。運良く参加させて頂けた幸運に感謝して、レポートで雰囲気をお伝えしたい。

シャンデリアやクリスマスツリーが煌めく美しい会場

女性率9割以上の華やかさ

大盤解説会では一般的に男女の比率は半々ぐらいがほとんどだが、このオールスター前夜祭では特に女性が多い。髪をアップにしたり、キラキラとした小物で装ったりと、推し先生に会えるのを心待ちにしていたのが伝わってくる。文字通り「港区女子ごっこ」の気分が味わえるだけでもドキドキだ。

立食で座席は決まっていないため、食事は各自が会場後方に用意された料理を取り分けて好きなテーブルで頂く。
しかし入場と同時に多くの方がステージ前方へと詰めかけていた。
先生方が退室された後も食事をしながら歓談する時間はあるので、どうしても前列で見たい方はベストポジションの確保が最優先になるのだろう。
開演と同時に和洋のご馳走がビュッフェ形式でずらりと並べられるので、テーブルでゆっくりとグルメを堪能するのもいい。
「チキンプロヴァンサル」「白身魚のポワレ白ワインソース」TV番組のゴチバトルに出てきそうな、舌を噛みそうなメニュー名のフランス料理から、ほっこり癒しの出汁の沁みた「おでん」まで、どれも本当に美味しかった。

ドリンクにはビールやワインなどのアルコールも用意されている。グラスが空になる前にどんどんサーブされるのでついついペースが上がる。コロナ禍の間はパーティの機会もずっと無かったので、久しぶりの華やいだ空間に心も躍った。

料理は量も十分でフルーツ等のデザートも用意された

歓声の上がるオーダー発表

今回からファン投票枠が2人から3人に増え、トーナメント勝ち上がり棋士3名とで東西6人ずつ、計6局が行われる。3勝3敗となった場合はエキシビションのリレー将棋で勝敗を決めるのは昨年と同じレギュレーションだ。
司会者の福山知沙さんが対局順に棋士名を読み上げ、スクリーンに顔写真が映し出される。
「第1局 東軍 永瀬拓矢九段、西軍 豊島将之九段」
大きな歓声が湧き上がり、お二人が登壇された。初戦からこのお二人とは、否が応でもテンションが上がる。その後も発表と共に先生方が続々と登壇され、「第6局 東軍 羽生善治九段、西軍 藤井聡太竜王名人」将棋界きってのスター同士の顔合わせには一際大きな歓声が上がった。明日が待ちきれないほどワクワクするような好カードが出揃った。

先生方の意気込み

棋士の先生方は、とてもお話し上手だ。場の雰囲気に合わせて硬軟自在に使い分けておられると感じる。
明日の出場順にトップバッターとなった永瀬拓矢九段は、私がこのメンバーの中では一番豊島九段と対戦しているはず。持将棋は規定では引き分けにはカウントしないので…ともはや伝説⁈とも言える叡王戦での2持将棋を匂わせる話に触れられたので、会場は大爆笑だった。豊島永瀬戦といえば第5期叡王戦七番(のはずがもつれにもつれて九番)勝負の印象が鮮烈すぎる。早速ドカンと笑いを取った永瀬先生、トークもお強い。

対する豊島将之九段、先程の永瀬さんのお話しでは一本取られましたが、永瀬さんは藤井さんと当たりたかったと思うので、読みを外せました、としたり顔。ユーモア溢れる上手な切り返しに、トークバトルの前哨戦は両者引き分けといったところか。盤を離れてもお互いに負けないぞという気持ちが伝わってくる。

先生方が登場されると最初にこんばんは、と挨拶されるので、観客も一斉に元気良くこんばんは〜、と返す。ライブのMCみたいだ。
昨年は欠場のため今回が初参加となる渡辺明九段は、翌日の解説会でこの雰囲気がアイドルグループのコンサートみたいで面食らったと仰っておられたが、こんな風に楽しく、少しはっちゃけて先生方とコミュニケーションが取れることがこのオールスター前夜祭の醍醐味だ。

同じ前夜祭でもタイトル戦の場合は主催者や来賓が多く参加されている事を含めフォーマルな場であり、特に対局者の先生方は翌日に大事な対局が控えているとあって、緊張感が漂う。
もちろんSUNTORYオールスターも準公式戦の真剣勝負ではあるものの、先生方もファンもこのお祭りを目一杯楽しむというリラックスムードが感じられる。

ツーショット撮影の抽選

今年も先生方とツーショット撮影ができる抽選が行われた。12人の先生方各3人ずつ、合計36人の幸運なかたが壇上に上がり、金屏風の前で撮影をされた。番号が読み上げられるたびに悲鳴や歓声が湧き起こる。私は惜しくも外れたものの、幸せそうな当選者のかたの表情を見ているだけでこちらまで嬉しくなった。背景が金屏風とあって、とてもおめでたい素敵な記念写真になったはずだ。

SNSもOK!集合写真撮り放題タイム

先生方全員が登壇され、集合写真に関してはSNSへの公開も含め自由に撮影できる。ヘッダーに載せた集合写真はその時のものだ。
途中で最前列の入れ替えがあり、ポジション取りで後方になりなかなか写真が撮れなかった人にもチャンスがやってくる。推し先生がすぐそこにおられる。ああ目線が欲しい、でもやっぱり先生の視界に自分が入るのは恥ずかしい。さんざん逡巡した結果、無言で手を振りながらiPhoneを構えるだけになってしまった。
見返してみるとピントが合ってなかったり、頭が切れてしまったりと、プロのカメラマンや記者ならまるで使えない写真だらけだったが、私の心の動揺まで写真に現れているようで、クスッと笑える。これも大切な思い出のひとつだ。

とてもいい笑顔を見せてくださる先生方
すぐ側におられる先生方にカメラを持つ手が震える
終始リラックスムードで先生方の表情も柔らかい

作戦会議動画&歓談タイム

先生方が明日の対局に備えて退室された後は、対局順を決める作戦会議の動画が流された。
自己申告制で、先生方それぞれ希望を言い合っていく民主主義的な東軍。後ろに行く程プレッシャーがかかるので希望が被りそうなものだが、羽生九段が後手でもいいと力強く仰るなどして、思いのほかすんなりと決定した。
西軍は3年連続なのでもう恒例とも言えるジャンケン。先生方が最初はグー、とジャンケンしている絵面だけでも面白い。
締めのデザートやフルーツを頂きつつ、参加者同士が思い思いに話に花を咲かせ、盛会のうちにお開きとなった。

ずっと立ち通しだったが、夢のような時間だったので全く疲れも無く、帰路の信濃町駅へ向かう足取りは軽かった。
忙しい毎日を過ごす中で、将棋界のオールスター棋士に一度にお目にかかれるこの前夜祭に参加できることが、どれだけ私の心の支えだったかは言うまでもない。
煌びやかな空間で美味しい食事を頂き、この棋戦に出場できる事がとても嬉しそうな先生方の笑顔と、それを見る幸せそうなファンの笑顔に包まれて過ごした時間。1年間一生懸命に働いてきて、最後にご褒美のクリスマスプレゼントになった。

大人にもサンタクロースはやってくる。12人の出場棋士の先生方がサンタクロースに見えた。
新年1月7日に開幕する王将戦を控えた藤井王将や菅井八段はじめ大変ご多忙な先生方には、ファンの為にとクリスマスの素敵な時間を一緒に過ごしてくださった事に、心からの感謝を申し上げたい。

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