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過去問って回せるのか?アラフォーR5司法試験体験記

みなさん、こんにちはアラフォー司法受験生のボーダーです。
R5の司法試験を受け、今は論文発表待ちです。
来年以降に受験される人に少しでも有益な情報を共有したいと思いブログを書き始めました。
ちなみに、私はボーダー戦士です。1300位合格を目指していました。
そして、今のところ自分の予想では1,450位で合格してると見込んでいます。(あくまで予想ですが)。

今回は過去問について私の感じたことを書きたいと思います。


過去問を回せる人っているのか。

「過去問を制する者は司法試験を制する」
司法試験業界の鉄則ですね。

私もそう思います。

では、司法試験の過去問を本当に回して、血肉にした受験生はいるのか。

ちなみに私はできませんでした。
(憲法と行政法だけは10年分を繰り返しやり、血肉化できた感覚ありました。)

最初からあきらめたわけではありません。

血肉にするための時間を見誤ってました。

当然です。

冷静に考えれば司法試験の過去問を血肉化するには膨大な時間を要します。

1科目1問あたり、20時間はかかると思います。

初回解く時なんて解いて、趣旨や採点時間読んで、分からないところを理解しようとすれば最低でも8時間はかかるでしょう。

それをあと3,4回繰り返す必要があります。

そうすると1問あたり、最低でも20時間かかります。

合計で、20時間×8問×18年分=2880時間

2,880時間÷1日8時間=360日

1年かかります。

無理ですね。

予備校の先生やら先人がいう「過去問をやりつくせ」ということは現実的ではないんです。

司法試験に挑むには、過去問のみならず、短答対策も、暗記作業も、網羅性を確保するためのテキスト勉強も必要です。
過去問だけやっているわけにはいきません。
ロー生はローの定期試験もありますね。

特に初回受験生には無理な話です。

過去問を回すのは諦めよう!

初学者にとって司法の論文過去問を回すことは無理です。そんな時間ある人はほぼいないと思います。

一方で、過去問は宝であり、合格への最短近道であることもまた確かです。

そこで、実際に本試験を受けたばかりのボーダー戦士の私の気づき、そして、もし、私が1年前に戻るならやる学習法について考えてみようと思います。
なお、こちらは初回受験の人を対象としています。

過去問以外で代替できない科目

1.憲法、行政法

憲法と行政法は本試験過去問でした代替できないと思います(刑訴の伝聞も)。
予備校の先生方も同じことをおっしゃっていました。

過去問=公式問題集ですね。

行政法の会議録なんてクセありまくりです。
憲法の答案の作法も採点実感等でしか学べません。
予備校の答練ともっとも差を感じるのが公法系です。
民事系や刑事系は答練と本試験で大した違いはないです。
でも、公法系は本試験とは程遠いレベルです。代替できません。

したがって、憲法と行政法は10年分は繰り返すしかないと思います。また、書く練習も必要となります。
そうすると、
1問あたり20時間×2科目×10問=400時間

この時間は、マストですね。

一方で特に憲法はこれ以外に問題集をやるのか。➡ほぼいらないし、そんな時間絶対ないです。

2.伝聞

伝聞も過去問でしか学べません。過去問やらないと書けるようになりません。マストですね。
7年分くらいあると思います。
じっくり検討すると1問あたり8時間はかかると思います。

8時間×7年分ほど=56時間

これもマストですね。

直近2年分の過去問、全科目

インプットは過去問をやらずとも代替することは可能かと思います。
しかし、アウトプット、答案の作法やら時間管理やら、採点基準やらは本試験過去問でしか学べません。
そのため、8科目全て直近2年分はマストでじっくりとした検討が必要ですね。予備校の先生も同じ意見です。
1科目あたり10時間は使います。

10時間×8科目×2年分=160時間
これもマストですね。

過去問の代替案はあるのか。どうするか。

今回の試験を受けてみて、公法系以外に過去問の必要性を感じたか。
個人的にはそこまで感じませんでしたが、一部の論点は過去問に出題実績があるものでした。
例えば、刑訴の領置はH22か21年に同じ問題が出ていました。
また、商法の一人会社の思考も、過去問にあったそうです。
私は両方とも落としました。

しかし、合否に直結する論点かというと、そういう訳でもありません。でも、取れていればアドバンテージになります。

そこで、過去問で出題実績のある論点を網羅的に押さえる方法について考えてみたいと思います。

本試験過去問を判定した基本テキストを使っているか。
私の基本テキストは、LEC矢島先生のスピードチェックでした。いわゆる総まとめ系の薄いテキストです。
同じく矢島先生のテキストでは、より網羅性のあるぶ厚い速修テキストもあります。
私は時間がなかったので、薄いスピチェを基本テキストにそえ、インプット網羅性はこれに依存していました。

矢島先生のテキストの秀逸な点は、テキストに過去問の出題実績や採点実感が記載されていることです。
つまり、過去問をベースにテキストが構成されています。
そのため、基本テキストの勉強がそのまま過去問出題の論点学習となっています。
普段のインプット学習から過去問論点の学習をしていることになります。

あなたの使っている基本テキストは司法試験の過去問情報が記載されていますか。過去問を意識して作られていますか。

「本試験出題実績を基本テキストに反映」
もし使ってる基本テキストが司法試験の過去問と対応していない場合は、過去問出題論点を落とす可能性があります。
その場合の対応は下記です。
①矢島先生の速修講座を申込む。もしくはテキストを入手する。
②速修テキストに記載の本試験過去問出題の論点については、あなたの利用している基本テキストへ転記する。もし漏れがあれば追加する。

おそらく1科目10時間もあれば、追加作業は終わると思います。

「やっておけばよかったなー」
私は矢島先生のスピチェのみインプット教材として利用しました。
いわゆる直前総まとめ系のテキストであり、かなり絞られた薄い本です。
今回の本試験もこの薄い本でほとんど対応できましたが、唯一刑訴の領置は本テキストに記載がなく落としました。

領置はスピチェには記載ありませんでしたが、よりぶ厚い速修テキストにはばっちりと過去問情報とともに記載がありました。

「やっとけばよかったなー」と後悔しました。

過去問の論点が出題されたから、過去問を全て解こう、、、、これはナンセンスです。時間的に無理です。

でも、過去問出題論点が記載されているテキストをざっと見て、網羅的に追加するのは10時間もあればできます。

以上から私が考える、受験生として現実的な振る舞いとしては下記の通りです。

【受験生として現実的な対応】
1.公法系は過去問が必須。代替なし。
2.直近2年分は傾向や採点方法、書き方等を含めて全科目必須。
3.その他は、過去問を全てやるのは諦める。
4.一方で、過去問は解かなくとも、出題論点だけは、全く知らないということは回避する。H18~22年の古い過去問であっても、論点の大枠くらいは網羅しておく。

・具体的には、そもそも司法試験過去問をベースとした基本テキストを利用する。
・基本テキストに司法試験過去問情報がなければ、LEC矢島先生の速修テキストのような過去問情報の記載のあるテキストを利用して、基本テキストへ追記する作業をする。


➡ぜひ一度、ご自身の可処分時間と、過去問論点の網羅性からどのような学習が自分に合うか考えてみてください。



(参考)各科目の過去問の必要性

あくまで私個人の感想です。ご参考まで。ほとんど予備校の先生方のアドバイスと一致してると思います。

1.憲法
☆☆☆☆☆
必須。過去問に代替するものはない。他の演習書

2.行政法
☆☆☆☆☆
必須。個別法の読み方、会議録の読み方、時間配分、全て過去問以外で代替できるものはありません。
網羅性を考えると予備試験過去問もできると最高ですね。
それ以上の演習書は不要。時間あるわけない。


3.国際私法

☆☆
正直分かりません。
私は本当に時間なかったのでじっくりと解けませんでした。
直近3年分だけやりました。
時間ないので、網羅性を優先してケース30という演習書を使いました。
本試験は特にで不足感はありませんでした。
でも解いてないので正直分かりません。。。。。。
可処分時間的に、ケース30と過去問を両方する時間がある人はほとんどいないと思います。

私は国際私法は、
①条文知識(通則法、管轄、人訴法、家事法、ウィーン条約)を暗記するレベルにやりました。
②ケース30を設例&例題を繰り返しやりました。

過去問は時間なく諦めました。直近3年だけやりました。
Bまたは、Aへの上振れもあるかもです。(点数ではなくABCDでいうと)

4.民法


7年分くらい1回だけ試験1年前くらいにやりました。
司法試験は、独立した小問3つという構成のため、ほとんど旧司や予備と変わらないと感じました。
そのため、これ以上解くことはなかったです。

予備校の旧司などの問題集や一般的な演習書があれば、それで代替できると思います。

私は伊藤塾の問題研究が基礎問題集だったのですが、これすらも時間なく回せませんでした。
結局短答知識だけで論文に挑んだイメージです。
それでも十分戦えました。

民法論文は短答とほぼほぼ接近しているからだと思います。
そもそも民法の論文問題自体の重要性も必須ではないのかなーとの感じすらあります。短答過去問を通じて、論文も意識する、これが受験生の現実的なふるまいかなと思いました。
やること多すぎて時間ないです。

5.商法

☆☆☆
民法もそうですが、民事系は本試験過去問と旧司や問題研究と特に問題の性質は変わりません。
どちらでも代替できる印象です。

旧司などの短文問題集一冊を血肉にしつつ、本試験過去問の論点の網羅性は矢島先生の速修テキストなどのようなもののチェックするだけでいいのかなと思います。

私は論文問題集は伊藤塾の問題研究一冊でした。(旧司と予備過去問で40問くらいです)。

ちなみに、今年は訴えの利益の瑕疵の連鎖という論点を落としました。過去問にはありませんが、有名判例のため、半分くらいの受験生ができた論点です。

6.民事訴訟法


民訴も正直分かりません。
直近3年分くらいしか解けませんでした。
結局、網羅性と回す時間から、伊藤塾の問題研究一冊だけやりました。

本試験過去問のデメリットは、直前に高速で回せないことです。
短文問題集だと、高速で回せます。
問研も問題文が短いので、最終的には3時間で48問の全ての問題を回すことができました。

うーん。難しい。

時間的制約と網羅性を考えると、やはり基本は問題集1冊だと思います。

相当余裕があれば、過去問ですね。
もっとも、過去問をやっていても今年の問題であれば点数アップにつながったかは疑問です。。。。。

7.刑法

☆ 本試験も問題集もほとんど変わらないと思います。
予備校問題集や事例演習教材などをどれか1冊やれば十分だと思います。

あとは、時間管理やら書き方、設問の聞き方を学ぶ目的で過去問を直近2,3年をやれば十分と思います。

刑法は論文と短答がほぼほぼ重なります。

8.刑訴

☆☆☆
刑訴は論点が少ないので、本試験過去問だけでもほぼほぼ網羅してますね。
したがって、過去問を15年分するって選択肢もあると思います。

また、設問の問い方は本試験と他の問題集などでは多少違います。

その意味で、過去問はやった方がいいですね。

私も過去問はやりたかったのですが、時間がなく、結局10年分を一回転だけしただけになちゃいました。
時間切れで、慣れた問題研究一冊となりました。

うーん。
難しい。どっちもありですね。
余裕あれば過去問15問やる。
余裕なければ、より回転しやすい短文問題集一冊をやる。
可処分時間で決めるのがいいと思います。

一点、私の本試験での反省を踏まえて、もし過去問を解く時間がないとしても、【過去問の設問だけは10年分繰り返し読みましょう】

設問読んで、何を答えるか考えるのは大した時間は使いません。

私はこれを怠ったために、本試験の設問1で死にました。

R5の設問1は、「、、、、、、、領置の適法性について検討しなさ」とありました。

適法性の対象を絞ってるんですね。これは過去問固有の書き方です。

過去問では設問で適法性の対象について、「取調べの適法性」や「留め置きの適法性」「捜索の適法性」「差し押さえの適法性」など絞って検討させます。

私は過去問をやり込めていなかったので、この設問から外れて、捜査全体の適法性について論じてしまいました。

このミスは過去問をやっていれば防げました。

後悔です。

過去問が時間なくてこなせない、そんな人は「設問だけは、10年分は繰り返し検討しましょう」特に直前期には必須です。

私のようなミスはしないようにしましょう。

刑訴は、過去問の設問への問いを理解しているだけでアドバンテージになります。

おわりに

以上、今回は過去問についてお話ししました。
過去問全てを繰り返し血肉化するには最低1年はかかります。
初回受験生には、そんな時間はないと思います。

それではどの範囲でやるのか。
やらない部分の補完代替はどうするか。

ぜひ上記を参考について考えてみてください。

少しでも役に立ったらうれしいです。
ではまた。





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