見出し画像

LINEの生活#10 テンヌキ

「よし、じゃあ、お前には半分渡すから、ヨロシクぅ!」
そう言って「お」は、東の手に、明らかに二百枚を超えた量の広告を手渡した。
「ちょっ?は!?これ、明らかに二百枚超えてるよな!?」
東が手元の広告から目を離したときは...もうとっくに手遅れだった。
「あいつ、帰ったらドロップキック食らわせたる...」
と、東は半ば呆れたような顔で言った。

「と、言うことで、お前にドロップキックを食らわせまぁす☺️」
ひえっ!?
帰ってきてから東が最初に放った言葉がこれだった。
良いよね☺︎
東はニコッと笑いながら言う。
「い、いやあああああああああああ!!!!」
「お」は少し泣いている。でもそんなこと知らん。
「俺の苦労を思い知るが良いい」
やめてくださいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!
プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!
電話がなった。
「チッ、こんな時に...」
「や、ヤッタァ!!」
「お」は今は時間が止まってる、とでも言うように、踊りながら電話をとった。
「はいぃ、もしもし?...えっ!?......本当ですか!?...はい、はい。今から!?......わかりました!...はい。...どうぞ!おいでください!」
がちゃっ、と、受話器が置かれた。
「何の話だった?」
「今からここにくるって!!」
「誰が?」
「この世界から抜け出したいって言う文字!!!」

東と「お」のもとにやってきたのは、「玉」の文字(以下「玉」)だった。
「俺、ここから抜け出したいんです!『ボス』に支配されるなんて、まっぴらごめんだ!!!!...僕、もともと人間で、この世界に連れてこられて、『ボス』の元で働いていて、理不尽な体罰を受けていて...」
「お」が、ピクッと反応した。
「だから、早く人間の世界へ行きたいんです!!あなたたちに協力します!ここから出ましょう!!」
「もちろんですよ!なあ、東!」
「おう!」
「じゃあ、みんなで頑張りましょう!」
三つの文字は、ぐっと手を握り合った。

「ちょっとおさらいしていいか?」
東が口を開いた。
ここは人間界のような世界で、血の通った文字がいて、街などがある。人間界と違う点は、文字がいること。後、文字や絵文字を作る、工場があると言うことで良いか?」
「そんな感じだな」
「そうですね」
「ああ、よかったよかった。...じゃあ、改めて自己紹介するか!」
「じゃあ、俺から」
「お」が話し始めた。
「俺は見ての通り『お』。俺はこの世界で、文字として生まれ、こうやって毎日働いて生きてる。多分、この『お』って言うのは、おしゃべりの『お』だと思う。俺、おしゃべりだからw」
こいつも自覚してたのか...と、東は思った。
「俺は『東』。ひがしって書いてあずまって読むんだ。俺も『玉』と同じように、もともと人間で、三日前にここに来た。人間の世界では、ピザ屋でバイトして暮らしてる」
「僕は『玉』です。僕も人間の世界から来ました。...人間の世界では、信じられないかもしれませんが、スパイをやっていました」
「スパイ?じゃあ、コードネームとかあるの?」
東が、興味深そうに尋ねた。
「はい。そこで呼ばれていた名前は、『テンヌキ』です」

続く

実は、この3人の中に、「ボス」がいます!
この#10 の本編に、ヒントを隠しています!
是非、誰が「ボス」なのか、考えてみてください!

それでは、また来週〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?