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ヘアカラー専門店をやってみて、リアルに感じたこと。

「ヘアカラー専門店やってみようかなー」
「ホントにヘアカラー専門店儲かるの?」
「ヘアカラー専門店やりたいけど、何から始めたらいいの?」

他事業からの参入、美容師として新たな試み、脱サラしてオーナー業してみたいというあなたに向けて、僕が3年前にヘアカラー専門店を手がけた際にこうしておけばよかった・こんな事ミスったって事をお伝えできたらと思います。

まずはヘアカラー専門店とはどんな業態かのアウトラインをお伝えします。もう知ってるよという方は場所選びからご覧ください。

ヘアカラー専門店とは

通常美容院ではカット、パーマ、カラー、ストレート、トリートメント、ヘッドスパなど髪型を変える上で必要な技術を提供するのが一般的です。

ヘアカラー専門店はその名の通りヘアカラーのみをお客さんに提供するお店になります。カットやパーマ、ストレートなどの技術を省き、またシャンプー後のブローや髪を乾かす事をお客さん自身にやってもらうスタイルがほとんどです。

その中で根本だけ染める場合(リタッチ)と全体染めの場合(フルカラー)でお客さんの希望の髪色によって染め分けます。

価格帯も2000〜4000円ぐらいが相場になっています。

メインターゲットのお客さんは40代〜の白髪染めで困っている女性が多いです。

この価格帯で提供できるのも、セルフで髪の乾かしてもらったり、店舗にもよりますが自動シャンプー台の利用など人件費をカットすることで可能になっています。

リサーチする内容って?

1日どれぐらい来てるんだろう?
一ヶ月でどれぐらい来ているのか? 
平均単価はいくらなのか?
どうやってお客さんに周知しているのか? 
広告費はどれぐらい? 
来店からお見送りまでの一連は? 
求人はどうしているのか? 
利益はどれぐらいでているのか?
などなど始めるにあたって気になることはキリないですよね。

まずは主の内容になる、上であげた疑問を一つずつ答えていきます。

「1日何人きますか?」
「多い時で30人で平均でも20人はきますね」

「一ヶ月だと何人ぐらいですか?」
「500〜800人ぐらいですかね。」

「平均単価は?」
「これは店にもよりますが、リタッチとフルカラーの割合は7:3になりますので、その店のリタッチ価格とフルカラー価格で大体の単価が計算できます。僕がやっていた時は3400円ぐらいでした。ただその単価はヘアカラー専門店の中でも少しだけ高めだと思います。」

「どうやってお客さんに周知しているのか?」
「また後で詳しく述べますが店舗を構える場所でやり方が異なります。」

「広告費はどれぐらい?」
「これも店舗の場所で考え方が変わるので後でお客さんの周知方法と共に伝えます。」

「来店からお見送りまでの一連は?」
「①まずお客さんが来店します。②入り口に名前を書く紙が用意してあるのでそれに名前を書いてもらいます。③席に通します。④カウンセリングします。⑤事前精算します。⑥ヘアカラー準備し、カラー塗布します。⑦15〜25分置いてシャンプーにします。⑧シャンプー後はお客さんに髪を乾かしてもらう場所に誘導します。⑨セルフで乾かしてもらいます。(スタイリング剤やセットに必要なものを説明します)⑩乾いたら最終チェックをして、お見送りします。」

「求人はどうしてるか?」
「主にインディードなどの求人媒体を利用してます。パート、アルバイトの方の人数が必要になります。だいたい常駐3人だと6人ぐらいは必要です。」

「利益はどれぐらいなの?」
「だいたい一店舗あたり50〜70万でればいい感じのビジネスモデルです。」

ザクっとですが、ヘアカラー専門店のアウトラインになる内容になります。ここからはもうちょっと込み入った話「場所探し・広告宣伝費・営業時間の決め方」について実体験を元に紹介します。

「場所選び」

あなたがヘアカラー専門店を構えるとしたら、どんなところにしますか?

街中?郊外?ロードサイド?

多店舗展開しているヘアカラー専門店は商業施設に入ってるパターンが多く、ホントならそういう施設内に構えれるよう探していたのですが、なかなか商業施設の案件がなかったのも事実です。

なんでそういった施設に構えているか?そのメリットがここにあります。

・お客さんへの周知がしやすい。
・賃料がそこそこ高くても広告宣伝費をかけず集客しやすい。
と圧倒的に集客力のスピードが上がることです。

でも僕の選択した場所はそうでない所、、

実際選択した所は郊外で3〜40代の家族層が住んでる住宅街で賃料が17万ぐらい、駅から徒歩5分ぐらいにある1Fテナント。もう一点5km圏内にヘアカラー専門店がないということも条件に選択しました。

広さは20坪ぐらい
施術スペース4席、シャンプー台2台、乾かすスペース4席、フリースペース1席、休憩室、トイレ、物置場という具合です。

額面としてはテナント借りるのに100万ぐらい。
内装は350万ぐらい。
備品は100万ぐらい。
スタートで600万ぐらいでした。

ちなみにフランチャイズだと1500万ぐらいと聞いています。

この場所でスタッフはどうやって集めようか?
どうやってお客さんを集客しようか?

この大きな2つのポイントは失敗を繰り返しながら試行錯誤しました。

「スタッフと営業時間」

オープンから一年後の時点で何度か変更した結果
「10:00〜19:00 金曜日ナイター11:00〜20:00 水曜日休み」から始まり、ナイター無くし、営業時間を統一し、休みも変更して
「9:30〜17:30 日曜休み」という体制に落ち着きました。

オープニングスタッフを募集する時に想定として
「正社員1人と子育てが落ち着いた女性スタッフ」
で始めようと思い、正社員は縁故で探し、パートアルバイトは求人媒体を利用しました。

結果スタートで集まったのは男性29歳正社員1人、36歳子育て真っ最中のパート1人、空いている時間で働きたい29歳フリーランス女性(アルバイト)1人、他の美容院で働いていて金曜日のみダブルワークしたいという25歳女性1人の4人でのスタートでした。

オープンしてからも随時求人はかけていたものの、来てくれる方の大半が17時ぐらいまでなら働けるという回答。

オープニングの4人に6ヶ月でプラス4人ほど増えましたが、頑張っても「17時30分まで」というパートスタッフの声。かと言って正社員を増やしすぎると人件費圧迫で成立しにくい業態です。

実際当初始めた19時までだと結局17時から19時は社員一人!曜日によって、アルバイトと2人、、、これだとスタッフ、お客さん共に不安感がでてしまう。

その時間帯だけ時給を上げようが、パートさんはそもそも難しい時間帯という現実です。営業時間を変えて日中の常駐人数を増やし、お客さんの数を増やす方が現実的と考え、変更に至りました。

ちなみにスタッフの傾向と面接をした傾向として、

「30歳以上女性で結婚していて子どもがいる。一度美容師を離れたことで美容室でやっていた全ての技術をやることに不安を抱えている。美容師の仕事の中でもシャンプーするのとカラーを塗るのは好きだった。フルで働きたいけど、子どもを迎えにいかないといけないから保育園で預かってもらえるギリギリの時間じゃないと、、。」

正直「年中無休、9時から21時3交代制」ができれば売上・利益だけで考えれば1番ですが、働いてくれるスタッフがいない事にはできないというところで営業時間を設定するのに葛藤しました。

が結果「9:30〜17:30 日曜休み」が管理する側も働く側もストレスなくいける時間でした。

一つつきまとう問題があります。突如として現れる「子どもの体調不良」です。即時の対応を迫られる事がありますので対応方法を考えておく必要があります。

急遽休みが必要になった当人がグループラインからスタッフ間で交代できる人がいないか確認。交代要員がいない場合は予約を制限する。既に入っている場合は時間をずらせるかの連絡をとるもしくは日にちを変更してもらうという対応をしてもらいました。

変更したお客さんはカルテに記入し、サービスで追加メニューを施術するフォローを入れる。

お客さんにクレームが出ないような配慮は必要ですね。

「お客さんはどうやって集めたの?」

集客に利用したのは有料だとチラシ・ホットペッパー・ルクサ・グルーポン。
無料で時間をかけて育てたのはGoogleマイビジネス・インスタですね。

結論から言ってしまうとこの中でホットペッパーの最安のコースとGoogleマイビジネスの組み合わせが良かったです。

ちなみに大、大、大失敗したのは年間パスポートです。

ではなんでホットペッパーとGoogleマイビジネスが良かったのかを他の集客方法の結果も踏まえ参考にしてもらえたらと思います。

1番最初の宣伝はオープンに合わせて、3km以内の住宅街に向けてのチラシとホットペッパーの2番目のコースをかけて集客したのがスタートです。

新規のお客さんに「何で知って来店してくれたか」のアンケートをとりましたが、圧倒的にホットペッパーからの集客でした。チラシも効果はありましたが、割合で言うと7.5 : 2.5の2.5でしたね。

費用対効果で考えると頻繁にチラシをいれるより、違う媒体も比較して利用してみようと思いました。

ヘアカラー専門店は客数が必要な業態なので6ヶ月はガンガン広告かける必要があるなと思い、ホットペッパーは残し(年間契約だったので)チラシの次はルクサとグルーポンを試すこととしました。

どちらも試したもののこれがなかなか厄介で全くリピーターに繋がらないどころかグルーポンに関してはお客さんの質が最悪でスタッフが疲弊しただけでした。

リピートも10%あるかないかぐらいだったと思います。高単価サロンじゃないと厳しい媒体でしたね。

ルクサ、グルーポンと掲載期間があるのですぐに辞めることができず2〜3ヶ月我慢して解約。

その間にGoogleマイビジネスの強化とインスタの自動化を試し閲覧数を上げる事を頑張ろうと写真枚数を増やし、1週間に2回以上の定期投稿をした結果変わってきたことがあります。

それはGoogleマイビジネスからの入客です。

閲覧数も1万を超え、アクティビティの数も5千ぐらいになってくると電話予約につながったり、自社専用のweb予約はなかったためホットペッパーのリンクに誘導し、そこから予約の流れができ始めた感覚でした。

この時点で10ヶ月ぐらい経ってました。単月での黒字が少し出始め、ホットペッパーの月間の新規数もランクを下げてもいけそうと判断し、ランクダウンして広告宣伝費を抑え、Googleマイビジネスを育てる流れをつくりました。

最近の美容室の流れは脱ホットペッパーですが、無理になくさなくても、新規数とのバランスが合うことや管理システムをフル活用することで費用対効果がいいと思えば、利用するのはありですね。

ここまで角度は低いけど、右肩上がりの状態で、もう少しである程度形になるなと感じた。後は既存のお客さんの比率を上げて新規が少なくても成り立つ状態をつくろう。既存客を逃さない方法が必要だ!

そこで年間パスポートを発行し買ってもらい、来店回数をあげてアップセルをかけようと1月から12月までの1年間染め放題を5万ぐらいで販売しました。

なんで5万か?年間24回フルできた場合リタッチが2480円だったので実質4回お得になる計算とこの当時PayPayで購入してくれた場合20%還元があったので4万切る価格ならかなりお値打ちと感じてもらえると思い、この値段設定にしました。

ちなみに年間パスポートのルールとしては、染めすぎても髪が痛むので「前回染めてから2週間は空けてください」「基本メニューリタッチ以外は差分の料金は頂く」という内容です。

数値計画としてはいけるはずだったのですが、2点の大誤算を起こすのです。

1点目はPayPayのキャンペーンが速攻終わる。という事態の中、もうすでに販売を始めてしまっていた年間パスポートをなんとか売りたいという思いだけで価格を下げてしまったこと。

これは中途半端に流行りに乗ってしまい、キャンペーンはまだ2ヶ月ぐらい続くだろうとたかをくくってしまったことで招いた失態。

これだけならまだ良かったが、致命的な2点目
年間パスポートが始まって、6ヶ月ぐらい経った時に正社員が辞めてしまうという事態に、、、

このことですぐに求人を出しましたが、出したら来るというものでは無いので、常駐人数を減らして営業しないといけなくなりました。

これの何がヤバいの?と思うじゃないですか。
年間パスポートのお客さんが次回予約をガンガン入れていたので、予約枠が限られ新規客がとれない。

挙げ句の果てにアップセルもそこまでうまくいってない状況で売上ダウンしていたのです。

去年末までいい感じに売り上げが上がっていたのに経営者の采配で過去に巻き戻し!このままではキャッシュがヤバい!どう切り抜けよう、、

それに加えて、「スタッフ間のトラブルや求人詐欺、なんでこうも色々立て続くの、、めげそう、、、毎日偏頭痛で頭がガンガンするし、、わぁーーーーーと叫びたくなるぐらいの心境でした。」

もうこの時は出来るだけ経費を抑えて、綱渡りの運営をしました。集客どうこう予約枠がない、「スタッフを一人増やし枠を広げての売り上げ増の額 」vs 「正社員1ヶ月の人件費」で今どちらがいいか比較。

人は増やさず、体制を整える事を選択し、
攻めることはしませんでした。攻めることで空回りしそうという直感と、とにかく店を潰さないという覚悟でマネージメントしていました。

なんとか、、なんとか、、
年間パスポートの期限が切れ、暗黒の時期をやり過ごしました。

お客さんからはまたしないのと言われながらも二度としないと決め、単価アップに力を入れようとシフトチェンジしました。

単純に単価アップは消費税増税のタイミングで値段の見直しをするということで意外とすんなりいけました。

ここからは順調に売上が上がり、利益が3〜40万ぐらいになりました。

ヘアカラーでの売上ではないですが、構えていた店舗のサイズが広かったため、フリースペースをフリーランスの方に1日1万ぐらいで利用してもらってたのも利益に繋がりました。

ここから先は1年後ヘアカラー専門店をしたい方に売却しました。売却の話はまた別のブログで書かせていただきますね。

「スタッフ教育はどうしていたの?」

ヘアカラー専門店はひとつ不自然なところがあります。それはヘアカラー専門とうたっているのにブリーチやヘアマニキュア、メッシュ等やらないところが多いです。

なんでかというと、クレームが出やすい作業ということ。ブランクのあるスタッフにその技術をお客さんにやるということはかなりリスクがあります。

ブリーチの塗布ムラなんか1番ヤバいです。マニキュアもギリギリから塗るテクニックが必要なのでメニューから省いているケースが多いです。

リタッチやフルカラーはブランクがあっても2週間ぐらい他のスタッフと一緒に塗っていれば感が戻ってきます。実践が不安な人には自宅で練習できるようウィッグと練習用トリートメントで10分計りながら練習してもらっていました。

シャンプーは店のシャンプー台をどっちにするかで、スタッフの方が元々サイドシャンプーなのかバックシャンプーなのかで変わります。

僕がやっていた時はバックシャンプーにしていたので、今までやったことのないスタッフに関しては初出勤までに練習してもらいました。一定の合格ラインまで個別に教えて、あとは実践で覚えてもらう流れです。

お客さんの来店からの流れはマニュアルがあれば 2日あればつかめます。流れのマニュアルを見てもらい、あとは現場で見てもらって覚えてもらいます。

ブランクのある人でも1ヶ月後一人でカウンセリング含めリタッチのお客さんに入ってもらうよう促していきます。

慣れるまではフルカラーのお客さんもカウンセリング、カラー設定と塗る人を変えるなど工夫して回していきます。

3ヶ月ぐらいで難しい髪質でなければ大体いけます。いきなり一人でやってもらうことは極力避け、ある程度目安を持って覚えてもらう体制をつくっていました。

技術教育の流れは以上です。

ヘアカラー専門店のオープンとその後を実体験を元に書きました。これから考えてるあなたに少しでも参考になってくれたら幸いです。

かなり長くなりましたが、ここまで読んで頂きありがとうございます!

では。






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