見出し画像

《スクラップ・クラッシュ》の採用可能性について

以上です。


《スクラップ・クラッシュ》の問題点について

はい、真面目に説明しましょう。

《スクラップ・クラッシュ》は、昔のテーマによくある「汎用カードで良くね?ってなる専用カード」のひとつです。

スクラップは破壊を扱うカテゴリであり発動条件を満たしやすく、効果も魔法罠の範囲除去であるからして一瞬そこそこ使えそうに見えるのですが……

具体的にこのカードを使う状況を考えてみると、
・相手が表側、つまり永続・フィールド・装備の魔法罠を使う場合に限る
・自分のスクラップモンスターを(原則自分の手で)破壊しないと使えない
・「時の任意効果」なのでサクリファイスエスケープの破壊は許されない
・発動条件のせいでタイムラグがあり「発動時の効果処理」は止められない
・同様にスキドレなどの永続効果も一時的に適用されるため、妨害はされる
・その上で自分がフィールドを発動していれば割ってしまう

という、非常に限定的な状況でしか使えないカードだということがわかります。

勿論クラッシュはカテゴリサーチ手段の無い罠なので、「素引きしてあらかじめセットしておく」は大前提であり、なんなら「スクラップモンスターを相手ターンに能動破壊する手段」もサーチ・リクルートして構えることは出来ません

しかもあくまで魔法罠除去なので競合も多く、

謎の地味バーンが「『アニメで1回使われたカード』っぽさ」を高める
ちなみに龍可のカードらしい
サイクロン派生の派生

罠カードに限ってなお、発動条件も無ければ複数破壊も可能な《妖精の風》や《砂塵の大嵐》、場合によっては単体除去の《砂塵の大竜巻》にも勝る理由を見出すのが困難です。

数少ない差別化点として「スクラップ名称による破壊効果」なので「魔法罠ゾーンのスクラップモンスターを割るとサルベージなどの効果が使える」小ネタがありますが、得られる効果がそう大きなものでもないので、装備カード化や永続カード化に複雑なコンボで手間をかけていてはリターンと釣り合わず本末転倒。

《セリオンズ”キング”レギュラス》のように「汎用的に採用できてモンスターを魔法罠化できる」カードがあれば「たまに役立つから」で一応の差別化になるのですが、如何せん機械族のスクラップ4体は全員が被破壊時効果を持たないためレギュラスとは噛み合わず、他のカード(モンスター装備と言えばの昆虫族など)も多くは汎用的とは言い難いため、現状この路線も苦しいです。

《妖精の風》はお互いにダメージを受け、《砂塵の大嵐》は3枚以上のカードを割れないため、効果自体は完全な下位互換と言い切れないのが一応の救い。
とは言えそれらと違って発動に条件が付けられているため「効果の良し悪し以前にそもそも発動が難しい」ことが致命的で、カジュアルレベルでも採用は無いカード、だというのが私の認識です。

《スクラップ・クラッシュ》の運用改善について

だからこそ、冒頭の微妙なコンボがある種「革命的」であると言えます。

略してトラトラ
我奇襲二成功セリではない

ツイートで触れたとおり《トラップトラック》の自陣破壊と罠セットは同時扱いであり、《スクラップ・クラッシュ》がタイミングを逃すことがありません。

ただし、《スクラップ・クラッシュ》は「誘発即時効果(特定の条件の直後に発動可能なスペルスピード2の効果)」であるため、「誘発効果(条件を満たしたので発動するスペルスピード1のモンスター効果)」であるスクラップモンスターの被破壊時効果のあとにチェーンを詰むことに注意。
具体的にMDではワイバーンなどの効果を通常のウィンドウでまず選択した後、クラッシュを鎖のエフェクトが出たウィンドウで選択する。
上の動画で確認されたし。

余談だが《ナチュル・サンフラワー》のように「直接チェーンしないと意味がない誘発即時効果」は、発動可能な誘発効果を何も選ばずキャンセルしないといけないことがある。
非常に感覚がつかみづらいルールのひとつ。

役立つ場面が限られる限定的な効果である点も、「必要な時にサーチできる」トラップトラックにより(少しだけ)カバー。
全体除去なのにセットカードを破壊できない点についても、トラトラの他にも罠を採用してセットしているのならば(一応)好都合です。

また【スクラップ】には《ギブ&テイク》による《スクラップ・サーチャー》の送り付けによる全破壊や、《春化精と花蕾》で妨害をしつつラプターキマイラや春化精を手札に戻す動きなど、元々ある程度カテゴリ外の罠カードを活用する戦法が存在します。
「ワイバーンの破壊を相手ターンに飛ばす」「罠カードを使った妨害をする」の2本柱を《トラップトラック》で繋ぐコンセプトの【スクラップ】であれば、優先採用ではないにせよ《スクラップ・クラッシュ》が「なんとか実用できるカード」になるのではないでしょうか。

ぶっちゃけ先述の競合も罠カードである以上トラップトラックと組み合わせることは可能なので、「他のカードで良い」点は別になんにも改善されていません。
しかし今までデッキに入れても「引いたところで発動自体が狙えないので先攻ワイバーンの的として割るために伏せる」みたいな扱いだったことを思えば、相当な進歩だと私は思います。

上記コンセプトの正当性について

ところで今「罠とワイバーンの妨害で戦うスクラップ」でならクラッシュは一定の働きができるという話をしました。

人によってはそこで、「そもそもスクラップって十分に展開して真っ当な制圧モンスター並べられるんだから、そんな変なデッキ想定しても意味なくね?」と思われるかもしれません。
なので先にそちらの補足を挟ませてもらいます。

妨害力や展開力だけでなく妨害貫通性やリソース再補充が重視されるようになった昨今において、スクラップのメインギミック(ラプターからワイバーンを経ての展開)はやや時代遅れになっています。

うららGどころかうさぎヴェーラーわらしニビル泡影と、メジャーな誘発一通りどれをくらっても一発で致命打になり、ドロバも化石調査やエリア時点で使われるとリカバリが困難になります。

そのため特にラプターやワイバーンへのうららヴェーラー1枚で止まってしまうことのないよう、春化精を採用して二の矢を構えておく意義が高いのですが、春化精の地属性縛りは何だかんだときつく、最終盤面で無効化効果を何枚も構えるのはある程度上振れないと難しいです。

・代表的な地属性EX妨害モンスター
パワーツールブレイバー:強力だが装備の採用が必要
トライゲートウィザード:かなりリンク展開出来ないと無効化効果は得られないのだが、地リンクで無効妨害は他にほぼ居ない
ナチュルシンクロ:レベルの関係でラプター1枚からは困難な原則2枚以上初動 さらにランドオルスは扱いづらくモンスター効果には対応しづらい

・春化精と併用しやすい他属性EXモンスター
マスカレーナ:リイヴと合わせにくいのでトロイメアに繋ぐのが無難か
アポロウーサ:これも多めの展開が必要 クシャ以降の出しやすい最上級による戦闘破壊がやや逆風なので、横にGゴーレムなどの攻撃誘導を置きたい

ソリティア展開からキッチリした制圧を狙おうとすると、初動が細く相手の誘発1枚に耐えられないので結果的に勝率に繋がらない。
春化精で安定を取るとそもそも妨害の質を担保しづらく、「安定した低出力」でしかないなら安定して負けるだけ。

これらの問題に対して、基本は安定感を重視した春化精軸で構築しつつ、ナチュルビーストやブレイバードラゴン(のメタルシルバーアーマー)などの「相性が悪いと1枚で致命的な被害を被る効果」を交えて出すことで勝ちを取っていくというのが現在の私の考えになっています。

ただしこの方法はやはり妨害手数の少なさが如何ともしがたく、壊獣(最近は【御巫】のような相性の良いデッキ以外で見ることが減ったとはいえ)などで崩されると一発で致命打になってしまいがちです。

対して、罠とワイバーンによる妨害を交える構築というのは、「春化精下で汎用妨害モンスターの枚数を保証出来ないなら別軸で補う」という発想です。
ブレイバーやナチュビのみの盤面と比べるとモンスター対策カードで打開されにくいほか、バトルフェイズに入ってから動くことで相手の自己特殊召喚最上級モンスターによる突破の目論見を崩しやすいなどのニッチもあります。

メインデッキのカードを重視するのはEXデッキ比でどうしても揺らぎが大きくなり、その点で特段強力な構築とは言い難いかもしれませんが、決して「クラッシュのためだけのネタ構築」ではないと考えています。

《スクラップ・クラッシュ》の差別化環境について

ところで、クラッシュが明確に他の汎用罠カードと比べて差別化と言えるのは「魔法罠化したスクラップを割って共通効果に繋げられる」点であることは述べました。
では、その方針で実用できないのは現在スクラップモンスターを簡単に安定して魔法罠化するカードが存在しないからなのか、というとそんなこともありません。

※執筆時点マスターデュエル未実装

スクラップで出しやすいレベル8シンクロの《エニグマスター・パックビット》であれば、墓地のスクラップモンスターを自由に永続罠扱いにすることができます。

ただし、
①あらかじめパックビットをシンクロ召喚し
②相手の魔法罠を効果的に割れるタイミングを待って
③トラトラやスコールで自分のモンスターを割ってクラッシュ発動
までして得られるのが「1枚のサーチやサルベージ」ではやはり「頑張って効果を発動してるだけ」と言わざるを得ません。

無効化妨害を構えながらモンスターを装備するキングレギュラスの例と違い、パックビットは罠化自体がメイン効果かつ手札コストも要求するため、よほど明確な利点がない限り「そもそも魔法罠化せずモンスターとして破壊すればよくね?」となってしまうのです。

パックビットの効果は直接EXデッキから墓地送りしても発動できるため、罠カードである《ドラグマ・パニッシュメント》あたりと組み合わせたい……のですが【スクラップ】にEX縛りはきつく、先述のワイバーンとトラトラを合わせたいコンセプトともやや矛盾します。
また、水属性ゆえに春化精(&花蕾)と組み合わせにくいのもマイナス。

総合して、現在パックビットとクラッシュのコンボは単なる宴会芸止まりだと思います。
単純下位互換にならないよう差別化点を意識すればするほど実用性が失われるやつ、ポケモンで「エースアタッカーにすると〇〇の劣化なので微妙な補助技入れて先発にせざるを得ない」みたいなアレ

また、今まで触れていませんでしたが、「魔法罠状態のスクラップを割ると被破壊時効果を発動できる」のは、「クラッシュとその他魔法罠との差別化」であって「クラッシュのオンリーワン」ではありません

なんならまずワイバーンでいい
4種はスクショ1枚に収める事が出来なかったのでシンクロだけ切り取った

ただこれは逆に言うと、「スクラップを魔法罠化してから割るコンセプトデッキを組む場合、クラッシュの素引きに頼らなくても動ける」ということでもあるので必ずしも逆風ではありません。
クラッシュは複数枚一気に割れるので、そのようなコンセプトデッキが成立すれば素引き狙いで入れておく意義もあるでしょう。

一応現状でも《ジャイアント・メサイア》《修士号ディプロマン》《セリオンズ”ブルズ”アイン》のようにスクラップモンスターを墓地から装備カードにできるモンスターはパックビット以外にいくらかは存在するものの、デッキコンセプトとして成立させるのはまだ難しいと思われます。

あと一応の一応、「自分にダメージを与えてはならず3枚以上の表側カードだけを同時に破壊する必要がある」など、他の競合が全て脱落する条件が求められればクラッシュを使う必要性が出て来ますが、これは流石に机上論でしょう。

《スクラップ・クラッシュ》の今後について

話を戻しますが、クラッシュは差別化以前に発動自体が難しいため、実用していくうえで《トラップトラック》とのコンボは外せないものになると思っています。

そしてこの話をこれ以上掘り下げるためには、クラッシュを抜きにして【罠軸スクラップ】そのものの実用性をより深く研究していく必要があると感じています。

どのパックにも収録されていないURカードを生成3積みして。

……新しいカードゆえシークレットパックに入っていないというだけなので、いずれ蟲惑魔のパックあたりに収録される可能性もありますが、既に蟲惑魔関連は十分に所持しているので同じことです。ハイ。

【罠軸スクラップ】がコンセプトとして成立すること自体は「トラトラ1積み」をソロモードで軽く動かして一定の手ごたえを得てはいます。
ただこのデッキの《トラップトラック》は単なるサーチカードではなくそれ自体に役割があるカードなので、やはり「3積み」を試すこともせずに避けて通る訳にはいきません。

しかしながら【マシンナーズ】【超越竜】を始めとして、「スクラップと組む余地があるのでそこそこ集めたけどまだ実用してない」デッキは他にも結構渋滞しているのが現状。
哀しい哉、遊べる時間は無限ではないのです。

そんなわけで冒頭の通り、「このようなコンボがあるけども現状はそこまで」という話なのでした。


使いようが無いと思っていたスクラップモンスターも掘り下げれば大なり小なり特色と使い所が見えてきたので、魔法罠に関しても一通り意義を見出せればいいなと思いつつ、今回はここまで。
ポンコツだけは諦めてる

最近ドラゴンズドグマ(2じゃない方)に突然ハマってデュエルの機会が減りがちな、人鳥さんがお送りしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?