人鳥印の珍デッキ ~デビルズ・ミラー編~


或る昔話

これはかつて、人鳥さんが人鳥さんで無かったころのオハナシ。

近所の兄ちゃんから十把一絡げで貰ったクズカード群でデッキを組んでいた私は、その中から1枚のカードを見つけました。
そのカードは1枚では使えず、デッキに入れるのは難しいように思えました。

しかし同時にこうも思いました。
「このカード、うまく使えれば強いんじゃないか?」

そのカードとは儀式モンスター《デビルズ・ミラー》
「手札からの特殊召喚で2100もの攻撃力を出せる」というのは当時の私にとって非常に魅力的に映りました。
まぁ冷静に考えるとリリース用も含めた最低3枚コンボ、その辺の下級にそこそこの装備付けた方がよっぽど強いんですけども。

ただ碌な除去も強化も持ってない当時の身内環境では「下級ラインを超える攻撃力の高いモンスターを先に出されると、リリース用モンスターさえ場に維持できなくるので上級も出せず、そのまま逆転の余地なく負ける」という、ある意味現代制圧よりよっぽど一方的でアドバンテージも何もないデュエルが展開されていました。
そのため下級アタッカー(~1900)に一方的に勝て、下級ブロッカー(2000)も十分粉砕でき、かつ手札から1ターン目でも出せる可能性のあるこのカードは特別な価値があったわけですね。

しかしながらセンジュマンジュさえ無く《デビルズ・ミラー》《悪魔鏡の儀式》ともに1枚ずつしか持っていない時点で完全な机上論。

その攻撃力は発揮されることのないまま、ストラクチャーデッキを買ってもらい自前でデッキを組めるようになると忘れ去られて行ったのでした。

時を超えし悪魔鏡

さて時を経て現代。
少年ぼく人鳥さんわたしになりました。

儀式召喚自体には多くのサポートやサーチ効果が実装され、マスターデュエルならばそれらのカードを何枚でも自由に揃えてデッキを組むことが出来ます。

しかしながら同時に、容易に高レベル/ランク/リンクモンスターが並ぶ現代では「下級アタッカーライン」などという言葉も形骸化しています。
そもそも儀式モンスターが出しやすくなったという事は、より強い攻撃力を持つ他の儀式モンスターも出しやすくなっており、特に《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》に至っては青眼ライン越えの3200もの攻撃力を持つため、「効果を持たないモンスターである」という点でサポートするだけでは固有性があるとは言い難いのです。

ではデビルズミラーには未来は無いのか?

いえ、それが意外と単純なところで唯一無二の利点を持つのです。

「儀式・レベル1~6 効果モンスターを除外」で検索

「効果を持たない、レベル6の儀式モンスター」の中では、最高の攻撃力を持ちます。

この「レベル6」という数字は魔神儀の非儀式モンスター最高レベルである《魔神儀-タリスマンドラ》のレベルと一致しており、「タリスマンドラでサーチしそのままリリースして儀式召喚、あとは非効果モンスターのサポートで戦う」という戦法を取る限り、《デビルズ・ミラー》は最適解と言えます。

魔神儀はそのEX制限のデメリットから使い切ることが望ましいとされますが、祝誕の墓地効果を活用するためには魔神儀が残っている必要がありますし、リリースを少ないカード消費で済ませられれば他の儀式モンスターとの併用もしやすくなります。

《魔神儀の祝誕》
儀式魔法
儀式モンスターの降臨に必要。 このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、 自分の手札・フィールドの「魔神儀」モンスターをリリースし、 手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):このカードが墓地に存在する場合、 手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、 「魔神儀の祝誕」以外の「魔神儀」カード1枚を墓地へ送って発動できる。 デッキから「魔神儀」モンスター1体を特殊召喚する。 その後、墓地のこのカードを手札に加える。

出典:遊戯王カードwiki

もちろん天威要素と儀式召喚要素は別に相性が良いとは言い難いのですが……。

「なんか出来そう」と思い立ったら一直線。
私は幾年ぶりに《デビルズ・ミラー》をデッキに組み込もうと動き出すのでした。

鏡に映るは己の姿

魔神儀:ペン3 キャン2 タリス3 カリス2 祝誕1 隠れ房1
他儀式:デビルズ・ミラー2 悪魔鏡の儀式1
    竜姫神サフィラ2 祝祷の聖歌2
    サクリファイス1 終焉の悪魔デミス1
    イビリチュア・マインドオーガス1
    ヴァレルロード・R・ドラゴン1
    準備2 下準備2
天威 :アーダラ・シュターナ・ナハタ・ヴィシュダ各1
    無崩1 無双2 虚ろ2(拳僧3その他EX穴埋め)
植物族:ローンファイア3 ネコーン1
他EX:スクラップ・デーモン サクリファイス・アニマなど

このデッキにおいて《デビルズ・ミラー》は必ずしも初手から積極的に出すカードではなく、「強力なカードと組み合わせられるコンボカード」という扱いです。
サーチカードは充実しているため、《虚ろなる龍輪》や《天威無崩の地》を手札に引き込んだタイミングなどで出していきましょう。

2種の効果を同時に構えられる強力なサーチ

また魔神儀は魔神儀の効果でなくとも、「デッキからの特殊召喚」に反応して効果が使えるため、このデッキでは《ネコーン》と《魔神儀-タリスマンドラ》が《ローンファイア・ブロッサム》を共有しています。

またネコーンのサーチ先として天威無崩以外にも《魔神儀の隠れ房》を採用しており、比較的防御的な天威無崩に対して攻撃的・かつ他の儀式モンスターだけでも恩恵を受けられる点で使い分けになります。

もう少しサーチ性が良ければ悪くない効果なのだが

サクリファイスとデミスは魔神儀下級モンスター1体のリリースでも儀式召喚でき除去効果を持つ有用なモンスターであり、ライオットドラゴンによる破壊は余った魔神儀の処理の他サクリファイスの装備を能動的に破壊して効果を再使用するなどの役割も持てます。

サフィラならびに天威無崩で2枚ドローが積極的に狙えるほか、サーチカードをかなり多用するのでキーパーツを集めやすいのも利点。
ただしたくさんのカードを引き込むわりに決定力にかけるため、勝負がつく前にデッキ内のサーチ対象が枯れてサーチ効果が腐ることが現実的にあります。
マインドオーガスをピン差しすることで対策としていますが、本質的な解決策ではないため諦めて攻める方法を増やした方が良いかもしれません。

なおカリスライムの手札コストやサフィラのドロー後の1枚捨てがあるので、使い道のないカードが手札を圧迫し続けるということ自体は多少起こりにくくなっています。

EXデッキのカードはメイン天威を拳聖に変えるくらいであまり重視していませんが、任意のレベル6儀式とアーダラを合わせることで《スクラップ・デスデーモン》が出せ、天威カードを活用できるようになるというのは覚えておいても良いでしょう。

採用していないカードについて

《トランソニックバード》と《音速を追う者》を採用することで、隠れ房の効果を相手ターンに使って妨害としたり、Rドラゴンを積極的に墓地に送ったりすることが出来ますが、元々複雑なサーチコンボ性が余計こんがらがるので止めておきました。
《魔神儀の創造主-クリオルター》はサフィラの効果を相手ターンに使いつつ限定的に息切れ対策になりうるのですが、墓地や場の状況が作れず腐ることも多かったので外しました。

墓地効果でトランソニック(闇属性)を対象にすればよい

その他では光と闇に属性が偏っている以上【カオス】カードの中にも機能するものがあると思いますが、流石に本筋から離れてくるのであまり考えてはいません。

世界は私を置いて進む

9月11日、遊戯王公式から発売予定のカードについての新情報が出ました。

その内容とはいにしえの儀式モンスター《ローガーディアン》のリメイクを含む「粛声」テーマ。
そのまさかの抜擢に、Twitterトレンドに無関係なはずの儀式モンスターたちの名前が強化を期待して並ぶちょっとしたお祭り騒ぎになりました。
(新カードの画像とかは転載云々に触れそうなのでやめとくよ)

なお元々《精霊の祝福》《祝祷の聖歌》のイラストで関係を持っていたので言うほど急な話でも無かったりしますが。

とにかく既にデビルズミラーデッキについて考えていた私はこの儀式モンスターピックアップ事件にびっくり仰天。
これまでの案を急ぎまとめ上げ、本日記事として出すことにしたのでした。


というわけで近頃「もっと強さとか度外視した変なデッキ組みてぇ~~~」みたいなことを言っている割には、わりとポピュラーなサポートカードを多用する普通で真っ当なデッキになりました。

デッキバランス(勝ち筋と安定性とかそう言う話)的にはちょっと怪しいところもあるのですが、春化精然りこの手のサポート寄りテーマはサポートされる側も一定動けてナンボと言うか、単独ではまともに動けないカードを強引に支えて組む分にはこんなもんかなって気もします。

実はもうひとつ、【ハ・デス】みたいにコンセプト重視のデッキを組んでいるので、次の記事では久々に珍デッキらしい珍デッキをお見せできる……

……と言いたいところなのですが。

先日マスターデュエルに追加された「ピュアリィ」並びに「御巫」、【ふわんだりぃず】や【ナチュル】と言った妨害系ファンシーテーマや【ネフティス】【メガリス】を始めとした独創儀式テーマを愛好する人鳥さんとしてはどちらも見逃すわけにはいかず、カード資産に余裕が持てない状況になっています。

さらに遊戯王とは関係ないのですが、ポケモンのDLCシナリオの追加なども迫っており、しばらくはそちらも重点的に楽しみたい。

そのため、恐らく次の更新はそこそこ先になると思われます。

そんな感じで今回はここまで。
子供のころの切り札は《ピラミッド・タートル》からの《龍骨鬼》だった、人鳥さんがお送りしました。

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