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【「BANANA FISH」The Stage 後編】初日配信感想

舞台【「BANANA FISH」The Stage -後編-】初日の見逃し配信を観た感想です。
(バレ有り)

1/28初稿、2/7追記、2/14追記。

[1/28初稿]
水江建太さん、アッシュを渾身込めて生きてくれてありがとう。
役者の皆さま、舞台を創り上げた全ての関係者の皆様、真摯にBANANA FISHの世界を創り上げてくれてありがとう。

現実世界で死を間近で見送るとこちらの生命力も少し持っていかれるような感覚になるのだけど、
今回配信を観てそれに近い感覚になりました。アッシュの一生を見送って、気力体力共にごっそり持っていかれた感。
その日一日中、他のテレビや本や漫画を摂取する気ににならなかった。これ、本当に美味しいものを飲食した後しばらく何も口に入れようと思わないのと同じ現象。こうやって感想として外に出して初めて先へ進める。
配信観るだけでこれなのに、現地で観たらもっと凄いだろうな。ましてこれを1日2回も演じる役者さん達の気力体力は本当に凄いと尊敬します。

2.5次元という世界を全く知らなかったので、前編観る前は不安がありました。2.5次元って歌も歌う?とか、”そこに漫画の登場人物が実在するとみなす”世界と聞いて、アッシュや英二が歌い出しちゃったらどうしよう?とかアッシュにファンサとかあるのかな?とか不安があったのですが、
今回前編後編全て観て、これを2.5次元というジャンル分けってする必要あるのか?と思いました。
舞台上に世界を創り、役者が登場人物を演じ切る、従来から存在する演劇そのものではないですか。そこにジャンル分けの必要を全く感じませんでした。

以下後編の感想です。バレ有りです。

・ 原作漫画もアニメも通っているので、感情を揺らす事は軽く済むかなと最初思っていたのですが、そんなことなかった。原作漫画ともアニメとも違う媒体は新鮮で、話を知っていても新たに感情思いっきり揺すられました。
・ 全体的に硬派に仕上げたな、と感じました。ストーリー展開にスピードがあり、キャンディーバーの歌カット、バーバラちゃんは一瞬だけ、と色物はほぼなし、英二の弱さ足手纏いな部分も敢て描かれるような事はなし、アクションの見せ場は多め、アッシュと英二の心を通わすシーンはしっかり入りつつ、純粋に友情として演出されていたと思います。この演出なら、原作やアニメで一部議論になったBLか否か論争も起きる余地ないのでは?
・ 原作でアッシュが現在進行形で受ける被性的暴力は前編から入っていなかった為、フォックスのところどうするのかと思っていたら、そこは何があったかはっきりとは出さず観客の想像に任せる形でした。観る人によっては単に拷問があった、と捉えることもあるかも。尤も原作でも性的暴力含めて精神支配の為の拷問の一環として描かれているので、拷問でくくっても問題ないのかもしれない。舞台上では一切性的演出はなかったので(ディノのキス(おえぇ)くらい?あとはベッドでのアッシュの激白)そこも全体的に硬派な印象となったのかも。
ただこの話は、性的暴力も重要な要素だけど、その要素は薄まってたかな。
・ 最初、後編配役発表にラオ役がいなかったので、話が変わるのか?又は単なるモブにということなのだろうか?と思ったらそんなことなかった。結末も原作に忠実でした。
・ 穏やかなシーンで涙出た。
  出雲のところ。英二が神様の国から来た、ここからアッシュが神に祈るシーンにも繋がるのかな。
  スープ飲むところ。アッシュは生きてる事を実感する生を生きたいのであって、魂を切り売りする生をただ生き延びたいわけではないのだ、と感じる。
  シンが叶わなかった希望を吐露するところ。ここは原作やアニメでもいつも涙出てしまうけど舞台でもやっぱり涙出た。
  そしてアッシュ、あの服装はアカンて。服見ただけで涙出る舞台なんて他にあるのだろうか?
・ ラスト、魂は共にのとこ、英二せっかくアッシュの傍にきたのに、行くなよ~っ!って思った。
・ 後編はショーターいないし、ケインも存在消されてるので、アッシュと対等な仲間がいない。アッシュがより孤独が強調されて英二だけ、という感覚強かった。
・ ブランカの人声良いな。アッシュやシンは声高めで若者感出てて、ブランカの声低めで大人な感じ出ていて年齢の差を感じた。
・ 前編はマックスと伊部さんコンビが癒しだったけど、後編はマックスも大変なので伊部さん出ると癒される。あとアレックス達3人トリオ好きなので出番多めで嬉しい。
・ アクション、3mくらい上(もっとあった?)から飛び降りてて凄いって思った。
  シン役の鯛造さんの懸垂力どうなっているんだ。本当に片手だけでぶら下がって身体支えていたよ。そこからよじ登ってって、本当に人間の身体能力で出来るんだそんなこと・・・ここが舞台の凄いところですね。絵で描けば何でも出来るだろうと思っても、それを実際の人間が演っていると感動する。
・ フェリーのシーンが軽装だったから春~夏?二人が一緒にいた時間軸は原作と同じ2年間なのかな。少しでも一緒にいる時間が長くあったなら嬉しい。
・ カーテンコールの凄いところは、劇中で敵だった人間も全てその瞬間同じ劇を演じる仲間になるところ。ディノもフォックスもラオも。演劇マジックだなあ。ディノ役の赤星さんが片手を挙げて水江さんや来夢くんの登場を促すとこ好き。

今思い出せるのはこのくらい。また思い出したら書き足します(1/28)

[2/7追記]
舞台が中止になってしまいました(涙)
初演の後、新型コロナの流行拡大のせいで、何度か、演者さんの体調不良等の為1公演が中止になってはその後演出の変え復活、また1日公演が中止になってはまた演出を変え公演復活、と何度も立ちどまっては演出の工夫で復活されていたのだけど、関係者の方に陽性が出た為ついにその後千秋楽まで全ての公演が中止になってしまいました。いつ誰がコロナにかかってもおかしくない中、関係者一人でも陽性になったらその後の演目全中止なんて、なんてリスキーなのだろう。そんなリスクを冒しても、実際公演を何度中断しても、工夫して舞台に立ち続ける、その姿勢はまるでアッシュ達の闘いのようだと思い、舞台そのものをアッシュに重ねて、舞台が続くように応援してました。まさか突然の喪失まで本編の内容とリンクするとは。ある意味BANANA FISHらしいと言えるかもしれないけれど、観客のみならず演者関係者の皆さんまで喪失して残される側になるとは。本編内容のみならず現実でも、このやるせない喪失感を抱えることになってしまいました。それでも、その時まで舞台は何回も公演されて輝く時間があったのですね。まるで舞台そのものがアッシュの生のようにも感じます。そして初日配信は残り、Blu-ray/DVDも予定通り販売されるそうです。さながら配信がアッシュの生きた証である英二の写真かのよう。Blu-ray/DVDでいつまでも舞台の輝きは残るのですね。

公演中止に伴い初日配信が再配信として復活した為、再度配信を購入し鑑賞しました。
・ラスト実は初回は直視出来ず涙で視界もぼやけあまりちゃんとは観ていなかったので、今度はちゃんと観ようと思いました。それで、初日配信はスイッチングなのですが、ラストのラオがっ!のシーンで、手紙が宙を舞い、アッシュがそれに手を伸ばしたところで、ラオのセリフのところでラオがアップになるんですよ。で、ラオのアップが終わった時、もうアッシュは手紙を集め終わっている、て、え?と思った。アニメだと、ラオが話す→アッシュが手紙を拾う、って両方描かれてる。でも舞台はラオが話してる時も時間が流れているわけで、アッシュも動いている。そっか、アニメと舞台はここが違うんだ。ラオがしゃべってる時アッシュが止まってるわけない。ラオの話なんて無視してアッシュにとって一番大事なことをしている。そこをスイッチング配信視聴者は見逃してしまうわけです。もったいないよ~。この一連はアッシュのセリフがないから、前後編合わせてアッシュの心情の集大成がここの動きに詰まっている。ラオが何を考えたかの事情よりこの瞬間アッシュが何をしているか、の方を観たかった。せめて引きの映像でもいいからアッシュを観たかった。
・配信2回目でもやはり泣きました。そして、涙が出る場所がアニメの時と違う(原作は辛くて途中から読み直してないの。だから記憶に新しいアニメとの比較になる)。特に舞台で英二が神にアッシュを護って下さいと祈るとこで涙が出たのだけど、アニメではそこより寧ろアッシュがブランカに幸福なんだ、という所で落涙していた。泣ける場所が違うというのは自分でも驚きでした。これが演出や演技の違いなのだろうか。あとディノがフォックスを撃つとこ。何で!?と自分でも意外だった。なんだかディノの矜持を見届けたという感覚なのかもしれない。
・舞台は進行がぎゅっと凝縮されているから、流れがわかり易い。
英二が出雲は神様の国と言い、英二が神に祈り、その後アッシュが神に祈る。今まで出て来なかった神様という概念が、英二が出雲の話をしてから連続して出てくる。だからアッシュがおそらく今まで信じてもいなかった神様に祈ったのは、英二が神様の国から来た、ということもあったのかもしれないな、と思った。英二が話す神なら信じてもよいかな、みたいな。
・リンクス達の一人が”英ちゃんはやる時はやる男だ”と言ったの嬉しかった。リンクスメンバーにとって、英二がアッシュの付属物ではなく、ちゃんと仲間として認められている、信頼されていることがわかる。ラストの空港でも仲良さそうにしてたのが良いな。  
・英二がユーシスに「ばかっ!」と啖呵をきるところの言い方好き。

配信期間はまだあるのであと1回は観たい。また何か追記するかも(2/7)

[2/14追記]
配信期間が昨日(2/13)で終了しました。もう一回は観たかったのだけど、観れず。リアルな生活の方で集中しなければいけない事があり、時間がないというより魂持っていかれる舞台配信を観たらそちらに集中出来ないと思って泣く泣く見送り。ちょっと時間空いたからテレビでも観よう、という感覚ではないのですよね。時間よし!他に考えることもなし!と舞台に集中出来る環境を作ってからでないと観れない、そういう舞台でした。
Blu-rayの予約はしたので夏に届いたら前編と合わせてまた観ます。
願わくば、全景も観たかったなあ。
また再演して頂けることを願っています。(2/14)


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