見出し画像

京都小旅行(1日目)

今日は腐れ縁のYと僕ちゃんとの3人で京都行きの日である。
朝は6時ころに目覚めただろうか?出発は用意の遅いYのことなので11時半と見た。それまではコーヒーと麦茶を飲みながらネットで大阪の再開発のブログや建築ニュース、5ちゃんねるの都市計画板、YouTubeの動画を見ながら過ごすことにする。朝から景気づけにビールかワインでもと考えたのだが、Yと僕ちゃんを烏丸御池の京都国際マンガミュージアムに案内したあと三条河原町まで歩かないといけないので我慢した。中途半端に飲んだあとの街歩きほどしんどいものはない。
なんだかんだしていると出発の時間になった。今日の第一の目的は京都国際マンガミュージアムである。普段京都に行くときには天満橋から京阪で行くのだが、目的地が烏丸御池なので、阪急京都線の特急で行くことになり、地下鉄で梅田へ向かう。早朝にそうめんを食べてから何も食べてないので小腹がすいてきた。御堂筋線の梅田駅の北改札を出たところで連れの2人がドラッグストアへ寄り道しているあいだに、確か阪急そばが美味かったはずと思い出して1人先に阪急梅田駅に行って、駅員に訊ねて切符を買って京都線特急ホームの蕎麦屋へ向かった。阪急そばはいつの間にか若菜そばへと名前が変わっていた。空腹だったので迷わず天ぷらそばの大盛りを注文。昨日、飲んだからなのか、出汁が熱かったせいか、一味を入れすぎたせいか食べているあいだに汗が滴り落ちる。
3人揃ったところで特急に乗るとまもなく発車した。阪急京都線の特急は、京阪の特急と比べて停車駅も少なく、路線も比較的に真っ直ぐなので思ったよりもスピードを上げて京都へ向かう。いつもならちょっとした電車の旅なら缶ビールでも飲みながら車窓を楽しみながら行くのだが、この日はまだ一滴もアルコールを飲んでいない。ゆっくり車窓を楽しむまもなく電車は烏丸に着いた。ここで地下鉄に乗り換えて烏丸御池に向かい、連れの2人をマンガミュージアムに案内すると、とりあえず私は近所の京都文化博物館へ向かう。
京都文化博物館では4階の特別展示室で「百花繚乱 ニッポン×ビジュツ展」をやっていた。北斎、狩野派、広重、若冲、応挙が大集合していた。展示されていた作品をじっくり見たいのだが、私は酷い近視で、作品に極端に近づくか、そうでなければボーッとしか見えない。ちなみにこの展覧会は、今年の9月1日から7日にかけて京都で開催されているICOM(世界博物館会議)を記念したもので、東京富士美術館のコレクションの中から、日本文化の芸術世界のエッセンスをわかりやすく楽しめるように、「カワイイ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」など日本美術を特色づけるキーワードを通し、ニッポンのビジュツを俯瞰的に横断するものである。同時に3階の総合展示室では、第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019を記念した「京の歴史をつなぐ展」が開催されていて、私の好きな洛中洛外絵図などが展示されていたのだが、あの細かく描かれた俯瞰図をちゃんと見ることができなくて残念だ。
ちなみに、この京都文化博物館の別館は、日本銀行京都支店の建物をリニューアルしたもので、その元々の建物の設計者は辰野金吾である。辰野金吾は、現在の東京大学工学部の前身の一つである工部大学校の造家学科第1期生で、お雇い外国人のジョサイア・コンドルの下で西洋流の建築教育を受けた日本人として最初期の建築家である。1873年に工部省工学寮第一回生として再試験で末席入学。造船を学んでいたが、2年終了後、造船から造家(建築)に転じ、1879年、同学科を首席で卒業。帝国大学工科大学で2代目学長。工手学校(現・工学院大学)の設立に参加している。代表作は東京駅や日本銀行本店ビルであるが、関西にもいくつかの作品を残しており、例えば、日本銀行大阪支店、日本銀行京都支店(現・京都文化博物館別館)、奈良ホテル、大阪市中央公会堂(中之島公会堂)などが挙げられる。
京都文化博物館を出たあとは、姉小路通りを一路東へ歩いて、次なる目的地のアスタルテ書房に向かう。アスタルテ書房は耽美・異端文学を主に扱う古書店で、以前は一切店の場所を公開していなかったのだが、ツイッターで、京都市中京区三条御幸町上がる東側ジュエリーハイツ202と言う住所を公開している。また、Google検索するといくつかのブログなどで紹介されているので、以前ほどの閉鎖性はないが、ジュエリーハイツと言うなんの変哲もないマンションの2階にあって、表には看板もなく、私が行った時には扉も閉まっていたので、初めて行く人は戸惑うこと間違いなしである。
靴を脱いで店内に入ると、壁の一面が展示スペースになっていて、「高松ヨク作品展」をやっていた。私の目当ては「夜想」や「WAVE」などのペヨトル工房の雑誌のバックナンバーだったのだが、本棚のスペースがかなり少なくなっていて、澁澤龍彦の稀覯本などは揃っていたのだが、目当てのモノが見つからない。美術手帖のハイテクアート特集があって値段を見ると700円だったので買おうかどうか迷ったのだが、やっぱりやめておくことにする。店内にいたのは30分くらいだろうか、私以外の客は、前に入っていた一人の女の子と、あとから入ってきた一人の女の子だけで、お店というよりギャラリーに近い。
アスタルテ書房を出て寺町通を下り、三条のメディアショップへ向う。ここは昔、高校時代にサボテンってインディーズの女の子バンドのレコードを買ったところなのだが、VOXビルの2階に移り、今では建築・アート・写真の書籍を主に扱っていて、以前来た時には現代音楽のCDなんかも置いてあって、店内のBGMもそれっぽかったのに、今回来てみると、店が狭くなっていて、残りのスペースと2階の一部をギャラリーにしている。1階の書籍を軽く見たあと2階に上がって「ガンツウ(guntû)」と言うせとうちホールディングス傘下のせとうちクルーズが運航するクルーズ客船の写真とドローイングが展示されてあって、映像コーナーでは住宅建築家と造船の融合の仕事の紹介の映像が流れていた。後でウィキペディアで調べてみると、乗船客は富裕層を対象としており、1泊一室当たり30万円から80万円以上の価格帯となっているとのこと。私には縁のない世界だ。
メディアショップを出て鴨川をわたり、祇園白川を散策しようと思っていたところでYから電話が入り、寺町通の入口の、本能寺の前のアジアン雑貨の店まで来てくれということなので引き返す。アジアン雑貨や額縁屋を覗いたあと、もう夜で、何か食べようと話し合うが、なかなかどこで食べるのか決まらない。そうこうしているうちに私とYは我慢ができなくなり、ローソンへ入って酒を買う。鴨川を見ながら飲もうということになったのだが、京都といえば日本酒だったのだが、ワンカップでは味気ない。そうかと言って冷えている地酒だと高くついてしまうので、私はローソン名物赤ワインの「MICHAY」1本とつまみを2品ほど買って鴨川の河川敷に下りていった。もうこうなるとあとは酒盛りである。Yも酔ってきたのか、弾き語りの女の子シンガーの河川敷ライブに飛び入り参加して2曲ほど歌う。「MICHAY」を1本飲みきったところで今夜の宿へ行こうと決まり、もう1本「MICHAY」を買って地下鉄三条から烏丸丸太町の民泊へ向かった。
来るときの阪急電車の特急の中では日帰りするのか、1泊するのかまだ決めかねていたのだが、1泊3人で4000円という破格の民泊が見つかって、残り1室というところでネットから予約を入れた。宿泊した民泊は、マンションをそのまま宿泊施設にした、いわゆるairbnb的な民泊で、ベッドが3つ並んでいて、あとは1ルームマンションの作りと同じである。そのベッドの1つに横になって「MICHAY」を飲んでいるといつの間にか眠ってしまっていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?