ウクライナ侵攻と日本の選択

「ウクライナと共に」・・・日本のこの選択は果たして正しいだろうか?

現地時間2月24日に、ロシアとウクライナの間で戦争が勃発して、1か月が過ぎた。日本の報道では、ロシアが悪と決めつけられ、「ウクライナ侵攻」と呼ばれている。発生当初は、プーチン大統領が暴走したとかいろいろ言われたが、ある程度時間が経過すると様々な論評が出てきた。筆者は、プーチン大統領の最初の言葉「もはやミンスク合意は存在しない」が気になっている。

ミンスク合意とは、単的に表現すると、東西ウクライナの民族紛争の停戦が目的の合意書で、セキュリティゾーンを設定する等、正に休戦協定そのものだ。合意前には、オデッサ虐殺のように、生きた人間をビルに追い込み、火を放つ事件も起きている。プーチン大統領は、合意書を守り、手を出さなかったが耐え切れず、そして米軍がアフガン撤退をはじめとする中東地域から引いたタイミングを見て、準備万端で「もはやミンスク合意は存在しない」と言い放ち、開戦に踏み切ったと言える。戦争は人殺しであり、どんな理由があっても、プーチン大統領がやったことは称賛されることではないが、国家元首の決断であり、尊重されないといけないのかなと感じる。

問題は、日本の対応だ。巷では、「ウィズ ウクライナ(ウクライナと共に)」と言うようだ。私は、この選択は間違いだと思う。なぜならば、日本とロシアの間では、先の大戦(大東亜戦争/太平洋戦争)に関する講和条約が締結されてなく、鳩山一郎内閣時に日ソ共同宣言で戦争状態を終結させたに過ぎない。従って、日露間で言うと、以前戦争中の状態だ。この状況下で、西側諸国に合わせて、岸田総理は経済制裁を実行し、なんとウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説まで許可した。日本はそんな気がなくても、ロシアは宣戦布告と受け止めているように見える。

サンフラシスコ講和条約第26条には、このように記されている。
「日本国は、1942年1月1日の連合国宣言に署名し若しくは加入しており且つ日本国に対して戦争状態にある国又は以前に第23条に列記する国の領域の1部をなしていた国で、この条約の署名国でないものと、この条約に定めるところと同一の又は実質的に同一の条件で2国間の平和条約を締結する用意を有すべきものとする。但し、この日本国の義務は、この条約の最初の効力発生の後3年で満了する。日本国が、いずれかの国との間で、この条約で定めるところよりも大きな利益をその国に与える平和処理又は戦争請求権処理を行つたときは、これと同一の利益は、この条約の当事国にも及ぼされなければならない。」
要は、連合国47か国全てとサンフランシスコ講和条約と同じ内容で講和条約を締結しなさい。内容については、発効後3年間は同じで、それ以後は多少は変わっても良いが、大きな利益を与えたら、他にも同じよう与えると言うものです。当時は、中華民国(台湾)とソビエト連邦が締結してなかったが、中華民国とは日華条約で締結し、ソビエト連邦、後のロシア連邦が未締結で残っており、今日まで至ります。

戦争状態が終わっていない以上、国連での敵国条項が外れることはない。プーチン大統領が「もはや日ソ共同宣言は存在しない」と決断すると、いつでも日本と開戦ができる。ロシアを国連から追い出せという論調もあることを知っているが、それであると、足かせになる安全保障理事会に関係する事も無くなるから、更に開戦しやすくなる。しかし、日本国憲法第9条2項で交戦権を否定した岸田総理は開戦につながる金融制裁をしてしまった。既に日本国憲法第9条は事実上廃棄したと思う。自ら改正できず、外圧で事実上無効にしてしまうのは、いかにも日本らしいと思うが、今後の国の方向性を、1人の国民としてしっかりと考えていく時期だと、正直に感じる

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