見出し画像

セブンドメインズのすゝめ

ロンドンビジネススクールの教授ジョン・ムリンズさんが書いた本に「ビジネスロードテスト」という本がある。
参考:『The New Business Road Test』 | GLOBIS 知見録
これは読み物としても面白いが、紹介されているフレームワークが秀逸だ。
事業開発の担当者には大変参考になる。
頭に入れておくと意思決定スピードが何倍にもなるし、次の仮説検証項目が明確になるので、直ぐ使えるだけでなくずっと使えるものだと思う。

手順はシンプル。
①まずポジションが空いているか。そして一定のマーケットサイズがあるか。
②これがクリアできたらマクロ視点でマーケットの成長率や規模の拡大が見込めるか。
③次が最重要のフェーズ、業界分析。製品特性、顧客行動特性、競合を含めた提供者の直面する難所、これら3点から業界のKSFを導出する。ファイブフォーシズが使いやすい。
④業界KSFが整理出来たら次は自社の実行力を分析する。おすすめはバリューチェーンとVRIOのマトリックス。
業界KSFに対して不足するケイパビリティ(リソースとプロセス)を整理する。
その不足するケイパビリティを補完する事が出来るか、を考え抜く。
ここまできたら事業性の評価は終了する。
⑤良い事業構想であれば次に実行する人、経営陣の評価を行う。その事業の業界KSFを追求出来る人材か。
⑥その事業と実行する人の志が合致しているか。
⑦事業を推進する上で人的ネットワークを持っているか。

このセブンドメインズは順序が明確で使いやすいフレームワークだ。
但し見ての通り使いこなすまでが大変だ。
一つ一つのプロセスで経営学のフレームワークのオンパレード。しかも事業開始後は事前の仮説が正しいか検証し、改善サイクルを回し続ける必要がある。

ポイントは事業内容をシンプルにすること。プロダクトとしては2つ3つあることも多い。そうなるとターゲット顧客が複数になってしまい、結局市場や競合も多重化してしまうため、分析がぼやけてくる。そういう場合はプロダクトかターゲットセグメントを一つに絞って分析を回す(複数のセブンドメインズに分けて分析を回す)。そうして一つ一つのプロダクトに関する事業性や実行可能性の解像度を上げ、不足するケイパビリティを明確化していくと、かなり具体的な課題が見えてくる。必然的に実行する人・経営陣に求められるものも具体的になる。

いいなと思ったら応援しよう!