番外編)もし、もう一度司法試験の勉強を始めるとしたら、、、どの講座を受ける?(アラフォー受験生)
はじめに
こんにちは、アラフォー受験生のボーダーです。
最近、司法試験日記を少しずつブログ化しています。
私はR5年の7月の本試験までに、3年2か月勉強し、約7,000時間の勉強をしました。今振り返ると、無駄だったこと、非効率であったこと、色々と反省も多いです。
本試験から逆算で考えていればもっと効率的にできたのにと強く思います。
そこで、今回は、「私がもし3年前に戻れるとしたら、どんな講座やテキストを使って学習をするか」について考えてみたいと思います。
あくまで、私個人の限られた経験です。参考程度でお読みください。
後悔① 入門期の100万円超のパッケージ購入
3年前、受験を始めるにあたり、私はまず大手の〇〇塾の入門パッケージを購入しました。金額は、、、、、100万円を超えました。
当時の私は「そういうものなんだな」と深く考えなかったです。
でも、今考えるだけで後悔してます。金額はもちろんのこと、ボリュームが半端なく、結局全てをこなすことができませんでした。
・入門期からいきなりフルスペックの授業内容、授業時間
入門講座では、憲法で100時間以上、民法に至っては200時間近い授業がいきなりありました。授業内容&テキストは短答知識をも網羅する細かいもの。そしてBランク、Cランクをも網羅するもの。
それらについても全て触れながらの一気通貫の授業です。
民法を全く知らないド素人の私が、学習開始1ヶ月で無権代理やら物上代位やら債権者代位やら詐害行為取消やら、、、、、、、
「????????分かるわけねーだろ」
今思えば、正気のカリキュラムと思えません。
基本7科目で総授業数も500時間です。法律素人の私がこれをいきなり受講するカリキュラムです。結局ほとんど頭に入らず、ただただ授業をこなすという無駄な時間を過ごしてしまいました。
結果、高額費用と非効率な時間を浪費してしまいました。
逆算思考で考えてみる。
今回R5の本試験を受験してみて、必要だったのは下記だけでした。
そうであるなら最初からここをゴールにして、逆算で入門期の教材やカリキュラム決めべきですね。
【私が最後の本試験で使ったもの】
①総まとめ系の基本テキスト(インプット目的、薄いやつ、1科目あたり5~20時間、7科目でも50~100時間以内に完了するもの)
➡私はLEC矢島スピードチェックを利用しました。
②論文問題集(旧司や予備過去問、50題ほど、基本論文力)
➡私は伊藤塾の問題研究を利用しました。
③司法試験過去問
➡私はLEC矢島論文過去問講座を利用しました。
短答も入れると11科目の必要知識を一定水準に引き上げ、一応の答案を書けるようにしなければいけません。
そうすると、結局のところ上記①②③をやるのが限界です。
また、正直③の本試験過去問については、公法系を除いて私はこなせませんでした。
民事刑事については、①の速修系基本テキストと②論文問題集の2つで本試験に挑みました。それでも特に不足感は感じなかったです。十分に戦えました。絞ったものを繰り返して理解して血肉として、それを使いこなせるようにする試験と感じました。合否ラインのイメージとしてはこれらを「それなりに」使えるようにする、って感じだと思います。
もしもう一度最初から勉強するなら、私は以下のようにやる。
上記の本試験のために利用したものから逆算すると以下のようになります。
1.超入門期(初めて1ヵ月)
予備校の講座ではなく、科目のイメージを掴むような①薄い入門書を3冊ほど読みます。(基本書ではなく、薄い入門書)
2.基礎期(開始1ヶ月~1年)
既修者向けのインプットと論文問題アウトプットをアジャイル的に同時に何度も両者を行ったり来たりしながら基礎力を養う。
≪インプット≫
いわゆる予備校の未修者向けの入門講座500時間をベタ受講はしません。もっと短時間で繰り返し聴けるものがベストです。
そこで、この段階では、②既修者向けの論文知識に特化した速修系の講座を受けます。7科目で100時間程度のものです。各予備校で講座があると思います。どれでもいいと思います。私はLEC矢島先生の速修講座が合いました。(人によって相性はあると思うので、Youtube等で各学校の無料講座を受講してみてください)。金額感としては10~15万円程度でしょうか。
➡私はこれを倍速で3,4回聞きつつ、分からないところはグーグル検索等でなどで潰していきます。
※好みによると思いますが、私は基本書は使いませんでした。私は、読解力が乏しいため、基本書を読んでもほとんど理解できませんでした。個人差があると思います。
≪アウトプット、論文問題集≫
③各予備校が論文講座を用意していると思います。伊藤塾なら論文マスター、アガルートなら重問、LECやにもあります。
大体一科目あたり、30-50問ほどで、旧司法試験や予備、本試験の圧縮版の過去問が題材となっていると思います。
書籍だけなら辰巳のえんしゅう本もいいですね。
ただし、私はやはり書籍だけでなく、講座を受けるのが早いと思います。
私は伊藤塾の問題研究を受講しました。➡私の論文力は、最後までほぼこの問題集一本でした。
金額は10~30万円ほどですね。個人の好みで選んでいいと思います。
※憲法、行政法については、テキスト読んでも本試験で点数が上がるイメージがないです。公法系は本試験と予備試験の過去問=公式テキストだとつくづく感じました。したがって、公法系だけはこの時期から本試験過去問スタートでテキストに戻るという学習が一番効果的だと思います。
論文問題集をやりながら、随時速修テキストに戻って、グルグルと回しながら理解を深めていく。これがベストだと思います。
3.演習期(開始1年~2年)
①短答固有の対策
民法:伊藤塾合格セレクション(過去問)、条文学習
刑法:伊藤塾合格セレクション(過去問)
憲法:辰巳短答過去問パーフェクト(過去問)、統治条文学習
※特に短答向けの講座は受けずに、自己学習です。
※私は短答過去問は全て辰巳の短答過去問パーフェクトを使いました。でも、、、、、民法刑法はあまりにボリュームが多くこなせませんでした。もしもう一度受験をするのであれば、民法刑法については、伊藤塾の合格セレクションが過不足ないと思います(ボリュームは短パフェの3分の1~半分です。)
②本試験論文対策
公法系:本試験過去問講座
上述のように憲法、行政法は本試験の過去問に勝る対策はないし、唯一だと思います。私も公法系だけは論文過去問を繰り返し解きました。この対策以外で論文得点UPは見込めないと思います。必須ですね。予備校の先生も皆そうおっしゃっています。
民事・刑事:本試験過去問講座
残念ながら私は時間切れで一回解いただけで繰り返し復習して血肉とすることはできなかったです。
結局、上記の論文問題集(旧司、予備過去問の50問ほど)のみで本試験に挑みました。
過去問を全て解かなくても、一冊論文問題集を繰り返しやって血肉化できてれば問題なく合格できると思います。超上位合格は別ですが。
また、本試験の傾向や設問の作り方、書き方、誘導文、作法を学ぶという意味では、直近2年分の過去問検討は必須です。マスト要件です。一方でインプット目的での本試験過去問検討は、マスト要件ではないと感じました。
※ちなみに私は民法については、本試験過去問はもちろん、上記問題集をも繰り返して血肉化する時間はなかったです。ほぼ短答知識のみで挑みました。もっとも、R5年の問題に関しては問題演習不足を感じることはありませんでした。むしろ、短答問題化しているなと強く感じました。短答対策経由の論文本試験との傾向にあると思います。
各予備校の本試験過去問論文講座
本試験過去問講座も各予備校が講座を出していますね。
どこでもいいと思うので相性いい講座を受講しましょう。
私はLEC矢島先生の論文過去問講座を受講しました。
私は矢島先生の授業がとても相性が良かったです。そして、金額もリーズナブル。上記速修講座、論文過去問講座、後述するスピードチェック(総まとめ)の7科目パッケージ合計で20万円でした。論文過去問単体でも10万円くらいだと思います。コスパ最高でしたね。
唯一のネックは、周りにLEC受講生があまりないこと。マーケティングが上手じゃないんです。質もコストも最高だと思ってます。
③インプット総まとめ
8科目を回そうとすると、上記のような速修系のテキストでさえボリュームがあり過ぎます。直前期に回すのに適していません。
最終的には一冊1-2時間で回せるような薄いテキストの総まとめ講座が有用です。伊藤塾であれば論文ナビゲート、LECなら矢島先生のスピードチェック、講座ではないですけど市販テキストであれば辰巳の趣旨規範ハンドブックがこれに当たりますね。
➡そこで、私は矢島先生のスピードチェックを受講しました。私のインプットテキストは7科目全てこのスピードチェックです。受講時間も全部で70時間くらい。民法と刑法意外は、一科目あたり6-8時間です。1.5倍で聞くので4時間で一周できます。私は民法と刑法以外の科目は、携帯に音声を入れて8-10回聴きました。民法刑法は4、5回程度聴きました。
※予備校の答案練習は?
答案を書くことは必須ですね。
でも、答案練習会を受けるか否か、これは個人の好みかと思います。
私個人としては、少なくとも入門期や基礎期は答練を受ける必要性は全く感じませんでした。入門パッケージ100万円には答練も含まれていましたが一度も受けませんでした。一方で本試験も近づいてきて本試験過去問を解く段階までくると、「書く練習しないとな」との思いが出てきます。そこで、私は辰巳の福田先生のスタ論を受講しました。しかし、時間なく、30万円払いましたがほぼ受けなかったです(答練は受けませんでしたが、福田先生の本試験過去問の解説授業は超有益でした。)
答練を受ける代わりに、本試験過去問は直近3年分を3回は書きました。年明けた1月に1ヶ月集中して毎日起案しました。
その後も試験まで毎日起案しなきゃ、と思ったのですが、時間なく断念しました。
結局1月に30本起案していこうは一度も起案することなく本試験はほぼぶっつけ本番になりました。ただ本試験を受けてみて、思いの他に筆力は衰えていませんでした。起案不足による致命的なミスはなかったです。
なお、3年2か月の学習期間において何通ほど起案したでしょうか。
①試験半年前に1ヶ月集中起案:約30通
②ロースクールの定期試験:約20通
③その他:15-20通
合計で65-70通くらいだと思います。受験生の中では少ない方だと思います。
私は時間切れでできませんでしたが、王道は試験1年前には100通は起案し、他の人に添削してもらうことをお勧めします。
④ 個別コーチング
もしもう一度受験するのであれば、絶対に付けます。
司法試験までの膨大な勉強量、そして難解な内容、長期に渡るプロジェ
クトからしたら、自分ひとりで正しくゴールに向かうのは至難の業です。
最近は大学受験もいい授業を提供するサービスから、勉強方法や進捗管理をサポートするコーチング型の塾が流行りになっていますね。
コツコツやる習い事にはライザップ的サービスが主流になってきています。
司法試験も全く同じだと感じています。いいコンテンツや授業は今の時代は安価で提供できます。必要なのは個別コーチやメンター。ゴールまで道がズレないようにする伴走者です。半月に一回面談をするだけで、不合格になるリスクを相当下げれると思います。
今はまだ合格発表前ですが、合格後は、資格試験のライザップのようなサービスを開発できないかと個人的に考えています。
売った後は放置型の入門パッケージに100万費やすのではなく、月3万円程度で2年間コーチできるような、そういうサービスを開発したいです。
まとめ
結局、本試験本番から逆算をすると、やれることは限られてきます。絞りに絞ったものを深く理解し、繰り返し、血肉とする必要があると実感しています。
具体的には、
網羅性のある論文知識インプットとして
①総まとめ系の薄いテキスト一冊(例:LEC矢島先生スピチェ等)
論文基礎知識・解法力アウトプットとして
②論文問題集(旧司、予備過去問、50問ほど)
③司法本試験過去問
(理想はH18年以降、時間なければH23年以降、それすら時間ない場合は直近3年分のみ) 予備校の先生方もみな同じことをおっしゃっています。ちなみに私は時間なく直近3年分のみ繰り返しました。
※憲法・行政法に関しては本試験過去問に代わるものはないと思います。公式問題集のようなものです。②の問題集の代わりに本試験過去問を全ての年度を繰り返しやることをお勧めします。予備校の先生もそう言ってます。
④司法短答過去問
短パフェや伊藤塾の合格セレクション
実際に本試験で論文8科目、短答3科目の試験を受けてみて、この①~④で十分すぎるほど十分だと感じました。①~④でもトータルのボリュームは相当なものです。私の感覚としては、これらを完璧ではなく、理解して「それなりに」使えるようにする、ここが合否ボーダーだと考えます。
あくまで個人的な見解ではありますが、初年度受験者にとっては、①~④以外に市販演習書をやったり、判例集を一つ一つ潰す、サブテキストも精読するといった余裕はほとんどないと思います。やってもほとんど点数は変わらないか、もしくは余分な知識が付いてしまいかえって点数が悪化するおそれさえあると個人的には思います。
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