見出し画像

洞窟の奥はお子様ランチ #毎週ショートショートnote

洞窟の奥へ抜けると、一人の少女がいた。

浅いくぼみが等間隔に掘られており、地面全体が大きなワンプレート皿のようになっている。そのくぼみ一つひとつに農作物・家畜・酒……そして生け贄の村民を盛り付けた「お子様ランチ」を少女へ捧げるのが、この村の習わしだった。

「どうした。今日は何も持っていないのか。」
少女が問う。冒険者たちは武器を構えた。これ以上の犠牲を払えなくなった村は、冒険者を雇い少女を退治することにしたのだ。
「……そうか。ちょうど私も『お子様ランチ』に飽きてきてな、一度、人間だけで腹を満たしてみたかったのだ。」
そう言うと、少女は冒険者たちの足を折り、動けなくなったそれら・・・を自らくぼみに盛り付けていった。
「ははっ、自分でやると好きなだけ盛れてよい。気に入った。」

今日もまた、新たな冒険者が洞窟の奥へと挑んでいく。洞窟の奥がお子様ランチからビュッフェになったことを、彼らはまだ知らない。

おわり (393文字)


お読みいただきありがとうございました!

冒険小説にしたかったのに、冒険者ではなく少女を主人公にしてしまったせいで何か別のジャンルになってしまいました……。お子様ランチを卒業したと見せかけてビュッフェで好きなものばかり取るあたり、まだまだ子供だなって感じがします。

たらはかにさんの企画に参加しています。
今週のお題は【洞窟の奥はお子様ランチ】で【冒険小説風】ショートショートです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?