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社会人にとっての司法試験最短かつ安全な合格ルートとは? 予備試験 or 夜間ロー

みなさんこんにちは。
アラフォー司法受験生(ロー在学中)のボーダーです。
R5の司法試験を受験し、今は論文発表待ちです。
このブログでは、司法試験体験記や受験勉強の振り返りなどを情報発信しています。

今回は、社会人である私がゼロから司法試験合格を目指す場合の最短かつ安全なルートを考えてみたいと思います。

社会人で司法試験を目指される方に参考になればうれしいです。


予備試験ルートか法科大学院ルートか。

ご存じの通り、そもそも司法試験は全ての人が受験できるわけではなく、受験資格が必要です。

この受験資格を得るには①予備試験合格するか、もしくは②法科大学院に行き、一定の単位(既習2年生の単位)を取得するという2つのルートがあります。

※法科大学院には、既習コース(2年間)と未修コース(3年間)の2つがあります。個人的には既習コース一択だと思います。未修はお勧めしません。

※在学中受験
今までは法科大学院を卒業しないと司法試験の受験資格を得られませんでした。でも制度改正があり、今は既習コースで1年間単位を取得した者は、在学中に受験資格が得られるようになりました。(つまり、法科大学入学して1年3ヵ月後の7月に司法試験を受験できます)

それでは社会人は、どちらのルートを選ぶべきか。


あくまで私の個人的見解ですが、圧倒的に法科大学院ルートです。
より具体的にいうと、既習の夜間コースです。
これ一択です。

以下私の考える理由を説明します。

1.予備試験合格は難しい。

予備試験の合格率は、3~4%です。めちゃめちゃムズイです。
具体的には、短答式試験が20-25%の合格率、短答合格者のうち論文試験合格がさらに5~6人に1人が合格といったイメージです。
また、社会人の合格率はたった約1.5%です。(学生は7~8%程度あります。)

予備試験の勉強してから何年もずーっと勉強し続けている社会人も多いです。

あなたは1.5%に入れるほど自分を優秀だと思いますか。

この質問にYESと答えられない人は法科大学院ルートを選びましょう。

2.法科大学院で1年授業を受ければ簡単に受験資格を得ることができる。

既習コースの法科大学院に入学をすれば、1年間の単位を取得すれば司法試験の受験資格を取得できます。

まず、夜間コースのある法科大学院(既習)に入学することは簡単です。

➡2023年時点で、日大ロー入試は難化との情報あり!!!!!!!!!!


夜間コースのある法科大学院は、東大ローや京大ロー、慶応ローなどのいわゆる上位ローではありません。
不合格になるということはまず考えられません。
もちろん入試を受けるにあたっては、1年間、1,000時間程度は勉強が必要です。(これは予備試験を受けるとしても同じですね。)

法科大学院入試については、合格するかどうかは議論ではありません。
議論は、「授業料免除を受けられるか」です。
これについては合格者のうち、半分程度の順位に入れれば免除されますが、それより下だと免除を受けれません。

ちなみに私は全額免除を受けて夜間ローに入学しました。
1年目は全額免除だったのですが、2年目は学校成績が芳しくなく全額授業料支払いました。

単位取得も簡単

授業に出席さえすれば単位を落とすことはまずありません。
平均的な授業の単位取得結果としては、

出席要件(15回中10回以上出席)を満たした学生が30人くらいいる試験であれば、単位を落とすのは1人いるかどうかです。
受験者全員が単位取得という授業も多いです。

受験資格を得るためには、既習1年目の14科目ほどの授業単位をフルで取得する必要があります。

一つも落とせません。

受験資格取得要件のイメージとしては、単位取得率95%以上の定期テストを14個全て確実に取得するって感じです。

3.予備試験合格と法科大学院入学&1年単位取得はどちらが簡単か。
上記1.2.を読んでくれれば一目瞭然だと思います。

圧倒的に法科大学院入学&1年単位取得の方が簡単です。ほぼ確実という表現ができると思います。

法律知識ゼロの社会人が法律学習を始めて、遅くとも2年後には、ほぼ確実に司法試験の受験資格が得られます。

一方で、予備試験合格を目指した社会人が2年後に合格する人は、、、、、正確なデータはありませんが、1%もいないでしょう。一般人にはほぼ無理ゲーです。

社会人が司法試験に合格するための最短かつ安全ルートは、夜間・既習コースの法科大学院ルートです。間違いない。


注意)「夜間」ローを選びましょう。

私が勧めているのは、昼間の一般ローではなく、「夜間」ローです。ここは誤解しないでください。
昼間の法科大学院ルートを選ぶ場合には、仕事を辞める必要があります。
これはあまりにリスキーです。
安全ではありません。
お勧めしません。
少なくとも司法試験の受験資格取得までは仕事は続けつつ、まずは夜間ローで1年で受験資格を得ましょう。
その上で、例えば、本試験の半年前に退職をして、本試験に全振りするという選択肢は「アリ」だと思います。

予備校はなぜ社会人に予備試験を勧めるのか。

予備校は、社会人に対しては総じて予備試験を強く勧めます。
なぜでしょうか。

単純に予備試験パッケージを売りたいからですね。
予備校にとっては法科大学院に行く本試験受験生のマーケットは少ないです。受験生も4千人ほどです。

一方で、予備試験受験生は1万5千人以上います。その3分の1の5千人以上が社会人です。

社会人はお金があるので、100万円近くする予備試験パッケージを購入してくれます。

また、予備校などは一般的に予備試験ルートと法科大学院ルートのどちらかにするかの判断基準として下記を挙げます。

時間とお金がある人は法科大学院に行ってもよい。
そうでなければ予備試験を選んだ方がよい。

これって正しいでしょうか。

昼間の法科大学院への入学であれば合理的ともいえます。

このアドバイスは夜間法科大学院を想定していません。

まずお金の面からいえば、夜間法科大学院であれば、仕事を辞める必要がありません。また、半分くらいの人は授業料も免除されます。
さらには、予備試験ルートを選んでも予備校代などでお金はかかります。法科大学院ルートであれば100万超えるようなパッケージ講座は不要です。
私の場合は1年分の授業料は免除で、2年目の100万ちょっとのみ自己負担でした。
トータルすると、夜間法科大学院に行った方が50ー100万円程度コストがかかるってイメージです。

この程度です。社会人の人にとって、この程度の金額が果たして意思決定に影響するでしょうか。私はしないと思います。お金の面は大した影響はないです。

次に時間についてです。
夜間の法科大学院の授業数は以下の通りです。
1週間に授業は、8個くらいあります。
月から金は一つ。例えば、18時半~20時って感じです。
土曜日は11時~夕方まで3つほど授業があります。

前期後期で15コマずつです。+試験1回。
単位取得するためには10回以上の出席が必要です。
私は平均11回くらい出席してました。

トータルすると、
8授業×16回×2時間=256時間

※授業1.5時間+予習0.5時間=2時間と想定

これが前期と後期あるので、512時間。

1年でならすと、1日あたり1.4時間程度って感じです。

負担ですかね?
当然に司法試験に関係する授業です。全く関係のない授業を受けるわけでもありません。

夜間ローは社会人にやさしい運営がされている

夜間ローのほとんどは社会人です。
毎日働いてます。
課題や予習復習、授業参加が難しいこともあります。
そのため、夜間ローではこれらについて社会人にやさしい運営がされています。
まず、単位取得のハードルは極めて低いです。
私の通っているローでは単位取得率はほとんど95%以上です。出席さえすれば単位くれます。

各授業で一つは課題レポートが課されます。しかし、これも単位を取得しやすくするためのものです。
1ー2時間ほどの課題をやると平常点で10点とか20点くれます。
課題負担を与えるというよりは、定期テストを補完し、単位取得しやすくするものです。

そして、一番知られていないことは、一定回数はオンライン出席が認められていることです。

これはローによって運営はマチマチですが、ローによっては15回のうち半分まではオンライン出席を認めてくれます。

例えば、15回の授業のうち、7回をオンライン、3回だけリアル出席をするとの形で出席要件を満たすことができます。(定期テストはリアル出席が必須)

年間のうち8週間だけリアル出席をすれば出席要件を満たすことができます。
➡極論すれば新幹線(学割)を使ってでも通えます。
静岡から東京都心に通うのであれば、1ヶ月10万円の定期で通えます。
授業は18時半~19時スタートが多いです。
勤務時間についてフレックスタイムや早退し易い環境の職場で働いている人であれば、新幹線で2時間以内圏内であれば十分出席要件を満たせます。

※注意
オンライン出席等の具体的な運営については、各ローや年度で異なることもあります。事前に確認してください。

安全&最短ルートはこれだ!

上記を踏まえて、もし社会人である私がゼロから司法試験合格を目指すには下記のようなルートをとります。

「前提」
・社会人
・非法学部、法律勉強ゼロ

1.夜間法科大学院、既習コース入試へ向けて勉強スタート(1年ほど)

・目指すは夜間の法科大学院の既習コース
受験科目は民法、憲法、刑法の3つ

・学習教材、講座
①超うすい入門本を3冊読む
500時間に及ぶような入門講座は受けません。
ボリューム多すぎで無理です。

②速修系の講座
7科目で100時間程度の速修系の講座を受けます。
民法、憲法、刑法の3科目だと60時間程度。
例えば、LEC矢島先生速修講座がお勧めです。「3科目で8万円ほど」
これを頑張って3,4回聴く。

③論文基本問題集「旧司、予備試験、ロー入試の過去問から厳選」
どの専門学校でもいいと思います。
私は伊藤塾の問題研究でした。旧司法試験過去問から厳選された50問ほどの問題集です。でもちょっと高いです。
今の私ならLECの論文講座にすると思います。「3科目で12万円ほど」

※2年後の司法試験本番で最後まで使い、血肉となるのが②の速修系の基本テキストと③の基本問題集です。この2つを血肉として司法試験に挑むこととなります。

④コーチ・メンターをつける。月2回ほど。

2.法科大学院入試~法科大学院入試まで(5か月ほど)

この期間に下4法をやります。
やることは1.の民法、刑法、憲法と同じです。
ここでも予備校への費用は20万円ほど追加でかかります。

3.法科大学院既習1年目(1年間)

授業の予習や定期試験対策は、全て上記の基本テキストと基本問題集とリンクさせます。
社会人には時間がありません。
余分なことをやる時間はありません。
やることを絞ります。

基本7科目については、ローの授業や定期試験を受けつつ、基本テキストと基本問題集を繰り返して血肉化していきます。

※法科大学院入試後の憲法と行政法の問題集は本試験過去問10年分に以降します。公法系は本試験過去問以外に代替できる問題集はありません。

夏休みに一気に短答過去問&選択科目をやります。
短答過去問は、伊藤塾の合格セレクションを選びます。(辰巳の過去問パーフェクトはボリューム多すぎてこなせません。)

論文過去問は全ての年度を解くことは不可能です。諦める。(公法系は例外的に全て解く)
上記の予備校の基本テキストには過去の司法試験出題論点は全て記載されています。最低限守れます。

もっとも、本試験の問い方や時間マネジメントなどの観点から直近3年分はじっくりとアウトプット目的で解きます。

1年間出席をし、単位を落とさなければ司法試験の受験資格を得られます。出席要件させ満たせばほぼ確実に得られます。

4.法科大学院2年目(最終学年)~7月の本試験まで(3ヵ月間)

①基本テキスト②基本問題集③短答問題集④司法試験論文過去問(直近3年)を繰り返す。

安全&最短ルートまとめ

上に書いた4つの段階をまとめると、
1.学習ゼロから法科大学院入試まで1年ほど
私のように自営で勉強時間確保できる人は半年でも可能です。

2.法科大学院入試から入学まで5か月間

3.法科大学院入学~1年目単位取得=受験資格獲得(1年間)

4.法科大学院2年目の7月に司法試験の本番です。(3ヵ月)
短答式はほぼ受かります。合格率8割越えの試験です。
そして、論文は短答合格者のうち約半分が受かります。
十分にチャンスあります。

つまり、夜間法科大学院ルートであれば、勉強開始から2年~2年半で司法試験の受験資格を得ることができ、その後は毎年半分程度が受かる試験を受けることができます。(最大5回まで)

社会人合格率が1.5%、全体でも3-4%という予備試験よりはるかに緩く、精神的にもやさしいです。また、キャリアリスクも回避できますし、家族も安心です。
また、仕事を辞めて1.5%の予備試験に全振りはリスクがあまりに多いですが、半分ほどが合格できる司法試験であれば、例えば半年前に退職をして全振りをしてもリスクは低いと思います。

おわりに

ステップByステップ

以上、今回は「社会人にとっての司法試験最短かつ安全な合格ルートとは?」というテーマでお話ししました。
私個人の一つの考えですが、少しでも参考になればうれしいです。

私の通う夜間ローの同級生の多くが予備試験経験者です。
何年も勉強をし、繰り返し不合格になったすえに夜間ローに入学したそうです。
彼らは皆「最初からローに入ってればよかった。。。。」と言ってます。

また、法科大学院ルートのいいところは、確実に合格に近づいていることが実感できることです。まさにstep by stepで合格に近づけます。

まず、夜間の法科大学院に合格する時点で、司法試験合格までの4合目まで行けます。

そして、法科大学院に入学をして、1年間出席をして、無事に単位を取得できれば、司法試験受験資格をゲットできます。この時点でゴールまで7合目までは到達してる感覚です。

あとは、本試験合格という頂上に向かって7号目からアタックです。

たとえ本試験で不合格でも、あなたは既に7号目から下には下がりません。
翌年は8合目や9合目から頂上へのアタックができます。

このように、step by stepで目に見える形で合格に近づけます。
あなた自身の精神も平穏を保てるし、ご家族などの周りの人も安心して応援することができます。

予備試験一直線ーという社会人の方は夜間ローという選択肢についても考えてみてください。
ではまた。

後期(2023年9月)
現在夜間ローは日大、筑波、九州、琉球の4つと認識しています。(間違ってたらすいません。)
そして、在学受験が可能になったことの影響か、日大ローの入試倍率が高くなり難化しているそうです。上記で「簡単」という表現をしていますが、昔ほどは簡単ではなさそうです。もっとも、普通にすれば受かるはずです。






















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