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LINEの生活#20 LINEの世界の真実

この世界は、『LINE』という、SNSのサービスが始まってすぐ造られたんじゃ。この世界では、数え切れないほどの文字が、せっせと働いている。
では、『ボス』について話そう。
『ボス』わしら文字を、年に一度、抹殺するのには理由がある。
反逆者を出さないためじゃ。この『和樹』のスマホの初代の『ボス』は、この世界で3、4年も生活していたら、「飽きた」「人間の世界に行きたい」などと言って、反乱が起きることを恐れたのじゃ。その時は『ボス』も一緒に死んで、次のボスに変わる。
そして東、お前さんがここに来た理由は...

お前さんが、『ボス』の血を引いているからじゃ。


文字にはちゃんと血管があり...
ああ、そこじゃないのか...。
わかった、ちゃんと説明するぞ。
ごくたまに、『ボス』の部屋にある人間の世界への通路に、不具合が起きることがある。

その時は、その通路が塞がれていても関係なく、『ボス』のちを引く人間が、人間の世界からLINEの世界に吸い込まれてしまうのじゃ。


そしてその不具合が起きるのは、決まって十二月三十一日。『一斉処刑』という、文字抹殺計画が終わった後なんじゃ。
わかるな?東。

お前さんが、その不具合の対象じゃ」

「は!?....俺が....『ボス』の血を...受け継いでいる!?どういうことだよ!どうやって人間に『ボス』の血が受け継がれる!?」

「"『ボス』は総理大臣”...つまり、お前は総理大臣の息子じゃ」

「...は!?う、嘘だそんなの!俺は信じねえ!」
今現在の日本の大臣は名字を『森』に変えているからわからんじゃろうが、お前は総理大臣の息子なんじゃ!
「お、おかしいだろそんなの...」
「まあ、東、ちょっと落ち着いて、おじいさんの話を聞こう」
テンヌキに宥められて東は深呼吸をした。
「...信じられないのはわかるが...そういうことじゃ」
「なんで...」
東の目から、涙がこぼれた
「あ、東?!」
俺...この世界の虐殺者になんかなりたくねえ!!なんでだよ!なんで...別の世界にこんな......システムが存在するんだよ...!!
「東...」
「テンヌキ、明日、『お』の屋敷に行くぞ!」
「え..明日!?今日あったことで警備が硬くなって、入れないかも知れないのに!?」
俺はまだ、恋だってしてない!小説家にもなってない!『お』に話をつけに行く。LINEの世界で生活して、『ボス』になって死ぬくらいなら、あいつに一発ドカンと言ってやる!!!!
東はおいているお菓子を、手当たり次第に食べ始めた。
「あ、東、大丈夫?」
「ほはへほふへ。はひはほへへふひーひひほ!!(お前も食え。明日のエネルギーにしろ!)」
「はぁ?」
「はーはーは!(だーかーら!)」
東はお菓子をごくんと飲み込んだ。
「エネルギーだ。ほら」
東はお菓子を5個つかんで、テンヌキの口にねじ込んだ。
「ほがっ!」
「あ〜あ。疲れたわ、もう寝る。明日行くからな、お前も来い、テンヌキ
東は大きく伸びをした。
「おじいさん、ありがとう。寝かしてもらうぞ」
「散らかっとるが、いいか?」
「とりあえず眠いんでいいです」
東は大きく欠伸をした後、寝室のドアをくぐった。
東が中に入った後、
「テンヌキくん」
「老」がテン抜きに囁いた。
「ちょっと聞いてくれるか?」「老」はテンヌキに、とんでもない作戦を耳打ちした。
え!?それって東を...
「しっ。東が起きる。......やってくれるかの?これも東のためじゃ」

「...わかりました。やりましょう」


シーズン2 完結

続く

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