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定積分によって表現された関数の決定

$${f(x)=\int^\frac{\pi}{2}_{0}g(t)\sin(x-t)dt,g(x)=x+\int^\frac{\pi}{2}_0f(t)dt}$$を満たす関数$${f(x),g(x)}$$を求めよ。

【前提】

ここでは、「積の微分公式」をちょいちょいっとして得られる「部分積分の公式」

$$
(f(x)g(x))'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\\f(x)g'(x)=(f(x)g(x))'-f'(x)g(x)\\\int f(x)g'(x)dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)dx\\\int_{a}^{b}f(x)g'(x)dx=[f(x)g(x)]_{a}^{b}-\int_{a}^{b}f'(x)g(x)dx
$$

は既知とする。

さて、本題。

$${t,x}$$を互いに独立の変数、$${a,b}$$を定数とすると

$${\int^{b}_{a}f(t)dt}$$は定数である。
定積分の演算結果として、積分変数$${t}$$は消えてなくなる。

$${\int^{b}_{a}f(x,t)dt}$$はxの関数である。
積分変数$${t}$$は消えて変数$${x}$$は生き残る。

$${\int^{g(x)}_{h(x)}f(t)dt}$$はxの関数である。
積分変数$${t}$$に変数$${x}$$が代入されて、$${x}$$は生き残る。

【解答】
$${f(x)}$$を三角関数の加法定理を用いて展開し、$${\sin{x},\cos{x}}$$の係数をそれぞれ$${a,-b}$$とすると、

$$
f(x)=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}g(t)\sin(x-t)dt\\=\sin{x}\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}g(t)\cos{t}dt-\cos{x}\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}g(t)\sin{t}dt\\f(x)=a\sin{x}-b\cos{x}\\(a,b)=(\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}g(t)\cos{t}dt,\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}g(t)\sin{t}dt)
$$

また、$${g(x)}$$の定積分部分の計算結果を$${c}$$とすると

$$
g(x)=x+\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}f(t)dt=x+c\\c=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}f(t)dt\\=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}(a\sin{t}-b\cos{t})dt\\=[-a\cos{t}-b\sin{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}\\=a-b
$$

よって、

$$
a=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}(t+c)\cos{t}dt\\=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}t\cos{t}dt+c\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\cos{t}dt\\=[t\sin{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}-\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\sin{t}dt+c[\sin{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}\\=\frac{\pi}{2}+[\cos{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}+c\\=\frac{\pi}{2}-1+c\\b=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}(t+c)\sin{t}dt\\=\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}t\sin{t}dt+c\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\sin{t}dt\\=-[t\cos{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}+\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\cos{t}dt-c[\cos{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}\\=[\sin{t}]^{\frac{\pi}{2}}_{0}+c\\=1+c
$$

以上により、得られた式を連立方程式として解くと、

$$
(a,b,c)=(\frac{\pi}{2}+c-1,c+1,a-b)\\=(\pi-3,\frac{\pi}{2}-1,\frac{\pi}{2}-2)
$$

よって、

$$
\underline{(f(x),g(x))=((\pi-3)\sin{x}-(\frac{\pi}{2}-1)\cos{x},x+\frac{\pi}{2}-2)・・・[答]}
$$

【コメント】
赤チャートの「演習問題」です。
この種の問題は、定数となる部分を定積分の外へつぎつぎ追い出し、実質的な定積分計算を絞り上げていくのがポイントですが、特に、ここでは$${(a,b,c)}$$と$${3}$$つの定数を登場させて、連立方程式として解決しました。
是非一度解いておきたい"学びみ"のある問題です。

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