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「フリーバケーション」制度を作ろう!

9日間のフリーバケーション、略して「フリバケ」これ、以前にいた日本の会社のお休みの制度です。会社の休日以外に、別途9日間連続のお休みを1年に一度、取らなきゃいけない制度。(タイトル写真は仏マルセイユ近く)

月から金の有休5日間と前後の土日を合わせるので、有休は5日間しか使わないけれど、実質9日間です。もちろん、お盆やお正月と別で、1年のいつに使ってもOK。義務であり、権利という所がミソ。

休みの分散、有休取得推進、人生の楽しみ、個人の仕事のオープン化として、個々人にも社会にも、良い制度だったと思うので、紹介したいと思います。ドイツ人は毎年バケーションを長くとりますが、それに近い感覚の休みだと思います。

まず、年度初めに、チームで、フリバケを取りたい時期の希望のすり合わせをします。1年の業務と私用の予定を考えながら、この辺りで取りたいと各々が希望を共通カレンダーに書きこんで、チーム内で共有します。一応作っておいて、あとは仕事や旅行の都合で、「やっぱり、ずらしました」とかも有りです。

フリバケ中は、
社内では、「●●さん、フリバケなんで、いませーん」とか、「フリバケなので、この期間休みます」とかいう自動返信も普通に行われています。

混んでない時に旅行に行けるし、9日間あれば、国内やアジアだけでなく、遠めの海外にも、いけます。社会人は毎日、同じ景色を見て、同じメンバーと会う。新しい刺激なしに、新しいアイディアって浮かぶのかなと思う。

フリバケの間、世界を見る事もできるし、趣味の大会も出れるし、地方にいるお母さんの誕生日に合わせて、帰省出来たりする。混んでないし、宿泊費も高くないし、その場所のベストシーズンにいける。家でじっくり休むのもいい。

まだ小さいお子さんがいても、夏休みのまだ混んでない時にフリバケを取ったり。お子さんの大事な行事の前後に入れたり。

で、帰ってきた時は、大体リフレッシュできている。
「あー。会社も、仲間も、久しぶり!」って。

どうして、退社して10年以上経つ会社のお休みを思い出したかというと、欧州人のバケーションの取り方と似てるなと思ったからです。

「取らなきゃいけない休み、でも時期は選べる」というのがミソで、日本の企業では、在宅勤務もですが、強制されないと、なかなか進まない雰囲気があります。

でも、会社の制度で、強制で1年に一度なら、「しょうがないなー、9日間休みもあるし、何しようかな。」となります。

社内的にも、「フリバケなので」と、免罪符。この免罪符モードも大切で、欧州人達のバケーションで休む時は、びっくりする程、堂々としています。「バケーションなので。3週間いません。後はよろしゅう。楽しい夏を。」って書置き(ほんとはメールだけど)が許される状態。

よく言われる様に、ドイツというか欧州の人達は、バケーションが一年の一番の楽しみで、その為に仕事をしています。特に南欧以外は、本当に冬は寒く暗いので、夏にたっぷり日を浴びて、リフレッシュしなかったら、とても冬を乗り切れないと思います。(欧州の暗い冬を6回体験した実感です)

今回のコロナのある夏でも、欧州人の友達は、バケーションは、今まで通り過ごしています。イタリアの地中海近くのアパートメントに1カ月滞在したり、ノルマンディーのコテージに2週間滞在したり。車で行って、あまりウロウロしない滞在型なので、リスクが少ない事もあります。コロナだからと制限をかけたら、きっと猛反発だったはず。

日本では、そこまでの思いがなくても、帰省以外のお休みの使い方があっても良いと思う。「9日間の自由時間を一体どう使おう」っていうワクワクの為に、一年間、頑張ったっていいんじゃないかと思う。

実は、日本の方がドイツより祝日が多くて、更に月曜祝日の3連休があるけれど、みんなが休みで混んでるし、宿泊費がその時は特に高い。みんなが集中する3日間だと近場でなんとなく終わってしまうけれど、みんなが働いている平日に休みが9日間もあると、何か思い切った事をしようかなと思うのでは。

欧州の人達は、夏のバケーションも冬のスキーも、1週間や1か月滞在でホテルやアパートをとります。どこかにいって、あくせくするのではなく、ただ、その土地で暮らすように、のんびりします。

フリバケでは、そこまでは出来ないけれど、日数的には、滞在型のバケーションを過ごす事も可能です。それには、ホテルの宿泊費がもう少し安くなって欲しい。欧州のホテルでは1部屋いくら、一棟いくらで計算するけれど、日本のホテルは、1人いくらで…。家族で行くと高くてびっくりする。欧州なら、4人で一泊170ユーロ(2万ちょっと)で素泊まりで4つ星ホテルに泊まれたけれど、日本だと、1人いくらで、4人で3万以下なんて、なかなか見つからないです。

さて、話を戻して、フリバケのもう1つの良い面は、その間、周りの人に自分の業務をいつもオープンにできる仕事のスタイル。マニュアル化とか、データやファイルのオープンで分かり易い配置とか、自らの業務周りが整理できていないと、シェア出来ない。

これによって、日頃の周りとの業務の理解も、業務の引継ぎも、すんなり出来る様になる。個人が業務を色々、自分のブラックボックスに抱えこまず、属人化せず、自分の仕事を毎年オープン化できる状態にするのは透明性、効率性の意味でも重要です。

少なくとも9日間は、携帯を切って、放浪の旅に出ても、お互い、フォローできる体制にしよう。

そんな訳で、フリバケどうでしょう?










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