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MAESTRO

午前0時を回って烏龍茶を飲みながら前日の日記を書いていた。酔はもうすでに醒めている。今日はこのあと新聞配達の仕事があるのでアルコールを飲む気がしない。一度飲んでしまったら止まらないはずのアルコール依存症だが、私の場合は止まっている。これはなぜなのか。私はアルコール依存症だ。コントロール障害のはずではないか?
午前3時32分に仕事が終わり、帰りにまたコンビニのミニストップに立ち寄って「バーリアル(BARREAL)糖質50%オフ」500ml缶を2本買って帰っていつもの睡眠薬フルセットを飲み、久しぶりに「MAESTRO」と言うドキュメンタリー映画を見る。
ここで、この日記の趣旨からは外れてしまうが、この「MAESTRO」について語りたい。
マエストロとはイタリア語およびスペイン語で芸術家、専門家に対する敬称、または称号であり、マスターまたは教師のことを指す。ドイツではマイスター。特に西洋クラシック音楽やオペラの指揮者、音楽監督、作曲家、師匠の敬称として用いられる。日本語でいうところの巨匠だ。だが、この映画でマエストロと呼ばれるのは70年代初頭から80年代、90年代に活躍したDJ/クリエイター達である。

「MAESTRO」は、製作総指揮:ハーブ・ラモス。プロデューサー・監督・脚本:ジョセル・ラモス、共同プロデューサー:ジャマイ・J・ドーセット、カルヴィン・マーク、エドマー・フローレス。編集;ジョセル・ラモス、エリック・モーマン。編集補助;サラ・クルシャー、チャド・スミス。音楽:アントニオ・オカシオ、ジェフ・ギオーム、マイケル・コールによるドキュメンタリー映画で、ゲイのコミュニティーの場であったクラブをより多くの層まで広げた伝説的なDJラリー・レヴァンを中心に70年代から80年代終わりにかけてのニューヨークの伝説的なクラブシーンを当時の貴重なフィルム、関係者による証言、そして音楽に乗せて綴ったドキュメンタリー作品である。印象的なのは、映画が始まってすぐ、当時、クラブに通う黒人が「音楽より大切なものは俺にはない。」と語るシーンがある。クラブに限らず、音楽での陶酔感を味わったことのある人なら、彼が言わんとしていることの意味が掴めるだろう。
出演するのは、ラリー•レヴァン、デビッド・マンキューソ、フランキー・ナックルズ、ニッキー・シアーノ、フランソワ・K、フランシス•グラッソ、ウオルター・ギボンス、ジェリービーンズ・ベニテス、ダニー・テナグリア、トニー•ハンフリーズ、ティー•スコット、ディミトリ・フロム・パリス、ダニー・クリビット、リトル・ルイ・ベガ、ピート•トン、ジョー・クラウゼル達である。その誰もが今のダンスミュージックやクラブカルチャーを作り上げた巨匠たちだ。
映画は1976年から1987年にかけてニューヨークのキングストリートに実在した伝説のディスコ「パラダイス・ガラージ」を中心に描かれている。そして周辺にデビッド・マンキューソの「ロフト」。ニッキー・シアーノの「ギャラリー」。フランシス•グラッソの「サンクチュアリ」が存在する。
「パラダイス・ガラージ」の客層は主にゲイの黒人であり、伝説的なDJ、ラリー・レヴァンがプレイしていた。ラリー•レヴァンは幅広い音楽の知識を元にディスコ、ロック、ヒップホップ、ラテン音楽、ソウル、ファンク、テクノ・ポップなどありとあらゆる音楽をプレイして一晩中客を踊らせ、その有様はそこに集う客の熱狂を伴って殆ど宗教儀式のようであったと言われている。また、ラリー•レヴァンは独学ながら優れた音響の専門家でもあり、エンジニアのリチャード・ロングと共に「パラダイス・ガラージ」に自らの手で構築したサウンドシステムは大音響でありながら非常にクリアな音で、ダンスフロアの中央にいても容易に客の間で会話ができたとも伝えられている。
多くのニューヨークのDJ達がが「パラダイスガラージ」とラリー•レヴァンのDJスタイルに衝撃を受けてDJの道へと進み、現在に至るも史上最高のクラブの一つとして語り継がれている。現在、ラリー•レヴァンが「パラダイス・ガラージ」でプレイしていたような音楽やその進化した形の音楽をガラージと呼び、またこのガラージと呼ばれる音楽はハウス音楽や、テクノ音楽に大きな影響を与えた。またそのサウンドシステムもその音の質の高さから未だに伝説として語られている。
「パラダイス・ガラージ」という名前は、このディスコがあった建物がかつて駐車場(ガレージ)であったことに由来している。その様子についてはクラブが失われた今となっては想像や伝聞に頼るしかないが、ラリー•レヴァンのDJプレイを録音したものがCD化されており、かつての熱気をうかがうことが出来る。
「パラダイス・ガラージ」オープンの噂は広告ではなく、口コミにだけ頼っており、真の意味でアンダーグラウンドな存在だった。また会員制のクラブであったため、「パラダイス・ガラージ」に入りたがる客達は「パラダイス・ガラージ」の前に娼婦のようにたむろし、メンバーカードを持った人間に10ドルを払って一緒に入ってもらっていたらしい。
この映画を見ていると、90年代の東京のクラブシーンの全盛期が懐かしくなる。私は当時、渋谷の「CAVE」や六本木の「RAZZLE DAZZLE」、芝浦の「GOLD」、西麻布の「YELLOW」、青山の「MANIAC LOVE」や「LOOP」で夜毎踊りあかしていた。
学生時代によく通ったのは六本木の「RAZZLE DAZZLE」である。学生だから金がない。毎週土曜日の深夜2時になるとアフターアワーズ・パーティーが始まり、ドリンクこそなかったが、1000円で朝の8時まで遊べた。青春時代のひとコマである。
睡眠薬のせいか、映画の途中までは記憶があるのだが、途中からは寝てしまった。起きてみると午後の16時になっていた。そろそろ「Ms」に行く時間だが、体がだるい。それに今日は一度もパソコンをチェックしていない。気になえるのでパソコンをオンにし、HotmailとFacebookをチェックする。さすがに一晩おいていたのでメールやメッセージが溜まっており、その返信やニュースのリンクなどしているとあっという間に午後19時過ぎになった。今夜は木曜日恒例の党の支部会議がある。
2本買っておいた「SUPER PRIME 糖質50%オフ」500mlの1本を飲んで支部会議に向かう。今日のテーマは支持者を増やすかという各地方支部の代表者たちの演説のDVDを見て、討議することだった。党の支部会議の討議といっても各人の活動などを報告するだけで、あるテーマに沿ってディベートするなどという小難しいことはしない。メンバーの安否確認と近況報告、あとは年寄りの茶飲み会といったところである。
会議が終わると真っ直ぐに「Ms」に向かった。いつもより遅い時間だが、顔なじみが顔を揃えている。酔っぱらいの雑談をすること2時間。焼酎のロックを5杯飲んでアテにもやしの肉味噌炒めを食べて1250円。まだ酔っ払ってない。

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