スクラップ(遊戯王)のおはなし・その1 ~みんな知ってる愉快なアイツ~
はじめに
ここから各スクラップカードの解説・紹介に入ります。
各々のカードは有用性に関わらず、言及すべき点があるかどうかで文章量が変わるため、あっさりしているからと言って有用性が低いわけではありません。
特にこのページで言及するのはいわゆる「いつもの」、出張パーツとして見做されることも多い顔ぶれになります。
また、今後の解説において、スクラップモンスターの「スクラップ・」を省略するのみならず、有名なカードに言及するにあたって略称・通称を使用することがあります。ご容赦ください。
《スクラップ・ワイバーン》
緩い素材で強力な効果を持つ、最強の潤滑油です。
(1)の効果で墓地から釣ったモンスターを即座に割り、(2)の効果のデッキリクルートを発動させるのが基本の動き。
手札一枚初動を強調したい先行展開例では(2)の際大体自分を割っていますが、【スクラップ】は手札でサーチ札がダブついていることが珍しくないので、あればそれを伏せて割ると良いでしょう。
当然敵陣にカードがあれば除去として機能します。何気に対象を取らない除去であり優秀。
最初に紹介するカードで言うのもなんですが、(2)の発動条件が破壊効果のスクラップ名称を指定していないのも極めて例外的で、近年のカードパワーを感じさせます。
特に初動においては(1)→(2)の一連の流れと見做すことが多いですが、(1)は本来蘇生効果であり、これでゴーレムを展開できるとアドバンテージが一気に広がるので狙っていきたいところです。
《スクラップ・エリア》
スクラップチューナーをサーチします。
わざわざ効果を張り付けるのも億劫なレベルの単純明快サーチカード。
基本的にはラプターをサーチするためだけに投入されますが、オルトロスあたりをピン差ししておくと小回りが利くこともあります。
《スクラップ・ラプター》
「チューナーの自身を破壊して墓地に送り」「召喚権を用意しながら」「非チューナーモンスターを手札に加えるスクラップド効果」
記事「その0」で言った古典的コンボの理想的状況を即座に1枚で作り上げる、後発サポートカードの鑑みたいな奴です。なんだお前。
また、このサーチのスクラップド効果ではフィールド魔法《スクラップ・ファクトリー》が選択肢にあるのも嬉しいポイント。
ラプターが来たおかげで必須と言うわけでも無くなりましたが、ファクトリーはその強力なリクルート能力でかつての【スクラップ】において中核をなし、テラフォ込み6積みも躊躇われない最強キーカードと言っても過言でなかったカード。
勿論コイツと併用すると超最強になれます。大体のことは出来ます。なんだお前。
恐竜族である点も優秀で、まずは《化石調査》による手厚いサーチに対応。
《幻創のミセラザウルス》が一部妨害効果から守りつつ隙あらばレベル1恐竜の追加展開を狙い、調査のサーチ択に《俊足のギラザウルス》を加えておけば不意の保険にも。
なおギラザウルスで相手が展開する件ですが、特に先行でうららなどの無意味なモンスターをとりあえず壁として出してきた場合、ワイバーンで自陣を割らなくて済むのでむしろアドになるのは頭の片隅にでも置いておきましょう。
なお、ミセラやオルトロス(あとワイバーンの自陣割りデメリット)のお陰で多少緩和されるものの、「デッキの大部分をサーチ特化札で埋め尽くしてしまう」ことが隠れた欠点と言えます。
それを嫌ってサーチ先に幅を持たせるのは、それはそれでさらに枠を使うという事でもあるので、真面目にランクマやるならその辺は精査を重ねた方が良いでしょう。
《スクラップ・リサイクラー》
記事「その0」でも触れたとおり、偶然「スクラップ」って名前がついてるだけのよその子。
名前も絵面も似ているようで、他のスクラップは「スクラップで出来た〇〇」なのに対し、コイツは「スクラップをリサイクルする者」なので結構雰囲気が違いますね。
かつては「シンクロ召喚にも不便なレベル」「機械族スクラップを墓地に落としてもあんまり意味がない」「完全に腐る(2)の効果」と、そもそもカテゴリモンスターとして作られていない生い立ちも相まって、あえてネタにされることさえないトリビアのような存在でした。
だが今は勝ちまくりモテまくり、「スクラップ出張パーツ」と言えばコイツとそのサーチ手段のこと、キマイラのために用意されたはずのラプターは日夜コイツにラブコール、《ジェット・シンクロン》と共にアーデクになったりルイキューになったり、バリラドン展開でも機械族であることを最大活用して大暴れ。
クリストロン・幻獣機・機巧・星遺物・オルフェゴール・シンクロン等々、機械族ならみんな俺が(墓地に)落としたよと豪語しどこにでも遊びに行くイケイケプレイボーイになってしまいました。
なお(2)の効果は変わらずあまり使われていない模様。ガジェットさん家行った時くらいかね?
生まれた時代が時代なので当然名称ターン1はついていないものの、地味に時の任意効果でありタイミングを逃すことは忘れないようにしましょう。
特にスクラップは「タイミングを逃さないよう」処理の最後が破壊であるため、具体的に言うとワイバーンでのリクルートでタイミングを逃します。やっぱりお前よその子じゃないか!
まぁ実際にワイバーンでリサイクラーを呼ぶことはあまりないものの、ファクトリーとスクラップ効果のチェーン順など、うっかり忘れているとやらかすこともあり得るのでこれもまた頭の片隅案件ですね。
デッキ構築ではまさに変幻自在。
例えば「その0」で触れたリイヴリンク召喚のために星遺物を落とす件でも、素引き時の単独の使い勝手を見るなら「星冠」「星槍」、オルフェゴールに繋ぐつもりなら「星杖」、機巧の蛙と組んで星遺物を追加サーチするコンボに繋げる「星鎧」などの選択肢があります。
リイヴの他ジーランティスなどでも場に出すたびに機械族にアクセスし、その効果で更なる展開を広げていく恐るべき爆走エンジン、
一般にイメージされる【スクラップ】の展開力は、半分コイツ個人(個機?)が担っていると言っても過言ではないでしょう。
反面、デッキの機械族を爆速で墓地に送り終えた2ターン目からはほぼバニラと化します。
この弱みは地味にラプターのサーチ札問題とも悪い意味で噛み合い、元来継戦能力を強みとするはずの【スクラップ】が1ターンで息切れする超先鋭デッキに早変わり。
オライオンやジェットシンクロン、リイヴ&継ぐものあたりを複数採用しておくことである程度補えるものの、とにかくコイツは展開特化カードと言った印象になります。
当然デッキに機械族をそれなりに採用していないと強みが生かせないため、カテゴリカードを多く採用したカジュアル構築からは抜けていくかもしれません。
元々狭義のカテゴリモンスターではないので、抜けていくのが本来の姿ではあるんですけどもね。
《スクラップ・ゴーレム》
現代スクラップの爆発力の半分を担うのがリサイクラーだとして、もう半分を担うのはこのゴーレムだと言ってしまっていいでしょう。
当然のように名称ターン1のない蘇生効果でリサイクラーを釣りまわし、1回の蘇生効果を2回の蘇生に増幅することで着実にアドバンテージを積み上げます。
上級モンスターですがワイバーンやファクトリーのリクルートで出てくるため基本的に重さは問題になりません。
ラプターの召喚権追加があるため手札に来てもある程度はなんとかなりますし、最近では春化精を採用することで処理する択もあります。
また、自身の効果で蘇生する先が相手フィールドでも良いのが地味にミソで、攻撃力0で戦闘破壊耐性を持つ《スクラップ・ゴブリン》と、自陣のカテゴリ外を全体破壊する強制効果を持つ《スクラップ・サーチャー》の送りつけは時にゲームエンド級の破壊力をもたらします。
コイツを1回展開するとさらにもう1体の展開が付いてくる関係上、ほぼゴーレムのためだけに《魔救の息吹》を採用する事さえあります。
ゴーレム蘇生のための《魔救の息吹》はあくまで上ブレ構築ではあるものの、【スクラップ】は地属性統一でありながら種族がばらけている関係上《ライトロード・ドミニオン キュリオス》を自然に採用でき、そこから《ブロックドラゴン》に繋げて墓地コストになる事も出来るデッキです。
【岩石族】寄りの構築を目指してみるのも一興でしょう。
地味なところで言うと《エルシャドール・ミドラーシュ》を殴り倒せる打点……ではありますが、流石に今どきミドラーシュが単独で棒立ちしていることはほぼ無いかもしれませんね。
かつては上級モンスターとしての重さから敬遠されることもあったらしいですが、ファクトリーやワイバーンがある今となっては展開の中核・前提と言ってもいい強力なモンスターです。
リサイクラーを使いまわす無法に限らず、他の下級スクラップ全員とも相性がいいと言えるため、ランクマでもカジュアルでも確実に盤面を固めてくれる安定感があります。
ながい旅はここからさ
以上が有名どころの紹介となります。
この記事はもともとスクラップのマイナーどころをよく知らない人に紹介するために書き始めているので、ある意味前座のようなものです。
しかしながらその「マイナーどころ」達はもう少し先。
次の記事では上記の面々にも決して劣らない、頼れる仲間たちを紹介していこうと思います。
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