LINEの生活#33 最終章開幕!シーズン4最終話!! 電波に乗って ルビ機能めっちゃ使いました!
一夜明けて。東はリュックを背負った。
「あ、東、それはやめたほうがいい。怪しまれるぞ」
テンヌキは、東のリュックを引っ張った。
「ああ。そうだな」
東はリュックを下ろした。
「東がスマホに入る直前に、投げ込むよ」
「おう」
テンヌキは東のリュックを拾って、しっかりと掴んだ。
「東」
「ん?」
「今まで、ありがとう」
テンヌキが、少し恥ずかしそうに言った。
「お、おう...。こちらこそ」
東も、少し恥ずかしそうに言った。
「...それじゃ」
「じゃあな」
東は「ボス」の部屋から出た。
テンヌキは、しばらく見送っていたが、やがて自分の席に戻った。
東が部屋を出て少し経った頃、テンヌキは、
「そろそろ投げ込みに行かなきゃな。もうついただろうし」
と言い、東のリュックを持って、屋敷を後にした。
巨大なスマホの前に着いた東は、LINEの画面が開かれていることを確かめた。そして、画面の上の方。東はそこに書かれた送り先を見た。
『東湊太』
「...よし」
LINEが送信された時、文字は電波に乗って、送り先のスマホへ向かう。そして、送り先のLINEの世界の工場から、吐き出される。
そして、スマホの画面に張り付きに行く...。
このスマホは、調べたところ、東の友人の「和樹」のものだった。和樹の巨大な指がスマホに触れる。文字が打ち込まれる。東はさりげなく、スマホに張り付くように、スマホに近づいた。
東がなぜ、自分のスマホではなく、「和樹」のスマホに飛ばされてしまったのかを聞くと、テンヌキは「わからない」と答えた。テンヌキによると、「普通は自分のスマホに行くものだ。君は珍しい」だそうだ。
(誰か黒幕がいるのだろうか?)
東はそう考えてみたが、頭をブンブンと振り、(今は人間の世界に帰ることの方が大事だ!)と自分に言い聞かせた。
「今からこのスマホの電波に乗って、君のスマホに行くときに、電波に不具合が起きて、全く別のスマホに放り出されてしまうかもしれない。それでもいいの?」
東はこのテンヌキの言葉に、うんと頷いたのだ。ここまでの覚悟をしといて、今更行かないのはもったいない!
十分に決意を固めた東は、上の方を見た。文字が打ち込まれ、送信ボタンが押されたので、打たれた文字と同じ文字が、必死に上へ上へと登っている。大体、スマホの上の方のちょうど真ん中に、トンネルのような電波が出ている。文字たちはその電波に入って行く。東は姿を見られないように、素早くスマホに掴まり、トンネルによじ登った。そして、サッ!と、さっきの文字たちのように、トンネルの中へ入っていった。もちろん、こっそりテンヌキが投げ込んだ、リュックも一緒に。
「んっ...うおっ!」
東の体に、物凄い衝撃が走った。あの例の黄色いタコ※のスピードよりも早いんじゃないかというようなスピードで、体が前へ前へと進んで行く。
電波の道は、トンネルのように、どす黒い筒の一本道だった。たまに曲がっているのかもしれないが、体が運ばれるスピードが早すぎて、感じることすらできない。
おまけに、体全体に電気が流れ込んでくるので、唸り声や悲鳴くらいしか上げられない。
(は、早く俺のスマホについて...)
不意に、東の目の前に、光が見えた。
(っ!眩しい!!)
東の体が、前にぐわんと押し出された。
ビタン!
地面に叩きつけられた東は、ふらふらとしながら、立ち上がった。
続く
最終章開幕!
※コイツです↓
暗殺教室めっちゃ好きなので、ここで使わせていただきました!
松井優征 少年ジャンプ
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