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中小企業は大企業の縮小版ではない

バーバードビジネススクールのケーススタディの一つに「中小企業は大企業の縮小版ではない」というものがあった。
最初は当たり前のことを何故こんなに堂々と言っているのか?と不思議に思ったが、そこに書いてあったことは大企業勤めの私には新鮮だった。

「売上高に対する従業員の数やコストは、中小企業の方がはるかに大きい」

これが意味するところは、中小企業の方が固定費率が高くなりがち、つまり利益が出にくく、資金繰りが厳しくなりがちということ。もちろん一概には言えないが、人的コストが年間数百万~3千万/人というレンジは中小企業でも大企業でも大きく変わらないはずだ。そうなると変動費型か固定費型かビジネスモデルにもよるが、事業規模の大きな企業がコストを吸収しやすいのは間違いない。

採用した人のパフォーマンスが事業に与える影響も大きいのも中小企業である。つまり、中小企業の方が人に対する投資の重みが大きいのだ。中小企業は人に対する考え方が大企業と根本的に違うということを認識しないといけない。

私は海外のベンチャー企業と提携する仕事をしている。経営のスピード感の違いや日本市場特有の文化など、提携に際してギャップを乗り越えることが重要であるが、上記の視点は無かった。資金に困る際はベンチャーキャピタルからのエクイティ投資を次のラウンドで調達すればよいのでは、と思っていた私は大変反省した。
製品がローンチ出来たらできる限り早期に売り上げを立てて規模を大きくしていくことは、今後の成長にも企業の継続性にも重要な「人への投資」に影響を与えることなのだ。だから営業やビジネスデベロップメントの役割を大企業と同様に捉えていると、その影響度を見誤ることになる。中小企業における役割は、大企業よりも相互関係が強く、因果関係も強い。

やはり中小企業は大企業の縮小版ではない。

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