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LINEの生活#11 作戦

「『テンヌキ』...」
「お」が何か考え込んでいる。
「ちなみに、スパイの世界では、誰も本名を明かしませんし、そもそも、仲間の顔も見れません。情報を漏らさないようにするためでしょうね、きっと」
「そうか...」
「『お』、さっきからなんか考え込んでいるが、どうかした?」
「いや、別に」
「ふーん」
明らかに「お」は何かを隠している。だが、向こうが何もないと言っているのだから、これ以上問い出しても無駄か、と、東は質問をやめた。すると、「玉」(テンヌキ)が口を開いた。
「なんか、『玉』って呼ばれるの、そんなに慣れていませんので、これからは、『テンヌキ』と呼んでもらってもよろしいですか?」
「ああ、全然良いんだけど......お前、いや、テンヌキも敬語やめろよ!水臭え!」
東が言った。
「は、はい、わかりました!」
「だから敬語やめろって(笑)」
「う、うん!」
はははははは!
東とテンヌキの間には、和やかな空気が流れた。だが、「お」だけが、意味深な表情でテンヌキを見ていた...。
「よし、じゃあ、明日にでも、逃げ出そうか。ここには、人間の世界へ行ける、通路がある。そこから逃げ出そう」
テンヌキは、早くも敬語を話す癖が治ったようだ。
「ちょ、ちょっと待った!お前、何で、『ボス』の屋敷のことについて、こんなに詳しいんだよ!?」
「確かに...」
「まあ、僕はボスの秘書だったからね。そこから何とか抜け出してきたよ」
「そんな奴が屋敷に潜入して、見つかったらどうすんだよ
「お」は観察力が高いのだろうか?実際、「お」は結構鋭い質問をする。今は結構それが激しいらしい。警戒しているのだろうか?
(だとしても...もう、そんなに警戒しなくても良いんじゃ...?)
もう、結構馴染んできているのに、少し用心深すぎではないか?と、東は思った。
「大丈夫、考えがある」
「考えって...」
「今はここから抜け出すのが最優先だよ。こんなことを話していても時間の無駄だ。早く作戦を立てなきゃ」
「...わかったよ...」
「お」もやっと納得したのか、テンヌキに従う。それを聞いていて思った疑問を、東が聞いた。
「なあ、俺がこの世界にきた時は、人間の俺は文字になったけど、もともと文字だった奴が、人間の世界に行った時は、どうなるんだ?ボスのいっちゃん近くで働いてたテンヌキはわからないのか?」
「ああ、それなら知っている。もともと文字だった奴が、人間の世界に行った時は、その文字は、新しい人間として生まれ変わる
「!じゃあ...」
「俺も人間の世界に行けるってことか!!行ってみてえええ!人間の世界!!」
「お」はとても興奮している。それをみたテンヌキは、ふっと微笑んで言った。
「そのための作戦を立てているんだよ。だから、頑張ろう!
「うおっシャア!やろうぜ!!」
「おう!」
東と「お」の目には、火がともった。そこで、テン貫が、屋敷の屋敷の簡単な地図を描いて言った。
屋敷は、お城のような見た目だった。一階の門の奥には、エレベーターがあり、そこには、家来の「守」の文字がずらっと並んでいる。二階、三階、と、様々なフロアがあり、七十階に「ボス」の部屋がある。屋敷の隣には、六十階ほどのビルが建てられており、そこが家来たちの住む場所になっている。
「さすがに入り口...門から入ってもダメだから、ここ、マンホールから入る」
テンヌキは地図に、マンホールを描き足した。
「マンホール!?」
「そう、この屋敷から少し離れた公園のマンホールは、実はエレベーターの前とつながっているんだ」
「よく誰も気づかなかったなあ...」
「僕が初めて気付いたんだ。...そして、『ボス』の部屋には、人間の世界への通路がある。ここから逃げるんだ」

続く

「お」は何故テンヌキを警戒しているのか!?
皆さんも考えてみてください!

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