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LINEの生活#25 「提案がある」

これまでのお話は、LINEの生活のマガジンの中にある、シーズン1、シーズン2の完全版と、#21〜#24を読めば分かります!!ぜひご覧ください!

「お」とテンヌキが会議室に入ると、そこには、いかにも政治家のような、「政」「治」「大」「臣」と言った文字が集まっていた。「お」が席につき、会議が始まった。
テンヌキのトラウマは、会議が始まってすぐ植え付けられた。「ボス」の「お」が、『今後のLINEの世界について』というテーマで話し合った時、
裏切り者と思われるような怪しい文字は全て、即処刑!!裏切り者のない世界を造り上げましょう!!
というような意見を述べた。その意見に、「政」「治」「大」「臣」は、
「それはいい!のった!」
と、賛成の声を上げていた。だが、テンヌキは、「お」の意見は間違っていると思い、反論した。
「あのお...お言葉ですが、その意見は間違っていると思います...。裏切り者と分かった文字を処刑するのまだしも、ただ怪しい文字まで殺すのは流石におかしいのでは...?ただ怪しいだけで、その文字が何も罪を犯していなかったら、イメージダウンにもつながるし、そもそも---」
そして「お」が口を開いた。

「テンヌキ、お前は黙っていろ」

透明な氷のように、冷たく、透き通った声だった...

「な、なぜお爺さんを殺した!?そ、そんな冷たい声で名前を呼ぶことは、質問に答えることではないぞ......!」
「...あのジジイはずっと、俺に...俺たちに反抗してきた。なかなか処刑する機会が見つけられなかった...。でも、あの場で殺した時、いけると思った。だからあの場で処刑した」
「東は今どこだ!?東は何をされているんだ!?
「テンヌキ〜、君は本当に質問が好きだねえ」
答えろ!!
テンヌキは、今にもロープを力ずくで千切って、襲ってきそうな顔をしていた。
「東は今、屋敷の裏の倉庫にいる」
「なぜだ!?」
「それよりお前、なぜここに来た?」
「はぐらかすな!」
「それを教えるなら、俺も全てを教えてやろう」
テンヌキは、ここにきた用件を話し始めた。
提案がある
「提案?」
僕を『ボス』にしてくれ。そして、東を人間の世界に帰してくれ!!
テンヌキはものすごい勢いで、土下座をするように、床に頭を叩きつけた。
ゴチン!
さぞ痛いだろうに、テンヌキは、「痛い」の言葉も発さずに、続きを話した。
僕はあんたの一番近くにいた!いくら『ボス』が中心となって政治を行なっていたとしても、僕だって政治に関わっていたから、このLINEの世界を治めればいいのかくらいはわかる!!...東は、」
テンヌキは頭をあげた。
東は、人間の世界でやり残したことがたくさんあるんだ。だから、そのやり残したことをやらせてやってほしい...
「...」
テンヌキはさっきよりも勢いをつけて、頭を床に叩きつけた。
ゴチン!
ピシッ!
床にヒビが入る。
「おいテンヌキ、床が」
知ったこっちゃない!そんなこと!...頼む!東が、どうしても『ボス』にはなりたくないらしいんだ!理由もある!だから僕を...『ボス』にして下さい...!!
「...それは無理だ」
「なんで!?あんたには、良心っていうものがないのか!?」
「良心か...」
「お」は昔を懐かしむような表情になった。

続く

次回、ついに「お」の本音が語られる!!

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