静屋 はろう

文章を書きます。

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【詩】灯りの中へ

灯りを見ていた 日が暮れて ぽつぽつとともる灯りを 風が冷たくて 帰りたかった 居場所のある 灯りの中へ 寒かったでしょうと 雪を払ってくれる灯りの中へ 僕は向かっていた 灯りの方へ 灯りの方へと 求めれば求めるほど 遠くて 見ていた 灯りを 入りたくて 中に入りたくて 光がついているだけの家 誰も笑わない 牢獄のような 灯りの中へ 灯りの中へ 格好悪くてもいい ぼろぼろでもいい 灯りの中へ入るんだ 僕は 僕は入るんだ 灯りの中へ

    • 【詩】涙

      夜空びりびりに引き裂いたら 涙みたいに落ちてきた 紺碧一片 だって胸の中と同じ色 悲しくってもう 悲しくってもう いつも いつもと一緒であってよ 普段掛けてるブランケット 効かない日があるなんて 愛して 意味なく睨んでも

      • 【詩】対話

        話しているのは貴方にじゃない 過去 私たちの 幸せだった過去へ もうとっくに歩み出して 曖昧になった記憶 今だけ振り返らせて 涙が流れても あの日の私がいる あの日のあなたがいる 笑っているわたしたち 過去 過去へ わたしたちの しあわせだった過去へ

        • 【詩】君に

          君に夢中で音楽もろくにきけない そして君に振られて耳が染みるんだ

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        • 106本

        記事

          【詩】創作

          人々に混じり 笑顔で笑顔を迎撃する もはやオートパイロット 日常 私の日常 私の怪物も 随分形象を変えた 呻き 叫ぶだけだったのが 今は薄く笑み、問いかけてくる いやなやつに 変わりはないけど 私も少しは 笑えている この道をゆく 足跡を忘れるほど 日常する

          【詩】あの雲になりたい

          あの雲になりたい ぽつんと浮かぶ雲 青空にいるだけの雲に 風が吹けば ほつれていく 誰に混ざることもなく 青空に溶けて 消えていく いたのか いなかったのか 正しいことなんて 何一つ言いたくない

          【詩】あの雲になりたい

          【詩】好きな子の前

          やばい なんか鼻毛出てる気がする 話がまったく入ってこない 鼻毛出ながら今話してる気がして 自然に触ってみるが わからない 毛の感触など些細 一旦トイレへと中座 鏡を見る 出ていなかった 一息ついて復帰 なんかまた出てる気がする ふざけんなよ 出てねえよ さっき見たよ 出てなかったから 絶対気のせい あ、 でも やばい なんか鼻毛出てる気がする

          【詩】好きな子の前

          【詩】そんな夏

          電車の中 麦わら帽子を深くかぶった 幼子が 刑事訴訟法を学ぶ傍ら 僕は 世界に気づかれぬようそっと tinderを開いた メッセージは来ていなかった

          【詩】そんな夏

          【詩】二十代後半

          無数に見える 天秤のはかり ひとつひとつ 取り外していく いくつか残る 天秤のはかり これならまぁ 釣り合いはとれそう

          【詩】二十代後半

          【詩】いろいろ

          私がいなくなったら ぐしゃぐしゃになって潰れてね 私のいた場所も あなたも しばらく滅んだら 立ち上がって また歩きだしてね

          【詩】いろいろ

          【詩】桜のダンス

          桜はきれい 満開もいいけど ひっこみ思案な桃色が 春に呼ばれた風に乗り いったりきたり あげたりさげたり ふわりひらりと遊びながら 最後に舞うのが一番きれい 風の吹く日は出かけよう 春の醍醐味 桜のダンス

          【詩】桜のダンス

          【詩】背中にナイフを突き刺して

          背中にナイフを突き刺して 溢れ出た赤い翼 動かすたびに痛むけど うんと高く翔べたの 愛と希望で また背中が凝る 家で寝ているだけなら 痛みだって素敵 ナイフを探して あなたに渡す瞬間 ぞくりと生が脊椎をなぞる さあ さあ 背中にナイフを突き刺して

          【詩】背中にナイフを突き刺して

          【詩】透明

          私の両目から 流れるものが何か分からない 血ならば 少しは落ち着くが 指が震える もしも そうではなかったら 裏切ってやろうと 天まで上がったところで そう思っていたのに 手を伸ばしてしまった その手を掴んでしまった なぜ なぜ なぜなの あなたの顔を見て 一滴こぼれた 透明 あなたはあたたかいと言った この手を離せない この手を どうしても離せないの

          【詩】罰

          掻き破り 掻き破り 掻き破り 爪に纏わりつく 無様な赤と乳白 胸は噴火したように熱く 大声をあげている それでも腕は進み 掻き破り 掻き破り 私は笑っている 後のことなど知りはしない 許せないのだ 愚かで 無知で 繰り返す 裏切る 信用ならない そんなものが 自分だとは 痛みがまた吠える 腕が震える くたばりそうで 嬉しいのだ 緊急信号は ずっと鳴っている これ以上は これ以上は 私はまた 胸に、爪を突き立てる こんなもの こんなもの こんなもの 掻き破り 掻き破り

          【詩】蒼を知る

          世界はまだら 未完成 不完全 それを知った時 憎しみの爆ぜる音 たちのぼる悲しみのかおり 気づいたんだ 焦げていることに 真っ黒で見てくれも悪いし まずいって分かってる でも 食べようよ 塩ふってもいい 冷やしてからでもいいよ 文句を垂れたり 赤子のように泣きわめくのは もういやだから ちゃんと噛んで飲みこもう やっぱりまずいって笑おう そしたら 胃袋の中で 蒼く輝いて ほら 石ころだったものが 煌めいて見える

          【詩】蒼を知る

          【詩】溶けて

          抱きしめられて 初めて気づいた 身体が冷えていたことに 熱い 涙の通り道

          【詩】溶けて