人鳥印の珍デッキ ~エレメント混入編~


はじめに

お久しぶりです。
ちゃんと今までの記事を読んだうえでこの記事を開く人が居るのかどうかはさておきお久しぶりです。

キタカミの里から帰還した人鳥さんです。
ダイノーズは強敵でした。レイド図鑑埋め的な意味で。

この記事シリーズでは、なんとなくCPUと楽しく遊ぶための、ふわっとしたデッキを紹介しています。

前回の珍デッキ記事の終わりでコンセプトデッキを組んでいると言いましたし、実際「ごっこ遊び寄りの絵面重視デッキ」を詰めているのですが、それとは別なデッキが先に仕上がったのでそっちの記事から書くことにしました。

そんなわけでこれもまた「昔使いたいと思っていたカード主体」シリーズであり、その主役はこちら。

他モンスターが紛れ込まないよう種族で絞って検索しています

「エレメント」シリーズです。


「エレメント」モンスターとは

「エレメント」はソロモードでお馴染み「エレメントセイバー」とは異なり、遥かいにしえ4期あたり、具体的にレベルモンスターとかユニオンとかの「コンセプトは分かるけど微妙なカード」が量産されていた時代(※)のカードのひとつ。
光・闇属性の下級モンスターであり、炎水地風の4属性が横に並んでいることで強化されるのが特徴です。

※帝やカオスを始めとした優秀なモンスターもいるため、正確には「様々な効果デザインが開拓されていた時代」とでもいうべきか

・炎属性が居れば攻撃力が1500→2000に
・水属性が居ればコントロール奪取への耐性を
・地属性が居ればリクルーターのような「戦闘破壊後の効果」を無効に
・風属性が居ればモンスター破壊後の連続攻撃が可能に
と言った4つの効果のうち、各モンスターごとに2種類の効果を持つエレメントモンスター。

当時下級で2000打点は超強力ですし、《心変わり》《強奪》と言ったカードがパワーカードとして恐れられていた時代ゆえコントロール耐性も重要な効果。
リクルーターも活用されていましたし、連続攻撃も勿論強力な効果です。

しかし特殊召喚効果の貴重な当時では、光・闇属性のエレメントモンスターと、その条件となる四属性モンスターを同時に出すだけでも一工夫必要でした。

近い時期に「4属性として扱う」儀式モンスター、《精霊術師 ドリアード》も登場しており、デザイナーズコンボだったのかもしれませんが……

如何せん当時の儀式召喚が強力とは言い難かったことに加えて、そもそもドリアード自身は単なる1200打点であるため盤面に長く置いておくのは難しいでしょう。

また、高守備力やリクルーターを使って盤面を維持し効果を適用できたとしても、結局1500or2000打点の「ちょっと強い下級」というのも痛いところです。
先ほど少し触れたとおり帝モンスターのような高打点+強力な効果持ちのモンスターも登場している時期であり、当時でも「デッキの中心にする切り札」としては一歩足りないと言わざるを得ません。

とは言え「リクルーターで特殊召喚できるモンスターが自身の効果で2000打点に至る」というのは悪くないので、炎属性モンスターの多いデッキであれば《シャインエンジェル》や《キラー・トマト》と共にいぶし銀の活躍をしていた、と言う事はあるかもしれませんね。

まぁそんな感じの思い出系カードです。
今回は彼らを起点にデッキを考えてみることにしたのでした。

輝けエレメント

エレメントモンスターたちは全員それぞれメジャー種族ばかりであり、今なら盤面に出すのは難しくありません。
ただせっかく使うのなら当然それぞれの効果の発動を目指したいところ。

そのためのサポートは、先述した《精霊術師 ドリアード》が手っ取り早いでしょう。

人鳥さんは各召喚法の中で儀式召喚が一番好きなのだ

勿論ドリアードとその儀式魔法を入れたところで安定して場に出せるとは言い難いため、儀式サポートとなる他テーマも必須です。
魔神儀・ドライトロン・メガリス等、カテゴリ外をサポートしやすい儀式カテゴリは多いですが、今回はサイバー・エンジェルの力を借りることとします。

マスターデュエル初期環境でお馴染みのアイツ 今は準制限

単にドリアードを出すだけであれば他カテゴリの方が優れる部分も多いのですが、機械天使は光属性・天使族のサーチも出来るため《エレメント・ヴァルキリー》をサーチできるという強みがあります。

ある程度回れば祝福の教会で墓地からも展開できるぞ

……理想としては6種のエレメントモンスターをすべて使いたいのですが、種族がバラけ属性も二分され展開効果も持たない下級6種を同時に採用しつつ、さらに儀式召喚の要素も取り入れて……というのは現実的ではないと判断させていただきます。
流石に1種と言うのも味気ないので他のエレメントも採用しますが、そこは後ほど。

この時点でもエレメントモンスターの効果を発動させ殴ることは出来ますが、あくまで最大2000打点の下級モンスターであるため、もうひと回りのサポートが欲しいところ。
そこで彼らの戦闘方面の効果を活用しやすくするため、《憑依覚醒》による攻撃力バフを取り入れます。

なんかフィギュア化してるらしいですね

このカードがあればドリアードと合わせて攻撃力1500アップ。
打点自慢の火属性効果組は青眼ラインをひと回り超え3500打点になりますし、風属性効果の連続攻撃も大きな脅威になります。

そして「憑依」魔法罠をサーチできる「憑依覚醒」モンスターからは、単独でサーチ効果発動に繋げやすい地属性の《憑依覚醒-デーモン・リーパー》を採用し、さらに光属性天使族デッキでもリーパーの召喚条件を満たせるようにEXデッキを構築していくことになります。

他のエレメントについて

さて、ヴァルキリー以外のエレメントモンスターについてですが、まず思いつくのは《エレメント・マジシャン》。

光属性・魔法使い族であるため、「憑依」サポートを共有できる《憑依装着 ダルク》のサーチ効果に対応します。

ダルクの憑依装着を出すためにはダルク本人のサーチに加えデッキの闇属性カードを増やす必要がありますが、そのようなカードサーチを一挙に担えるのが闇属性・魔法使い族でありサーチ効果を持つ《黒き森のウィッチ》。
リンク召喚と相性が悪いものの《融合派兵》で《クリッチー》を見せることによるリクルートも可能なのは嬉しいところ。

ウィッチ(やクリッター)で直にエレメントをサーチすることも出来ますし、融合派兵とダルクが揃っていればEX制限に影響されない憑依装着の特殊召喚で以ってサーチ効果をダブル発動させることも出来ます。

ただしウィッチ本人と融合派兵の誓約が合わさり、元々コンボパーツ集めに一手遅れがちなこのデッキの速度をさらに奪ってしまいがちなのは無視できません。
デッキの多くを占める機械天使関連との噛み合いも良いとは言えず、儀式サポートのレベル2モンスターと初動の召喚権を食い合って手札に残ってしまうこともしばしば。

そのため、可能な限りサブギミックとしてEXデッキで完結するものが望ましいという考えで別なルートを探しました。


残るエレメントは「光・ドラゴン」の「ドラゴン」、「闇・恐竜」の「ザウルス」、そしてともに「闇・悪魔」の「ソルジャー」ならびに「デビル」。
ソルジャーが戦士族じゃないの何かの間違いだと思うんですけど

「ドラゴン族」は一見サポートが多いものの、最上級モンスターに限ったものや、ドラゴンからドラゴンを出す方向性のものが多く、それ以外ではせいぜい《スリーバーストショット・ドラゴン》による手札からの特殊召喚くらいでしょうか。

「恐竜族」のサポートも進化薬周りのカードに集中しており、《ベビケラサウルス》《プチラノドン》によるデッキリクルートを狙うにはそれらのサーチや破壊ギミックを取り入れる必要があります。

そんな中特筆すべきは緩い素材でリンク召喚でき、手札1枚で墓地の「悪魔族」を釣り上げる《魔界特派員デスキャスター》

よく見ると胸部の服が全く分からないことでお馴染み

これなら汎用墓地落としギミックと合わせるだけで、デビルかソルジャーなら容易に特殊召喚することが出来ます。

幸いメインギミックの機械天使はランク6エクシーズが狙えるため《永遠の淑女 ベアトリーチェ》でのピンポイント墓地落としが可能であるほか、《混沌のヴァルキリア》は効果使用にタイムラグがある代わりに光属性天使族ギミックから闇属性モンスターに自然に接続できます。

悪魔族が展開できるのでデビルとソルジャーを両採用……と行きたいところですが、ここは《エレメント・デビル》のみ採用します。
2体入れない理由は単純で、デスキャスターの効果で展開できるのは1体だからです。両方入れてもデッキスロットの圧迫にしかならないでしょう。
デビルを優先するのは効果の組み合わせが優秀だというのもありますが、ヴァルキリーと合わせることで4属性分の対応効果を網羅できるため、ファンデッキ・コンセプトデッキとしてもデビル優勢だと言えるでしょう。

地・風対応 炎・水対応のヴァルキリーと合わせて4属性

なお、6種のエレメントモンスターを全て採用するのは困難ですが、絶対に不可能というわけでもありません。
光属性儀式なら自然と入る《竜姫神サフィラ》はドラゴン族・レベル6であるため、2体並べれば《聖刻龍王-アトゥムス》のエクシーズ召喚が狙え、レダメ経由でドラゴンを出すことも可能は可能です。
また、儀式モンスター《ヴァレルロード・R・ドラゴン》は墓地から手札・フィールドのカードを破壊可能であり、ベビケラプチラノはレベル2であるため機械天使サポートの下級とスプライトで接点を持ちます。

とは言え2種採用でもそこそこデッキは圧迫されており、その上で上記のギミックを足すというのは60枚デッキであっても冒険でしょう。私はやりません。
ただ恐竜側に関しては、ベビプチが地属性下級でありデーモンリーパーの素材になることなど細かいシナジーが多く、わりとありかなとも思っています。

果たしてこの道往くべきか

そして出来上がったデッキがこちら。

《大儺主水》実装で再調整を強いられるなどした

このデッキの勝ち筋は主にひとつ。
《憑依覚醒》により強化されたモンスターでのビートダウン」です。

除去の乏しさやロックカードに対する弱さに関しては一部のEXモンスターなどに頼るとして、まず問題となるのが《憑依覚醒》を手札に加える事です。
戦術の中心となっているにもかかわらず、このデッキで《憑依覚醒》をサーチする手段である《憑依覚醒-デーモン・リーパー》は手軽に出せるとはいえず、一旦天使族モンスター2体を魔法使い族《照耀の光霊使いライナ》に変換し、さらに肝心の《精霊術師 ドリアード》を地属性モンスターとして素材にするのがメインルートになります。
(デーモンリーパーに要求される地属性はレベル4以下であり、リンクモンスターでは素材に出来ないため、儀式デッキで簡単に場に出せる地属性と言うとドリアード当人になる)

ここまで色々シナジーを書いてきたことが覆りそうになるレベルの回りくどい展開であり、《精霊術の使い手》などのサーチカードを入れた方が良いのではないかと思うかもしれません。

しかしもっと根本的な話としてこのデッキにとって憑依覚醒ドリアードコンボはフィニッシュ手段であり、例えばバトルできない先攻で「ドリアード+憑依覚醒(+光属性儀式モンスター)」を盤面に揃えたとして、あくまで「打点が高い壁」というだけでしかありません。
そのため、あくまでメインギミックは儀式召喚とし儀式関連のカードを最大限回しながらアドバンテージを稼ぎ、稼いだアドバンテージでフィニッシュに持っていく方がまとまりが良いと判断しました。

また、《精霊術の使い手》は確かに有力なサーチカードなのですが、あくまでそれ自体は素引き札にすぎません。
憑依覚醒が無ければビートダウンにも手こずるこのデッキにとって、「中確率での引き込み上ブレ」を期待するより、「確実に展開ルートから派生できるサーチ」を追求した方が動きやすいのです。

そこそこ動けた例 デビルの方が出しやすいことが多い
上手く回った例 上ともども3ターン目

先述の「儀式召喚したドリアード+光・天使2体」によるサーチ始動も一見すさまじいアド損のようですが、ドリアードの儀式召喚成功を以てコンボ始動する機械天使サイドに加え、デーモンリーパーを使って出すリンクモンスターでアドバンテージを稼ぎなおすことができるため、ちゃんと完遂できれば手札や盤面が枯渇するようなことにはなりません。

例えば《宣告者の神巫》を交えて展開できるなら《スプライト・エルフ》で敵ターンに再展開することで《トリアス・ヒエラルキア》を墓地に落とし、「2体」の効果で妨害しながらアドバンテージを稼ぐこともできます。

また、最近実装された《大儺主水》も頼もしく、単純に自ターンで除去として使うだけでも強力です。
うまくいけば《I:Pマスカレーナ》を用いて相手ターンでの妨害にすることも出来ますし、そこからリーパーの素材に使ってしまったドリアードを再展開することも出来ます。
(リーパーの蘇生効果で出しても効果が無効になるため、一旦主水の素材にしてから蘇生することで効果が復活する)

採用カードの細かい話

《テイ・キューピット》
以前の記事で【キューピット】を組んだことはありますが、まさか他のデッキで見ることになるとは思いませんでした。
このデッキでの役割は《混沌のヴァルキリア》を墓地除外するカードとして、《宣告者の神巫》からのリクルート・《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》からの蘇生などを想定しています。

テイによる墓地除外はコストなので、デーモンリーパーの蘇生で効果が無効になっていても行えるというのは覚えておきましょう。
なおレベル変更に関しても決して無駄ではなく、1上げればドリアードのリリースになり、2上げつつ他のレベル2と合わせて6レベル分のリリースにするというのもあり得ます。

《ペンテスタッグ》
このデッキの基本はあくまで大型水準の打点を並べての押し切りであり、戦闘破壊耐性の影響を強く受けます。
攻撃表示なら韋駄天や2枚目の憑依覚醒で4~5000水準の打点を得て上から飛ばすことも考えられますが、「守備表示の戦闘耐性」というシンプルな壁に対して打てる手段が使い切りのEX除去メインになるのはやはり問題。
コイツのような貫通付与モンスターが居れば、令和の世に《マシュマロン》1枚で苦しむような真似をしなくて済むでしょう。

《破械雙王神ライゴウ》
使い切りでない継続的な効果除去。
と言っても単に汎用除去の高リンクとして投入したわけではなく、デスキャスターの効果使用後で悪魔族誓約がかかっても出せるという点に注目しての投入になっています。
ただしデスキャスターは出して即リンク素材に出来ないため、必ずしもデスキャスターから繋げるカードというわけでもありません。

コンセプトデッキ哲学

さて、このように組んだこのデッキなのですが、ひとつ致命的にして根本的な欠陥があります。

このデッキ、エレメントモンスターを出す意義がありません。

今まで私が組んだデッキ、【フレイムキラー】とか【NR巨大戦艦】はデッキパワーもギミック性も遥かに劣りますが、「天威モンスターによる除去を使うためには《フレイムキラー》が適している」「手札に来た上級モンスターを順々に展開していくのが基本戦術」と言うように、誰に使わせても自然に・必然的にコンセプトカードが盤面に関わる構築になっていました。

このデッキはあくまで「憑依覚醒+ドリアードで打点を引き上げられる盤面を作る」「ドリアードがいるのでエレメントモンスターは効果が発動する」というだけであり、勝ち筋にエレメントモンスターを絡めるメリットがありません。
先ほど勝ち筋の話の際に述べたとおり、「儀式カテゴリがアドを稼ぎ、稼いだアドで遊ぶ」デッキになっています。

まず「エレメントモンスターを複数活用するためにドリアードを儀式召喚する」、次に「エレメントもドリアードも戦闘しか出来ないのに下級打点なので、属性依存の攻撃力アップをかける」のは間違っていないと思うのですが……。
その両者を並べる際に使うほかのモンスターたちも攻撃力アップし、それだけで勝負を決めるのに十分な打点になってしまう、という構造です。

よくネタカードの活用を紹介する動画で「あとは(ネタカード)抜いて完成だな」という茶化しコメントが付くことがありますが、このデッキはまさにそれです。
ネタデッキとして面白さを追求することを加味しても、ドリアード+憑依覚醒による派手なパンプアップがその面白さの大部分を担っているため、【憑依覚醒ドリアード機械天使】で良いんじゃないか、となってしまうのです。

タイトルで「混入」などと言っているのはこのためです。

一応「光属性天使族でデメリット無しの下級」に絞ると2000打点はいないため、フレイムキラーと違って正真正銘の完全上位互換が存在するわけではありません。一応。
あと「万能/闇属性墓地肥やし」からの「悪魔族蘇生」で釣り上げているので無限に変えの利きそうなデビルに関しても、連撃効果が珍しく意外と替えは利きません。
出す前に勝てる条件が整うというだけです。

好きなカードで勝つということ

今回はファンデッキとしてなかなか難しい問題に直面することになってしまいました。

デッキ構造としては(憑依覚醒サーチの回りくどさを加味しても)極端な破綻やディスシナジーがある訳ではなく、最終的に盤面全体の派手な打点で一斉に殴り抜けるのは間違いなく楽しい体験です。
さらにその流れでコンセプトカードを並べ、「昔使いたかったカード」でフィニッシュを飾ることもちゃんと出来ます。

ただこの辺の問題、「コンセプトデッキにカードを入れる意義」について深く掘り下げると一本記事が書けてしまいます。
というか次はその辺について語ろうかなと思っています。

というわけで今回はここまでで切り上げ。
四属性なら地属性ついで水属性が好きな、人鳥さんがお送りしました。

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