マガジンのカバー画像

国境廃止

8
国境の無くなった世界で繰り広げられるSFサバイバル!
運営しているクリエイター

#S

国境廃止 前日譚「一つの手記」

page2俺はこれを書き終え、予知の力が入った袋を出して、そこらへんの茂みに隠しておいた。手記も一緒に。 俺の予知の能力は、あまり使われなかった。なぜなら、全くあてにならないから。ぼやっとしかわからない。明日が晴れるかも。そんなことしかわからないからだ。 ただ今ははっきりと分かる。あの男が、仲間の女と、この『α地点』に来るということが。 そこからこの世界はどうなるのだろうか。見てみたい気もする。期待外れかもしれないから、見てみたくない気もする。 でも、 「もう遅いか」 後ろの

国境廃止 前日譚「ひとつの手記」 前編

Prologue「α地点」。はじまりの地。 とある集落。その集落は、隣同士の集落と、長い争いを続けていた。争い、は、戦争レベルにものぼっていた。「α地点」のほとんどの人間は、銃なんて普通に持っていたし、大砲まで持っている者までいた。 昔からの伝統、とでも言おうか。伝統なんて生やさしいものではないが…。 「α地点」と呼ばれる島では、国境がなくなる前から戦争が続いていた。 理由はわからない。ただなんとなく、昔からやっていたから。そんな理由で、戦争が起こる。それがこの「α地点」。